« October 2007 | Main | December 2007 »

November 30, 2007

コンサイスNo.260 一般及高校生用

Concise260 コンサイスの円形計算尺の中でも両面型のものは現在ではNo.270NとNo.300の2種類に集約されてしまいましたが、以前はNo.260,270,271,280,300の5種類がカタログ上に存在しました。その中で特に「一般及高校生用」と区分されていたのが今回のNo.260になります。直径が9.6センチと重量計算器よりさらに一回り小さい円形計算尺です。両面型としてはボトムラインのモデルですが、それでも両面で10の尺度を揃え、表面からD,C,CI,A,K尺、裏面はD,S,T,S&T,L尺です。円形計算尺ゆえにずらし尺がありませんし、LOGLOG尺が省かれていますので、HEMMIの両面計算尺でいうとNo.250相当というところでしょうか。目外れが無く連続して数値を読みとれることが最大の特徴である円形計算尺ですが、実は円形計算尺は尺の配置する位置によって基線長、つまり精度が異なります。大抵はメインに使用するC,D尺が一番外周に配置されるようです。実際にはNo.260のC,D尺の基線長が約26.2センチですからC,D尺は10インチ計算尺並の精度がありますが、一番内側のK尺は基線長おおよそ16センチですから6インチ尺程度の精度しかないことになります。ここら辺が円形計算尺のウィークポイントで、この特性を良く知っていないと連続計算に於いて検定試験で要求される読み取り誤差並の精度に納まらない可能性があります。個人的にはこの手の円形計算尺が好きではなくどうも答がどこに出ているのか咄嗟の判断に迷うというのがその理由です(笑)また、何の引っかかりもないので、内側のディスクは指先のフリクションで回すしかなく、乾燥症の当方には微妙な調整が難しく、結果的に直線計算尺より計算速度が落ちてしまうというのも敬遠の理由ですが、金属素材の計算尺であればこういう心配も無いのですけどね。しかし、円形計算尺には基線長を20インチ程度にした高精度のものがなぜ無かったのでしょうか。操作性だけの理由で巨大なのですが、ラリー計算尺・通称「円盤」は基線長が約63センチ位あったのですけど、このラリー計算尺の直径23センチの円盤となると当然ポケットには入りません(^_^;)         

| | | Comments (0) | TrackBack (2)

November 28, 2007

コンサイス金属重量計算器

Metwtcal
 このコンサイス金属重量計算器は鋼・鋳鉄・砲金の重量計算に特化した計算尺で、塩化ビニール製の円形計算尺が摂氏60度以上の温度に耐えられないため、特に高温になる職場環境での使用を考えて金属製の素材とした計算尺です。説明書にもはっきり記載されていますがこの金属重量計算器は「藤野式計算器」として戦前から知られる金属製の円形計算尺をコンサイスなりにアレンジして精度を高めた製品だそうで、やはり藤野式がルーツだという当方の推測は正しかったようです。
 この金属重量計算器は現行ラインナップからは落ちていますが、カーソルの有無で前期型・後期型があるようで、この点は樹脂製の「重量計算器」同様です。ただ「重量計算器」が前期型と後期型ではディスク自体や刻印が別物ですが、この金属重量計算器の前期型と後期型はディスク自体にはまったく差がないようで、カーソルを装着するため軸周りのパーツが異なるのみの違いです。また当初はスクエアなビニールケースが付属していたようですが、後のモデルは現行品と同じオクタゴン形状の薄いビニールケースになったようです。またこの金属重量計算器の裏側は換算表もなく、単なるのっぺら坊です。材質に関しては他の計算尺の説明書に「洋銀」とされたものもありますし、「真鍮にクロームメッキ」とされたものも何かで見たような気がしますが、手元にある物は端をちょっとだけ傷つけても同じ銀色ですし、明らかに真鍮板より軽いため、何らかの軽合金であることは確かなようです。当初は藤野式を踏襲して真鍮板にメッキをかけていたものを後に「洋銀」とされる軽合金製に改良したのでしょうか?この金属重量計算器は他の重量計算器とともに4枚まとめて堺市から手に入れたもので、ビニール袋は開封されていましたが未使用品でした。とりあえず重量計算器が一枚あれば事足りますので、高温環境適応だけの為に金属重量計算器をモデルとして残しておく必要性が薄れ、そのためにカタログ落ちしてしまったようです。しかし、後期型は樹脂製のカーソルが付きますが、いくら本体は高温環境に耐えてもカーソルの方が高温に耐えられそうもなく、何かちぐはぐな改良に感じられますし、そもそもそんな過酷な環境で悠長に計算尺で素材の重量計算なんかするような現場が実際にあったかどうか、疑問ですけどね(笑)

| | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 27, 2007

コンサイスA型計量単位換算器

A
 コンサイスの円形計算尺は現行品と言うこともあり、あまり食指を動かされないのですが、中には現行ラインナップに無いものや、前回入手した薄板ロール重量計算尺のように特殊用途のものがあったりして、そちらの方には興味を引かれます。今回入手したものはカード型の計量単位換算器でHEMMIでいうとNo.P36Sみたいな換算尺なのですが、中から引き出し式になっているあらゆる計量単位が換算出来るコンバージョンテーブルが付いていますので、No.P36Sより遙かに高機能な換算尺です。日本語タイプがA型、英語タイプがE型と別れているようで、一時企業のノベルティとして名前入りで配られたようなのですが、意外に残っていないようです。在庫が尽きたのか、残念ながらコンサイスの現行ラインナップからは外れているようですが、数量がまとまれば特注扱いで生産に応じてくれそうな。この換算表を中から引き出すデザインはATOM氏によるとアメリカのSama Etani氏という人のものらしく、同一デザインで用途別に目盛の変えられた各種の計算尺がSama社経由でアメリカに供給されていたようです。今回、27Nと思しき物と2枚セットで出品されていましたが、誰も入札しなかったようで480円で落札した物です。換算器なんぞ「あってもなくともどうでもいい目蒲線」みたいな存在ですが、さすがに2枚で480円ならばということで手を出してしまいました。一度こういうのにひっかかると二度目もあるもので、直後にコンサイスの金属重量計算尺系統をまとめて4枚入手するハメに陥るのですが。
 名古屋から届いたA型単位換算器はビニールさえ撮影のため開封されていましたが、説明書付きの未使用品でした。おまけだど思っていたNo.27Nは届いてみたらちゃんと両面型のNo.260で、こちらもうれしい誤算でした。またA型単位換算器は高圧蒸気滅菌器などの理化学機器メーカー「平山製作所」という会社のネームが入ったノベルティー品でした。付属している換算表は正にありとあらゆる長さ・重量・面積・体積の換算値が網羅され、ヤードポンド法及び尺貫法の単位にあっても例外ではありません。でも現代では単位がメトリックに集約された観があり、さしあたってあまり換算器のお世話になるような世の中ではありませんので、そのために現行商品ではなくなったのかもしれません。

| | | Comments (0) | TrackBack (1)

