RICOH ALEXの変種
昭和40年頃から続いているという石垣島の金物屋からミニ計算器のアレックスが複数個発掘され、それがオクで300円即決で出品されたため、アレックスはすでに一個持っているのにも係わらず即刻で落札してしまいました。もっとも各桁に花模様で万や千などの桁単位シールが貼られており、このパターンのアレックスは初めて見たという事情もあったのですが…。このアレックスに関しましては数々の変種が知られておりますが、大まかには加減の切り替えとリセットのレバー形状が異なる前期型と後期型の2種があります。RICOHのマークが入った後期型が欲しかったところですが石垣島からやってきたアレックスは前期型でした。説明書と沖縄県内の総販売元である日本総業という会社のペラが入っていましたが、このアレックスはどうやら沖縄県内にあっては主に訪問販売によって売られたようです。この日本総業という会社は現在の設備管理やゲルマニウム枕の同名2社とはまったく異なる怪しげな会社のようで、この沖縄事業本部というのがアパートの一室という不自然さ(笑)「宣伝販売員募集中。主婦・アルバイトの方もどうぞ」とのことで、彼らのマージンを十分得るためか、本土ではたかだか500円程度で売られた計算器が何と1,300円で販売されていたようです。しかも「沖縄県」ということですから、本土復帰後の昭和47年5月以降に売られたということになり、本土ではすでにカシオミニを嚆矢とする低価格電卓戦争突入の時期になります。しかも、説明書を開いてみて何かおかしいと思ったら、「総発売元・リコー計器、製造元・明和製作所」の部分が切り取られていました(^_^;) また昭和47年以降に販売されていたのにもかかわらず前期型のアレックスだというのもおかしいと思いましたが、どうやら後期型のアレックスは「RICOH」のマークがしっかり刻まれましたので、あえて前期型のアレックスをかき集めたような感じです。どうやら本土では低価格電卓出現でもう決定的に売れなくなった手動加算器を本土復帰直後の沖縄ならまだ売れるだろうと本土で在庫を買いたたき、製造元を不詳にするため前期型だけをかき集めて説明書の一部を切り取り、かわりに自分のところのペラを一枚入れたのかもしれません。その販売方法というのも応募してきた宣伝販売員にある程度の数を押しつけ、在庫が捌けたら事務所ごと消え去るという手法だったのかもしれません。いくら情報の少なかった沖縄とはいえ、本土で売れ残った物がどんどん売れるわけはなく、石垣島からまとめて何個も発掘されるということになったのでしょう。でもまあ、アレックスがどうしてもほしかった計算器マニアにとっては朗報でした。
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