J.HEMMI No.2 後期型
これまでまったく縁がなかったヘンミ計算尺黎明期であるJ.HEMMI時代の計算尺も「J.HENMI」「TAMAYA」「"SUN"J.HEMMI」を含めて今回で5本目です。さすがに1912年のパテント取得より前の逸見式計算尺には縁がありませんが、それでも個人商店時代のHEMMI計算尺の変遷がおぼろげながら繋がってきたような感じです。今回入手したJ.HEMMI計算尺は位取りのためのインジケータが付いたNo.2で、A型カーソル(逆Cタイプ)付きですからJ.HEMMI時代の計算尺としては最末期に属する物です。樹脂カーソルバーPAT.51788のA型カーソル付きですが、このカーソルはあまり見たことの無いタイプで、これ以前のカーソルはフルフレームでインジケーター部もフルバックプレートでしたが、後のカーソルは逆Cのオープンフレームに中抜きバックプレートになるのにもかかわらず、このNo.2に付いていたカーソルはオープンフレームにフルバックプレート付きでした。インジケーターの針も異なり、後の物は針の根本が蟹のはさみのように開いていますが、このカーソルの針は大正期の物と同様にアルミのスタッドが埋め込まれています。類例は数例しか記憶にありませんので、過渡期のほんの短い間に存在したパターンかも知れません。ケースもフラップが短いクロス張りのもので大正期のJ.HEMMI計算尺と同じロゴが入った物でした。そこから推定するとおそらく1927年(昭和2年)の製造くらいでしょうか?この翌年にはJ.HEMMIブランドながらケースのフラップが長く「PATENT HEMMI'S」刻印の新しいクロス張りケースとなるので、製造年の推定としては正にこんな所でしょう。以前入手したNo.1/1とほぼ同じ後期型の刻印でA,B,C,D尺の種類が刻印されてはいますが刻印は大正期のものとほぼ同一です。前期のNo.1と異なりセルの鋲止めは表面の左右だけで上部スケール部分のリベット止めは廃されています。さらに裏側が大正期の物は竹の断面が見えていましたが、今回のNo.2はセルロイドが貼られています。しかし後年のNo.1/1と異なりスケール部分を含んだ被せセルではなく、細長いセルロイドの平貼りです。バックプレートがスケルトンではないA型位取り付きカーソルはネジ2本がオリジナルではありませんがプレートの裏側に「式年十三」と「号五一一八五第 録登案新用実」という刻印が入れられており、刻印も「J.HEMMI "SUN"」のネームです。三十年式は日露戦役の歩兵銃ではなく逸見の創業三十周年(1926)を。PAT.58115はA型カーソル(逆Cタイプ)を意味します。クロス張りのケースは基本的に大正期の物と同じフラップが短いケースなのですが、ケース本体の長さが異なり、後のフラップが長いタイプのケースと同寸です。上部に刻まれたスケールはインチで下部がメトリック、滑尺溝に刻まれたスケールもメトリックです。裏側の目安線窓もオーバルタイプです。裏板は以前の物と同様に銅板錫鍍金のような雰囲気でピカピカに光っています。残念ながら換算表は喪失していましたが、あとで似たような厚さの紙にコピーして再生しておきましょう。ところで、このA型の位取りインジケーター付カーソルですが、大正15年型計算尺とされる旧100番台の位取りカーソル付モデルには発売時からすでに文字盤が中抜きされたものが付いているらしいのです。大正15年型計算尺は詳しく現物を見たことがないのですが、どうも旧来のJ.HEMMI計算尺と区別するため先行して"SUN"HEMMIの刻印が入れられた新しいカーソルが付けられたのかもしれません。ここら辺りの経緯は80年も昔のことですから色々考えても「さっぱりわからない」(笑)
J.HEMMI No.2 後期型表面拡大画像はこちら
J.HEMMI No.2 後期型裏面拡大画像はこちら
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Comments
じぇいかんさん
先日入手したJ.HEMMI No.4がこちらのNo.2後期型と同じ裏に「三十年式」「実用新案登録五八一一五号」(現物は右から左」と刻まれたものでした。
換算表は一部消えていますが、ほとんど残っていて、ほぼ同時に入手したA.W.FABERの378の換算表のコピーのようでした。
近日中にブログにアップする予定です。
Posted by: ぐゎんかい | October 11, 2014 11:34 PM