November 26, 2007

新旧のコンサイス重量計算器

 コンサイスの市販された金属材料系円形重量計算器には2種類あって、主に銅・鋳鉄・砲金の板と丸棒の重量を計算し、素材が洋銀製(実際は黄銅にクロームメッキ)の「金属重量計算器」と、金属はもちろんのこと非金属を含んだ板・管・棒・線・球の重量を求めるためのビニール素材で作られた「重量計算器」です。金属製の方は使用環境が過酷な鋳物職場などの高温な場所でも熱の影響で歪んだり曲がったりしないように金属素材としたもので、コストダウンで後にビニール素材にモデルチェンジしたわけではありません。この重量計算器にはそれぞれ大まかに分類するとカーソルの付いていない前期型とカーソルの付いている後期型があるようです。当初カーソルが付いていないものはすべてカーソルの欠品かと思いましたがそうではないようで、それぞれ円盤を止めるパーツなど差異が認められます。「重量計算器」の方は現行品で、今でも入手することが出来ますが、実際に現場ではいちいち計算機を叩くよりもこういう専用計算具を使う方が今でも楽なんでしょう。
 実は昨年、根本が腐食して倒壊の恐れがあった鉄管煙突を、業者に撤去させようとしたら8万円だなんて言われて、計算尺を使い外径から内径と引いて鉄の比重で鉄管の総重量を計算するとおおよそ82kgと出たため、途中で上下を二分割すれば1人で撤去可能と判断、8メートルの煙突の上部にロープを掛け、薄皮一枚分残して切断機で切断し、ロープを緩めて蹴り倒すとうまい具合にその部分がヒンジみたいになって下に垂れ下がり、ロープをかけ直してヒンジ部分を切断し、徐々にロープを緩めて無事に煙突上部の軟着陸に成功。今度は下部にロープを掛け、ステー部分を切断して徐々にロープを緩めると下部の部分も地上に降ろすことが出来ましたが、計算上で総重量が100キロを超えていたら、おそらく1人では手を付けなかったと思われます。まあこんな管の重量なども円柱の外径から内径を引くなどという面倒くさいプロセス無しに計算出来るのでしょう。ちなみに無事に二分割して地上に降ろした鉄管煙突はサビだらけながら鉄材高騰の折り、業者が喜んでトラックで持っていってくれました。
 このコンサイス重量計算器はどうやら戦前の「藤野式鐵・鋳鐵重量計算器」あたりが原型らしく、コンサイスでは今でも現行商品であることから金属関係の現場には未だに相当数が残っているのかもしれません。今回のコンサイス重量計算器もおそらく廃業した金属加工業の現場辺りから出た物で、新旧まとめて何と一度に4枚入手しましたが、おまけにマイクロメーター3台と中型のダイアルゲージ付きノギスも1台付いてきました。元値からすると当然コンサイスのほうが刺身のつまみたいなものなのでしょうが(笑)内訳としては洋銀製金属重量計算器が1枚、カーソル無しの重量計算器が2枚、カーソル付き重量計算器が1枚です。この4枚のうち、1枚のみが非常によく使い込まれて真ん中のディスクの透明部分はすり傷だらけでしたが、他の3枚は半透明のビニール袋が開封してありながら殆ど使った形跡のないもので、もちろん説明書も揃っていました。新旧の重量計算器の違いは、カーソルの追加が最大の違いですが、その他にも材料選択線の赤以外は黒のモノカラーの印刷だったものが新型は赤の目盛を多用している。旧型は「球・棒・線」などの形状を表す文字が中心から放射状に打たれているが、新型は全て上を向くように打たれている。新型の裏にはヤード・ポンドとメトリックの換算値が円周上に印刷されたなどの違いが認められます。また旧型は透明部分を持つ真ん中のディスクが一番下のディスクと同じ径のため、手で回すのにはさほど苦労しないのですが、新型は透明部分の径が小さくなり、回りにくくなっています。考えようによっては現場で扱うマテリアルがそう色々と変わるわけではないので、一度鋳鉄なら鋳鉄にマテリアルを選択すれば、容易にずれないようにして、結果的におかしな数字をはじき出さないようにする改良だと思われます。カーソルの追加はさほど必要性を感じませんが、コンサイスはフライトコンピュターにもE-6B一族には見られないカーソルを持ってますので、コンサイスなりの一種の改良なのでしょう。旧型の重量計算器は当時の定価が\500でしたが、現在の価格は\2,520です。旧型の説明書は単色の活版刷りですが、新型はモノクロの軽オフセット印刷です。新型の説明書にあっても内容は基本的に同じで、カーソルの使い方については解説されていないところが妙ですが、旧版は横開き、新版は縦開きという違いがあります。
Photo


| | | Comments (0) | TrackBack (2)

November 18, 2007

IDEAL RELAY No.109 航空用計算尺?

