コンサイス HYPSOMETER(簡易測高器)
珍品、コンサイスのHYPSOMETERという簡易測高器です。一種の簡易的なレベルで、おそらく植生調査などの用途で樹木などの大まかな高さなどを測るための器具ではないかと思います。まさかこんなものがコンサイスで製作されていたとは思いませんでした。黒い部分が筒型の照準器で先端に十字線があります。これを樹木や鉄塔などの先端に目視であわせてその角度を測定し、実測した目標物までの距離Lによって目標物の頂点から測定地点をなす角度を算出し、三角形の正弦定理で目標物の高さHを求めるという原理ですが、当然のことながら測定物下端までの距離Lと目線の高さを別な手段で実測する必要があります。円形部分の直径が12.1cmという大型で、さらに照準器の部分が加わるため、縦が15cmあります。表裏に独立したカーソルを持ち、表面裏面それぞれの対数尺を持つ円盤がはまった両面構造の計算尺です。裏側が照準器を使った角度測定に使用するらしく「角度面」との刻印があり、表面には「計算面」との刻印があります。
コンサイスは企業からの特注で各種の換算系計算尺を以前から製造していたようですが、その数量が少ないことと、その企業の外部に持ち出されることが殆どないためか、その全容はつかめません。おそらくこの簡易測高計も外部のアイデアを具体化した特注品のたぐいなのでしょう。いちおう「PAT.P.NO.34504」と刻印されていますが、実際にパテントが降りたかどうかはわかりません。企業特注の計算尺は発注企業のマークがどこかしらに入るはずですが、このコンサイスにはそれらしきマークやロゴは一切なく、ケースに「K.K.ヤシマ農林器具研究所」のシールと説明書に社名・所在地のスタンプが押されているだけです。そのため、このヤシマ農林器具研究所が開発してコンサイスに作らせたのか、単なる取り扱い代理店なのかは判然としません。WEBで「ヤシマ農林器具研究所」を検索しましたが、それらしき情報にはヒットしませんでした。角度を測定するときにどうやって鉛直を出すのかとはなはだ疑問だったのですが、なんと裏面のカーソル先端におもりに相当する金属が装着されていて、照準器で比測定物の上端をねらって中央の金具を表面から圧すると、裏面カーソルのフリクションがフリーになり、おもりでカーソルが鉛直方向を示し、再び金具をリリースするとフリクションでカーソルが固定され、カーソルの示した角度が円周上の角度目盛りで求められるというものです。同じように比測定物の下端とのなす角度を被測定物までの実測距離Lをもとに算出し、表側の比測定物の hを求める尺によって比測定物の高さを調べるものです。
まあ、当然のことながらトランシットやポケットコンパスなどを使用して測るのと比べると誤差の桁が比べ物にならないわけですから、「簡易」の名前が付くのでしょうね(笑)
CONCISE HYPSOMETER(簡易測高器)表面拡大画像はこちら
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