HEMMI計算尺用別売レザーケース
ヘンミ計算尺用別売レザーケースの両面用と片面用の2個を偶然にも入手しました。レザーと言っても40年代のケースはビニールの黒芯に茶色い皮もどきのビニールを被せたもので、30年代までの皮ケースとは異なります。この皮もどきのケースは今となっては茶色のビニールが黒芯から剥がれ、さらに経年劣化で固くなってしまったものが殆どです。今回入手のケースは未使用品ですが、片面用のほうは茶色いビニールがめくれて硬化もはじまっていたのにも係わらず、両面用の方は柔らかいままでした。どうしたものかと思ったら両面用ケースの方が素材の厚みが薄いのです。ちなみに両面用の方は1.7ミリなのに対して片面用の方は2.7ミリありました。40年代初期と思われる両面用のケースが手持ちにありまして、そちらの方は厚みが2.7ミリありますので、今回の両面用のケースはさらにコストダウンされた後期のタイプなのでしょうか。戦前には「並サック」「革サック」の2種類が売られていた別売ケースですが、欧米と違い日本では高温多湿の気候によって革製のケースは素材自体が吸湿してしまって、常に中身の計算尺の湿度を高め、結果的に皮ケースは入れられた計算尺の裏板やカーソル枠など金属類の腐食を促進させる要因になっています。逆にステープルファイバー(スフ)あたりの積層素材の並サックは内部に湿気を溜めないためか、中の計算尺の保存性を高めるのに一役買っているようです。ビニール素材のレザーケースは素材自体がまったく湿気を引きませんし、蓋がフラップで、隙間が開いているため通気があり、意外と中身の計算尺の保存性は良く、以前入手したNo.260がこのケースに納められていたのにも係わらず金属類も表面もまったく腐食がないのに驚かされたことがあります。逆に塩ビのブロー成形で作られたプラケースは、中の通気性がまったくなく、それが原因で金属が接触していた部分のセルロイドまで腐食させてしまったものをよく見ます。どうやら、日本で使う分に限っては本皮製のレザーケースよりビニール製のフェイクレザーケースのほうが理にかなっているのかもしれません。ヘンミがポケット尺以外の皮ケースを国内向けはビニール素材にしてしまったのはコストダウンの他に高温多湿下での保存性の問題もあったかもしれませんな(笑)
さて、計算尺の別売レザーケースですが、今となっては他の付属品同様に未使用で両面・片面用の両方とも見つかる機会は少なく、特に片面用のケースは今回初めて手に入れました。片面計算尺はあまりこの手の別売りケースの必要も少ないと思われ、特に40年代以降の片面計算尺で、これに入れられた状態でオクに出品されている物はあまり記憶がありません。
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