 この計算尺に関してはまったく予備知識がなく、けっこうな「珍尺」だと思われます。製造年代および正確な用途が詳しくわかる方、ご教授ください。当方がわかる範囲で推測すると、どうやら簡易的な航空計算尺であるような気がします。というのもE-6B系統の丸形航空計算尺のような温度補正目盛が赤で刻んであり、おそらく対地速度を高度・温度で補正するためのもので、秒速・時速に対する到達距離と時間などの換算がメインの機能のような計算尺と考えます。そのため航空用計算尺の一種と推測しますが、戦後のものだとすると、日本でどういう需要があってこういうものを作ったのかが不思議な感じがします。アメリカでは第二次世界大戦のおかげで大量に使用された丸形のE-6Bが航空計算尺のスタンダードですし、こういう簡単な計算尺が米国に輸出できる余地がありません。また日本では敗戦後、事実上の占領政策がサンフランシスコ講和会議により解消されるまで飛行することさえ禁じられていたわけですし。刻印は旧字体で「理研光學工業株式會社 發賣」とありまして、リコー創業者の市村氏が設立した日本文具が社名変更した東洋特専興業もしくは戦後になってからの日本計算尺/リレー産業系統のものだと言うことが解ると思いますが、恐ろしいことに戦前ヘンミの「A型カーソル」のような逆Cタイプのカーソルがついていました。フレームに刻印がまったくありませんし、HEMMIでは開戦後にはすべて改良A型カーソルになってしまいましたので、まちがいなくオリジナルのカーソルでしょう。当方が判る尺の種類としては表面はK,A,B,C,D尺がありますが、通常CI尺の鎮座する部分にはいろいろと補正目盛のようなものが刻まれています。一番下の尺は見当がつきません。滑尺裏は何と逆尺のLL1,LL2,および小文字のq尺というのが刻まれていますが、このq尺というのは何でしょう?宮崎治助氏のP尺Q尺とも違う物のような気がしますが、中のゲージマークを見ると秒速/mから他の速度単位への換算尺のような気がします。
 この計算尺の裏側に型式名を表すオーバルシールが裏面に残されていましてそこには「SLIDE RULE IDEAL RELAY #109 ノット」と書かれており、RELAYのNo.109というのがこの計算尺の品名のようです。「IDEAL」と「RELAY」の商標が併記されたものを他にも見たことがあるような気がしますが、戦後のリレー産業以降のことでしょうか?それにしては「理研光學工業株式會社 發賣」の文字が古すぎて似つかわしくないような気がします。薄いボール紙に黒い擬皮紙をあしらった戦前ヘンミ計算尺そっくりな楕円断面のケースに入っていましたが、戦時中計算尺のようにケースにはまったく刻印がありません。計算尺側にも「made in Japan」のような原産国表示もありません。計算尺上部にメトリックで25cmのスケール、下部にインチで10インチのスケールが刻まれているので、国内向けの計算尺なのでしょう。上固定尺右側に単発航空機のシンボルマークが刻まれていますが、リコー系の計算尺でこういう特殊なマークがある計算尺も初めてです。戦前尺によくある症状で裏板が腐食して崩壊寸前でした。この裏板の表面メッキ部分と中のアルミ部分の電位差によって湿気が引き金となり一種の電池と化して電気分解してしまうようなのです。その電位差による腐食を促進するのがこの裏板を本体に繋いでいる金属の鋲とネジで、表面部分と中の部分を導通させて電位差を等しくしようとする作用が電気分解に拍車を掛けているようです。アルミからメッキなどの表面加工を排除するか、ラッカー仕上げであれば防げた問題なのですが、当時はメーカー側も予測できなかった現象なのでしょう。0.5mmの厚さで長さが30cmのアルミ板が市販されていますから、何とか似たような裏板を自作できそうな気もしますが、本体からどうやってピンを抜くかが問題です。さらに電気分解で酸化したアルミニウムが溝を押し上げ、溝部分が変形していますが、どうやって元に戻すかというのも問題です。湯で煮て平坦な金属板に挟み上下に圧力を掛けて乾燥させるという手段はセルロイドのほうが変形しそうで恐いですが、何か手段があるかも知れません。
Relay109

RELAY No.109 表面拡大画像はこちら
RELAY No.109 裏面拡大画像はこちら
RELAY No.109 滑尺裏面拡大画像はこちら


| | | Comments (3) | TrackBack (0)

November 17, 2007

エバン・トーマス式安全灯(炭鉱用カンテラ)

