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January 30, 2009

HEMMI No.47 10"練習用計算尺(メトリックスケール)

 J.HEMMI時代末期のNo.1/1のデザインをほぼそのまま取り込んだ10インチ初心者練習用計算尺 No.47は、さすがに戦後には継承されなかった計算尺ゆえに、数が残っていそうで実際にはあまり出てこない計算尺の一つです。以前、形式名の入っていないNo.47を入手していましたが、今回たまたま型式入りのNo.47が出てきて思わず2本目のNo.47を入手してしまいました。このNO.47には何故か昭和37年発行のヘンミ両面計算尺の使用説明書がおまけに付いていまして、個人的にはどっちが主でどっちが従なのかわかりませんが野口先生1枚で入手したものです。前回「なぜ刻印が2種類存在するのかがわからない」と書きましたが、前回入手したものの上部スケールがインチで、今回入手したものがメトリックなため、どうやら「インチスケールのものには形式名がなく、メトリックスケールのものには形式名がある」という法則が成り立つようです。インチスケールのものに形式名が入らない理由は輸出用として上部にTHE FREDERICK POST CO.の名前が刻印され、POST 1449Tの形式名が付加されるためでしょうね。国内にインチスケールとメトリックのものがカタログ上、区別されて併売された様子はありませんが、戦前のものは他の型式も含めて国内からインチスケールのものが出てきますので、あまりこだわらずにそのときに生産されたものを双方の区別無く国内に出荷していたのかもしれません。またその当時の国内でも、機械技術の世界ではヤードポンドのほうがまだまだ幅を利かせていましたので、インチスケールの方が好まれたケースもあったのかもしれません。
 入手先は奈良の橿原市で、以前この近辺からは結構きれいなNo.50/1を入手しています。刻印違いの双方を実体顕微鏡まで使って何か相違が無いかと思って鵜の目鷹の目で捜してみますと、目盛の密度や種類にはまったく差がありませんが、唯一インチスケールのものは、目盛がゲージマークや数字を貫通している(全般的に長い)のに対してメトリックのものは寸留めになっているという相違が認められました。おそらく目盛加工の原版自体が異なるのでしょう。ところで輸出版のPOST 1449Tですが、この初期のモデルNo.1449は"SUN" HEMMI時代に入ってからのNo.1/1に他ならないのです。その形式名1449におそらく「Thin」のTを付けたものがNo.1449TすなわちNo.47ということらしく、アメリカのコレクターが言う「No.1/1のモデルチェンジ版がNo.47である」という根拠はここいらにあるようなのですが、これはあくまでもFREDERICK POST側の事情ですからヘンミ計算尺の側としてはあくまでも40番台練習用モデルでしょうね(笑)
Hemmi47
 メトリックとインチのスケール違いのNo.47
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January 29, 2009

