HEMMI No.47 10"練習用計算尺(メトリックスケール)
J.HEMMI時代末期のNo.1/1のデザインをほぼそのまま取り込んだ10インチ初心者練習用計算尺 No.47は、さすがに戦後には継承されなかった計算尺ゆえに、数が残っていそうで実際にはあまり出てこない計算尺の一つです。以前、形式名の入っていないNo.47を入手していましたが、今回たまたま型式入りのNo.47が出てきて思わず2本目のNo.47を入手してしまいました。このNO.47には何故か昭和37年発行のヘンミ両面計算尺の使用説明書がおまけに付いていまして、個人的にはどっちが主でどっちが従なのかわかりませんが野口先生1枚で入手したものです。前回「なぜ刻印が2種類存在するのかがわからない」と書きましたが、前回入手したものの上部スケールがインチで、今回入手したものがメトリックなため、どうやら「インチスケールのものには形式名がなく、メトリックスケールのものには形式名がある」という法則が成り立つようです。インチスケールのものに形式名が入らない理由は輸出用として上部にTHE FREDERICK POST CO.の名前が刻印され、POST 1449Tの形式名が付加されるためでしょうね。国内にインチスケールとメトリックのものがカタログ上、区別されて併売された様子はありませんが、戦前のものは他の型式も含めて国内からインチスケールのものが出てきますので、あまりこだわらずにそのときに生産されたものを双方の区別無く国内に出荷していたのかもしれません。またその当時の国内でも、機械技術の世界ではヤードポンドのほうがまだまだ幅を利かせていましたので、インチスケールの方が好まれたケースもあったのかもしれません。
入手先は奈良の橿原市で、以前この近辺からは結構きれいなNo.50/1を入手しています。刻印違いの双方を実体顕微鏡まで使って何か相違が無いかと思って鵜の目鷹の目で捜してみますと、目盛の密度や種類にはまったく差がありませんが、唯一インチスケールのものは、目盛がゲージマークや数字を貫通している(全般的に長い)のに対してメトリックのものは寸留めになっているという相違が認められました。おそらく目盛加工の原版自体が異なるのでしょう。ところで輸出版のPOST 1449Tですが、この初期のモデルNo.1449は"SUN" HEMMI時代に入ってからのNo.1/1に他ならないのです。その形式名1449におそらく「Thin」のTを付けたものがNo.1449TすなわちNo.47ということらしく、アメリカのコレクターが言う「No.1/1のモデルチェンジ版がNo.47である」という根拠はここいらにあるようなのですが、これはあくまでもFREDERICK POST側の事情ですからヘンミ計算尺の側としてはあくまでも40番台練習用モデルでしょうね(笑)
メトリックとインチのスケール違いのNo.47
HEMMI No.47 10インチ練習用計算尺(メトリックスケール)表面拡大画像はこちら
HEMMI No.47 10インチ練習用計算尺(メトリックスケール)裏面拡大画像はこちら
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