Ethomas マルソー型安全灯はガス気の多いフランスで考案された安全灯で、デービー型安全灯やクラニー型安全灯ではメタンガスを含む風に曝されることで伸張した炎が金網を赤熱し、外部のメタンガスに引火する危険性が高いため、金網を銅と鉄の二重構造にしてその金網の筒を鉄製の風よけで覆った所がマルソー型安全灯の特徴です。油灯時代としてはもっとも安全なカンテラの一つでしたが製造元によって色々と手を加えられ、時代と共に改良されてきています。しかし、油灯である限りは時間の経過と共に煤で光度を失うことと、金網に煤が溜まったものがメタンで伸張した炎で赤熱されると外部のメタンに着火してガス爆発を起こす危険性があり、1880年代に考案された煤の出ないウルフ型揮発油灯によってだんだんと置き換えられてきました。しかし、石炭の炭化度が進んでガス気の少ない英国の炭鉱では、今世紀に入ってからもランニングコストの安い油灯が好まれて使用され続けたようです。
 今回入手したマルソー型安全灯は底に鉛筆書きで「トーマス安全灯・独製」と書いてありましたが、どう見ても英国製の安全灯です。外部には製造所を示すような刻印が無く、又現時点では開錠出来ていないので、油壷の上に何らかの刻印が刻まれているかも知れませんが判然としません。なので確たる証拠はありませんが英国製のEVAN THOMAS & WILLIAMSの炭鉱用カンテラとして話を進めさせていただきます。どうしてこの型式の安全灯が「トーマス安全灯」とされたかの経緯は、どうやら丸善が発行した「永積純次郎著 採鉱学 全5巻」中の「第2巻 鉱山変災」中の型式分類に従った為のようです。この本は昭和の始めに発行された大変に古い本ですが、まだ大手の炭鉱でも蓄電池灯と揮発油灯が混用されていた時代の資料として欠かすとの出来ないものです。国産の揮発油灯では本多式の他に横田式の記述も見られます。
油灯でありながら多くの英国製安全灯と違って平芯ではなく、まるで揮発油灯のような丸芯を使うタイプで、その芯をウイックピッカーと呼ばれる針金で上下させる簡単な仕組みですが、トーマス・ウイリアムスの安全灯に丸芯のものがあるのかどうかは判りません。実際に坑内で使われた安全灯で、マグネットにプランジャーを組み合わせたようなごつくて頑丈なロックシステムを備えるのがレプリカの炭鉱用カンテラとは異なります。鉄製のボンネットに打ち傷へこみがありませんでしたので、当初から鉱山監督局が安全性比較の資料として入手したのかもしれません。ボンネットには半分ほど黒のエナメル塗装が残ってました。ウルフ安全灯などに比べると非常に重く感じる安全灯で、それもそのはず砲金製鋳物パーツを機械加工したものが多用されており、重量はあるのですがその分作りの良さを感じさせる安全灯です。型式としては典型的なマルソータイプの安全灯でボンネット下の吸気口から二重のガーゼメッシュを通して吸気し、燃焼して熱せられた排気はメッシュを通してボンネット上部のスリットを通して外部に抜ける仕組みです。先に出てきた「鉱山変災」ではこのボンネット下の吸気口から二重メッシュを通して吸気する安全灯形式を「エバン・トーマス式」と称しています。この安全灯のロックの解除ですが、どうやら足踏み操作の空気圧で作動するプランジャー式開錠装置に掛けてロックを解除する仕組みになっているらしく、マグネチックロックやリードリベットロックに比べると手軽ではないためか、我が国ではまったく普及しなかったロックシステムです。
 「採鉱学第2巻鉱山変災」の記述によると、安全灯の検査基準は 1)6尺の高度より安全灯を木床に落とす事 2)6尺の高度より5ポンドのものを安全灯の上に落とすこと 3)安全灯の下部に長さ6尺の糸を結びこの下端に重量10ポンドの物を付けこれを6尺の高さより落とす 4)安全灯腰硝子を直立し置き硝子の上部4尺の高度より重量1ポンドの物をこの上に落とす 5)同上の硝子を華氏212度に熱したる後急に華氏60度の冷水に入るる事 之等の試験に破損せざるものを合格とする。というようになっておりますが、このほかにも気流による火炎の動揺などの検査もあり、明治末期の安全灯の構造や取扱不良によるガス爆発多発を受けて設立された直方の石炭坑爆発予防試験所の結論は「ウルフ式揮発油等を以てもっとも安全な灯火である」というようにされたようです。大正末年頃の大手炭鉱61坑における安全灯種の比較を見ると、手提げの揮発油灯22,960個に対して、蓄電池式帽上灯および手提げ灯が53,707となっており、大正末にすでに両者の数が逆転し、蓄電池灯が急速に普及していったのがよくわかります。

| | | Comments (1) | TrackBack (0)

