« 技研 No.9590土木測量用スタジア計算尺 | Main | アマチュア有線(磁石式電話機) »

April 27, 2008

HEMMI No.47 10" 練習用計算尺

 戦前10インチのマンハイム型計算尺のスタンダードであるNo.50/1と比べると、数が残っていそうで意外に見つからない戦前計算尺がこのHEMMI No.47 初心者練習用計算尺になります。内容的にはほぼ昭和期になって製造されたNo1/1後期型と同じですが、No.47は裏側の目安線切り欠きが片方にしかないのとセルに剥がれ止めの鋲がない、また本体がJ.HEMMI時代より薄く仕上がっていますので区別は付くと思います。戦前の練習用No.40との相違は上下固定尺のスケールの有無にあり、No.47はNo.50/1とボディー形状が同一で上下にスケールを持ちます。しかし、目盛が馬の歯型か櫛型かの相違がありますが、スケールに付される数字刻印やゲージマークはNo.1/1後期型とNo.47は殆ど同じで。A,B尺、C,D尺ともに0.5単位までわざわざ数字を付されるのもまったく同一です。そのため、No.50/1などに比べるといささかうるさい感じがしますがこれはこれでNo.47らしくていい賑やかしになっていると思います。ゲージマークはA,B,C,D尺すべてにπがありさらにA,B尺上にMマーク、C,D尺上に度分秒をラジアンに変換する3種類のゲージマークならびに円の断面積計算用のCと目はずれ対策用のC1マークという構成もJ.HEMMI時代のNo.1/1後期型とまったく同じです。本体はNo.50/1と同一かと思っていましたが、身幅は殆ど変わらないものの厚みが薄くなっていますが、それもそのはずで、No.47の構造はポケット尺のように裏板が1枚の金属板だけで上下の固定尺がつながっているため、樹脂板と金属板の二枚で構成されるNo.1/1やNo.50/1などと比べるとなるほど薄い訳です。そのかわり金属板が腐食するとバラバラになってしまいます(^_^;) 昭和15年当時の価格はNo.50/1が9円に対してNo.47は4円50銭、ちなみに同じく練習用のNo.40は2円80銭となっています。また同じく練習用なのに5インチというサイズのNo.48というサブセットも設定されていたようですが、これは見たことないなぁ。練習用に5インチのポケット尺が必要かということを突っ込みたくなりますが、これも輸出先の要求によって用意されたものなのでしょう。でもこれを買うのだったら厚さだけの違いのNo.34を買ってしまったでしょうね(笑)
 さて、練習用とはいってもNo.40と比べると過剰品質で、後年の学生用計算尺などと比べても「どのような需要を想定して作ったのかわからない」計算尺です。この手の計算尺ならCI尺くらいあっても良さそうなものですが、この計算尺もどうやら国内の要求に答えて作られた計算尺ではなく、むしろ輸出を主眼とし、No.1/1の廉価版として製造されたのかもしれません。PAUL ROSS氏によると昭和12年から開戦前まで「POST 1449T」としてアメリカで売られていたようですが、この1449Tは当然のことながら上固定尺の真ん中に「THE FREDERICK POST CO.」と社名が入れられていたようです。どれくらいの数量が海を渡ったのかは判然としませんが、このNo.47の殆どは1449Tとして海を渡り、日本国内には数がさほど出回らなかったのだとすると、あまり見つからないという理由もわかるという物です。おそらくこのNo.47は開戦で主要輸出先を失い、フェードアウトしていった計算尺なのでしょう。また、下固定尺真ん中にNo.47と形式名の刻印がある物とないものがありますが、たぶん形式刻印がないものが古いと思われます。形式刻印を入れないのは輸出用としてOEM先の形式名を入れるための配慮でしょう。国内の形式名を刻印するようになったのは輸出が止まってからの処置でしょうか?もっとも戦時仕様の計算尺は本体にHEMMIのメーカー刻印しか入っていない物が多くなりますが。
 入手先は昔住んでいた山武市にほど近い千葉県は北総の匝瑳市の南端からです。匝瑳市といってもまだなじみが薄いのですが、旧八日市場市と野栄町が合併して出来たといえばわかりやすいでしょうか?しかし、千葉の房総も平成の大合併により旧住民だったわたくしでさえも、現在の新市はどことどこが合併になったのかよくわかりません(^_^;) これ、出品されて一度は買い手がつかずに再出品になった計算尺で、前回はNo.47と気がついていながら終了時間を見間違えて流してしまったものです。前回だったら500円で落札できた物を、今回は1,300円も投資する羽目になりました。でもNo.47は三年で五本くらいしか出てないのでまあいいか(笑)ケースに何かネズミの囓り跡のようなものが認められ、ちょっと怖かったのですが、さすがに房総の海岸沿いは湿気がわりに貯まらない気候の場所故か、御年70年に近い計算尺にしては裏板の腐食も殆ど問題にならず、セルロイドも当時の範つや消し処理の状態がよくわかるくらいにいいコンディションの計算尺でした。上部のスケールがインチの物とメトリックのものの両方が存在しますが、今回入手したものは上がインチ、下底面がメトリックのスケールを持つ米英輸出仕様のものです。カタログ上ではスケール違いのモデルが区別されている訳ではないのに、なぜ国内からスケール違いで両方のモデルが出てくるのか不思議ですよね。
Hemmi_no47
 似たもの同士の共演(笑)

 HEMMI No.47 10"練習用計算尺表面拡大画像はこちら
 HEMMI No.47 10"練習用計算尺裏面拡大画像はこちら

| |

« 技研 No.9590土木測量用スタジア計算尺 | Main | アマチュア有線(磁石式電話機) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference HEMMI No.47 10" 練習用計算尺:

« 技研 No.9590土木測量用スタジア計算尺 | Main | アマチュア有線(磁石式電話機) »