« 特急スーパーカムイ初日のトラブル | Main | 盛岡駅の485系はつかり »

October 02, 2007

HEMMI No.80/1 電気用(戦前品)

 戦前の10インチ電気尺No.80は2本目ですが、この時代のNo.80は電気分野だけではなく、広く一般の技術者達に愛用されたようで、けっこう数多く残されているようです。ところが昭和一桁の時代から開戦前までの10年余りで数々のマイナーチェンジを繰り返し、パターンモデルが各種存在するためにコレクション的には非常に興味深い計算尺です。前回、山口から入手したNo.80は昭和10年代以前のモデルで、セルの剥がれ止めのためか固定尺滑尺とも左右6カ所の鋲止めで、目盛は馬の歯型のボックスタイプ、延長尺も刻まれていない初期型でしたが今回入手したNo.80は延長尺付で鋲止めがなくなった昭和10年代以降の中期型となります。戦中戦後のNo.80は普通の物差し型目盛になり、カーソルも改良A型カーソル付きになります。入手したNo.80は滑尺溝に「No.80/1」という赤いスタンプが残されており、時代からすると本来はA型カーソル(逆C型)で副カーソル線のないものが付いていたはずなのですが、すでにカーソル自体が失われてました。このA型カーソルは樹脂のカーソルバーがウイークポイントで、経年劣化でバラバラになりやすいのでしょう。しかし、戦後片面計算尺のスタンダードであるNo.2664Sなどのカーソルサイズがコンパチですから数の多いNo.2664Sからカーソルを移植することは可能です。No.80/1ですから本来は副カーソル線無しで正しいのですが、やはりA型カーソルが付いていた方が格好が良いのですけどね。でも70年近く前の計算尺ですから贅沢は言えませんし、現代まで残っていただけ感謝しなくてはいけません。そういえば初期のNo.80で延長尺の無いものに「W」のゲージマークの付いているものがあるようです。このW付のNo.80は換算表も他とは異なるWの説明の付いた物が装着されているようです。Wゲージは電線などの断面積と長さで重量を導き出すゲージでマテリアルにより同然密度が異なるのでセットする数値がマテリアル別に換算表に示されているようです。しかし、なぜWゲージが短期間で消え去ったのかは一つのナゾですが、当方のNo.80も延長尺無し6カ所鋲止めのタイプながらWゲージは付いていませんし、換算表も一般的なものです。
 大阪から届いたNO.80/1は斑に黄変したもので、さすがに磨いても黄ばみが取れませんでした。おそらく日焼けによるもののようで、滑尺裏はやはり真っ白でした。セルの接着法が確立した後のNo.80ですから鋲止めもなく、スケール部分のセルは裏側にちゃんと被さっていて、前期型のように裏を白の塗装でごまかすということもありません。また、カーソルのはまる溝も幅が狭くなり後の片面尺の溝寸法と変わらなくなっています。前期型と異なり、裏板が腐食に弱い例の灰色加工のされたアルミ薄板で、やはり端の方が腐食しかかってます。上部は27センチまでのメトリックスケール、下部固定尺側面は10インチのインチスケール付きですから、一応国内向けに作られたものです。部品取りのNo.2664Sからカーソルを調達しましたが、せっかく延長尺付きなのだから3本線カーソルが欲しいところです。でもまあ世の中には延長尺付きなのに普通カーソル付きの計算尺もいくつもありますが。箱は黒の擬皮紙をあしらった戦前型の楕円断面のケースで、英語で書かれていた取扱などの大きなラベルがはがされてました。戦時中、大きな英語で書かれたラベルのケースを持ち歩くと「非国民」なんていわれたからでしょうか?ミャンマ-ではありませんが、軍部が国政を支配して何でも「軍の命令=国の方針」がまかり通っていたなんて、想像するだけでもまったくもっていやな時代です。
1
(カーソルは80/3用を付けてあります)
 HEMMI No.80/1電気用(戦前)表面拡大画像はこちら
 HEMMI No.80/1電気用(戦前)裏面拡大画像はこちら


| |

« 特急スーパーカムイ初日のトラブル | Main | 盛岡駅の485系はつかり »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference HEMMI No.80/1 電気用(戦前品):

« 特急スーパーカムイ初日のトラブル | Main | 盛岡駅の485系はつかり »