November 15, 2007

RICOH No.777 株式計算尺

 RELAY/RICOH系の計算尺にはHEMMIほど特殊用途で作られた専用計算尺が多くはないようですが、そのRELAY/RICOHの計算尺の中でも数少ない特殊用途の計算尺の一つがこのRICOH No.777株式計算尺です。投資家用に縁起を担いで「スリーセブン」などという型式名にしたのではないでしょうが、他にRICOHの計算尺で700番台の型式を持つものを知りません。昭和40年代も中頃に差し掛かる頃の計算尺ですが、この時代のHEMMIであれば特殊用途の計算尺は尽くプラスチック素材でリリースされているのにも係わらず、RICOHは末期まで竹製の素材をメインに使用したようで、この株式計算尺も竹製の計算尺です。ベースは10インチ片面尺のNo.116系を使用していてケースも青蓋のブロー成形ポリエチレン素材のケースです。刻印は「RS-12」で昭和44年12月佐賀工場製です。同型式のRICOH No.777は他に「SS-1」刻印の物しか見たことが無く、その数の少なさからしても44年12月と45年1月のたった2ヶ月間しか製造していない計算尺かもしれません。つや消し塗装を施したように妙に表面のざらざらする計算尺で、滑尺裏には目盛がまったく刻まれていなくのっぺらぼうです。しかし、滑尺裏も白塗装でごまかされているわけではなくちゃんとセルロイドを貼ってあります。構造的に面白いのは上下固定尺を繋いでいるアルミの板内側のプラスチックが省略され、アルミの板のみで上下が繋がれていることで、これは滑尺裏に目盛が無く、裏側に副カーソル線を刻む透明のセルを嵌め込む必要がないためです。その裏板のアルミの内側・滑尺溝部分に青竹色の塗装が施されています。まるで日本の軍用機の内部色のようですが、アルミ板の外側は何とピンク色のカラーアルマイト処理がされていて、このピンクは取り説の表紙の色にもなっています。こんなカラフルな計算尺にはお目に掛かったのが初めてですが、表面の目盛も黒・赤・緑の三色を効果的に使い分けて、視覚的にも華やかさを強調しています。
 神奈川から入手したNo.777は外箱は失われていましたがほぼ未使用の計算尺で説明書もありました。一般的な尺種類を持たないこの株式計算尺で計算できる内容は1)一株当たりの純益金、2)資本金純益率、3)株価収益率、4)株価及び目標株価、5)成長率、6)配当性向、7)利回り、8)一株当たり配当金 9)権利落ち株価、などどなっており、株式の専門家ではないので一部理解できない項目もありますが、現代のネットトレーディング全盛の時代にあっては1社ごとに自分でちまちまとこういう計算を計算尺でこなして売買を行うこと自体「考えられない」取引手段です(笑)時代はネット経由で瞬時にこういう分析を何社にも渡って可能な訳ですから、いまどき計算尺で株価の分析なんかしていたら儲けの機会さえ得られないのが現状でしょう。そういえば20年ほど前、家庭内にはネット環境はおろかまだ16ビットのパソコンさえ無かった時代、任天堂の8ビットゲーム機「ファミリーコンピューター」を使って株式投資を行うファミコントレードなるものが野村証券にあったような気がしますが、さすがに周りでこれを導入した人は知りません。さる下北沢のバーの店長からファミコントレード導入について 真剣に相談された事はあるんですが…(笑)
Ricoh777

RICOH No.777株式計算尺表面拡大画像はこちら
RICOH No.777株式計算尺裏面拡大画像はこちら


| | | Comments (0) | TrackBack (2)

« October 2007 | Main | December 2007 »