HEMMI No.259D 機械技術用計算尺
すでに1月中のことですが、なんか帳尻合わせの為であるかの如く電気尺No.255Dに引き続き、機械技術用計算尺No.259Dを入手してしまいました。普通だったら最初の方で入手するべき計算尺なのでしょうが、No.260やNo.P261を既に持っていることと、No.259Dはタマ数が豊富な割に落札額がつり上がってしまい(ここ3年間中古30本平均落札相場:何と3,988円也)、躊躇しているうちに125本目の計算尺としての入手になってしまいました。欧米で言うところのフルログログ・デュープレックスで、類似の計算尺というと、同じHEMMIのNo.260やRICOHのNo.1053及びFUJIのNo.1280-Tあたりでしょうか。
No.259Dの前身、No.259の発売は一連の戦後型計算尺が一気に登場した昭和26年のようで、この年から「H」刻印の昭和32年製造のものまでは、No.255と同様に以降のNo.259やNo.259Dと尺配置が異なる初期型です。No.259は昭和33年製造のものよりLOGLOG尺が表面に移った標準型となります(但し、初期型から標準型へのレイアウト変更はNo.255のほうがNo.259より1年ほど早くおこなわれたような)。No.259標準型は昭和30年代末期にDI尺が加わったNo.259Dにマイナーチェンジします。初期型の箱はスモールロゴの緑貼箱、標準型はラージロゴの緑貼箱、No.259Dのみケースが3種類あり、30年代末から昭和40年までの初期モデルがNo.259と同じラージロゴの緑貼箱、昭和41年から昭和47年前半までが紺帯の入った模様貼箱で昭和47年中期から昭和50年の製造中止までは青蓋の塩ビケースのようです。No.259Dに関しては昭和47年中期以降の青蓋プラケース入りの末期型が意外に少ないようで、文具店などからデッドストックで発掘されるNo.259Dはなぜか紺帯の貼箱に入った物が殆どです。
No.259Dの尺配置は表面がLL/1,LL/2,LL/3,DF,[CF,CIF,CI,C,]D,LL3,LL2,LL1とずらし尺の切断に違いはあってもNo.254WNあたりと見分けが付かなく、表面だけ見せられると、型番の判別がつかない人がいるかも知れません。裏面はL,K,A,[B,T,S,ST,C,]D,DI,LL0,LL/0です。当然の事ながらDF,CFのずらし尺度はπ切断です。高級技術用とされるNo.260やNo.P261と比べると、これと言った特徴があるわけではありませんが、かえって普遍的で使いやすいのでしょうか。さほど価格差があるわけではないのにNo.260よりNo.259Dのほうが圧倒的に数が多いのは、製造期間の長短だけではなく、こんなところに理由があるのかもしれません。ライバル商品であるRICOHのNo.1053 π切断型と比較すると、表面の尺配置には違いがありませんが、C,D,尺の4から5までの目盛の最小単位がNo.259Dが1/20(0.05)なのに対してNo.1053のほうは1/50(0.02)とより細密です。学生用のNo.254Wは同じ製造年であるのにも係わらず1/20と1/50の両方が存在する不思議な計算尺ですが(笑)裏側は尺配置の違いの他に三角関数尺に違いがあり、No.1053はS,T1,T2,とT尺を45度で2分割していて、84度以上もしくは6度以下ぼ微小角はC,D,尺上のラジアンへの換算ゲージマークを使って計算するやり方なのに対し、No.259Dの方は専用のST尺があり、直読できるようになっています。そのためかNo.259Dの裏側C,D,尺には円の断面積計算の為のCマークの他は度をラジアンに変更するRマークしかありませんが、No.1053のほうはcマークの他に秒・分・度をラジアンに換算するゲージマークの他にπとvマークすら備えています。No.259DのC,D,尺には表面も裏面にもπマークすらありませんが、πを含む計算はCF,DF尺の両末端を利用しろということなのでしょう。計算尺としてどっちが好みかというと、No.1053のπ切断のほうです。なぜかというとNo.259Dに比べるとNo.1053のπ切断型は圧倒的にレアな存在だから(^_^;)
このNo.259Dは埼玉の深谷からですが、深谷といえば一昨年に別の人からラリー用の円盤から大串式体格計まで計算尺を3種類も入手しています。届いたNo.259Dの製造刻印は「WA」ですから昭和47年1月製造で、No.259Dにしてみると割に後期の品物になります。実は以前、たまたま秋田から入手した同じWA刻印のNo.251を所有しています。この年の半ばから青蓋の塩ビ製プラケースですが、1月製造分は紺帯の紙製貼箱は付属していたはずで、そのためプラケースと違いケースが残らなかったのかケースが欠品でした。後期の計算尺の割には程良く使い込まれたものでしたが、さすがに古い時期の計算尺と違い、軽く磨いただけできれいになりました。ケース無し両面尺でしたが、今年になってから仕入れた両面用のレザーケースが空き家だったために、めでたくそこに納まり一件落着。まあ、こういう状況を予測してケースを入手しておいたわけではありません(笑)ちなみのこの別売ケース、出品者が複数組持っていたようで、それが何物か教えてあげたおかげで以後はちゃんと「HEMMI計算尺ケース」として出品されるようになり、出品ごとに値段が高騰して行ったのを見てちょっと「しまった」と思いました。レアな存在でもう一組くらい欲しかったところなんですが、所詮ケースは2コで1,000円以上の金額を払いたくないですもんね(^_^;)
HEMMI No.259D機械技術用計算尺表面拡大画像はこちら
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