HEMMI No.86K 6"電気用計算尺

 昨年末にIDEAL RELAY時代のNo.601を入手したのが6インチ計算尺としては最初の一本になりましたが、類は友を呼ぶというわけでもないのでしょうがタイミング良く2本目の6インチ計算尺を入手しました。それもなぜか今まで殆ど見たこともない昭和30年代のHEMMI6インチ電気用計算尺No.86Kです。昭和40年代まで作られていたはずなのにまるでお化けみたいな存在で、めったに遭遇することがないため今回初めて現物を目にすることが出来ました。このNo.86Kは戦前のNo.80の6インチ縮小版であるNo.86/3が戦後の昭和25年末に下固定尺側面にK尺を加えたNo.86/3Kを経て、最終的にNo.80Kの6インチ縮小版であるNo.86Kに生まれ変わるわけです。戦後型のNo.86/3Kは戦前の電気尺同様に滑尺溝部分にモーターの効率および電圧降下を計算する尺が刻まれていて、滑尺のインジケータで目盛を読むために、滑尺が上下の固定尺より短いという外見上の特徴がありましたが、10インチのNo.80Kの方は最初からNo.2664やNo.64と共通のボディとなったため、この6インチのNo.86Kもモーター効率および電圧降下尺が表面に移動し、滑尺も上下固定尺と等長となっています。しかし、なぜ戦前のNo.86/3の下固定尺側面にK尺を刻んだNo.86/3Kが戦後のごく短期間に発売される理由があったのかは一つの謎です。このNo86/3Kは戦前No.80/3同様に滑尺裏のSINはA,B,尺目盛で、L尺T尺はC,D,尺で読むタイプで、副カーソル線を刻んだ透明セルロイドも嵌っていない旧態依然のシロモノです。また戦後のNo.86/3KはA,B,尺の延長部分が戦前No.80/3同様に0.785から、C,D,尺は0.890スタートとなっていますが、入手したNo.86Kは通常型のNo.80K同様に0.8と0.9スタートの延長目盛です。この6インチNo.86Kにも延長目盛の違いで2種類が存在するかどうかはサンプルが少なすぎて把握していません。
 10インチのNo.80Kもさほど見かけない存在であるのに輪をかけてNo.86Kは虱潰しに捜しても見つからない計算尺です。その理由は戦前は電気技術の専門家以外にもNo.80/3が使われたためか、今でもNo.80というと戦前尺のほうを多く見かけますが、戦後は専用計算尺の種類も増えたため、相対的にNo.80系統のシェアが激減したことにありそうです。しかもアメリカ人技師は10インチの計算尺を皮ケースごと腰にぶら下げて歩くのがごく普通でしたから、ましてグローバルスタンダードから外れる6インチの電気尺の需要がアメリカで旺盛だったとも考えられません。そのため、6インチ電気尺のNo.86Kの生産数がそもそも当初から少なかったのでしょう。
 尺種類は10インチのNo.80とまったく同じで、表面がE,F,A,[B,CI,C,]D,LL2,LL3で側面にK尺を刻み、滑尺裏はS,L,T,尺です。目盛密度が10インチ尺と同一で省略がないため、拡大レンズ無しの裸眼ではいささか厳しい感じですが、戦前のように拡大レンズ付きのバージョンは発売されなかったようです。カーソルは円の断面積と出力換算のための補助カーソル線付き3本線で、側面にK尺が刻まれたため透明セルロイドで出来たインジケーターが付く専用品になります。なお、K尺は目盛が込み入ったことが原因で10,100,1000の0がすべて省略されて1,1,1と刻まれているのが10インチ尺と異なります。
 入手先は、あの特殊計算尺研究所がバネ計算尺を生んだ群馬の桐生市からでした。昔から機業が盛んだった事から発展した機械工業・自動車部品工業の町だけありこのような計算尺の需要も旺盛だったのでしょう。おまけに金園社版村上次朗の「計算尺の使い方」と何故かNo.255D/275Dの短冊形説明書が付いていました(^_^;) 刻印は「JJ」ですから昭和34年10月製。箱はスモールロゴの緑貼箱ですが、刻印が10インチ用と変わらないので6インチ用の貼箱に箔押しすると殆ど上蓋の大半がロゴマークに埋め尽くされるような感じです。箱はセロハンテープで巻かれたボロでしたが、中身は反りも隙間もない上の部類でした。
Hemmi_no86k

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January 28, 2009

RELAY No.152 技術用計算尺

 RELAY/RICOHの150番台が付番された両面計算尺で155番台以降の特殊計算尺を除くと唯一LOGLOG尺を持たないのがこのNo.152になります。ダブルスターRELAY時代の品番がDT-1005で輸出されていましたが、後に輸出用の品番も国内向けと同様にNo.152に統一されました。当時のRELAY計算尺はその殆どがHEMMI計算尺の亜流ですが、このNo.152が参考にしたモデルはHEMMIのNo.250であることは確かなのですが、いちおうは技術用のポジションであったようで、HEMMIのNo.250と異なり表面のCF,DF尺はπ切断ずらしになっています。このNo.152はRICOHの刻印が付いたものをまったく見かけませんが、それというのもRELAY刻印の時代に上下固定尺等長のNo.252にモデルチェンジしてフェードアウトしてしまったからのようです。そのためRICOH時代まで生産が続いた他の150番台LOGLOG尺に比べるとかなりレアな計算尺です。今回入手したNo.152は製造刻印が「I.S-2」ですから昭和35年2月の佐賀製ですが、以前から所持しているNo.252が「I.S-4」で昭和35年4月の佐賀製ですからこの間に製造がNo.252にシフトしてしまったのでしょうか?そのNo.252にしてもRICOH刻印の赤蓋肌色貼箱入り及び透明塩ビケース入りのものはしばしば見かける計算尺ですが、RELAY刻印のNo.252は殆ど見かけません。当時は国内向けより輸出の方が忙しかった為にあまり国内販売に力が入っていなかったのかもしれませんね。
 今回のRELAY No.152の入手先は滋賀県の草津市でしたってKIMさんの地元じゃないの?(^_^;) RELAY/RICOH両面計算尺のカーソルは終末期まで大まかに4回ほどモデルチェンジを繰り返していますが、このNo.152にはカーソルバーが横に張り出していない最初のフレームレスカーソルが付いていました。というよりもNo.252に取って代わったのだとするとこの四角いフレームレスカーソル以外には存在しないのでしょう。表面はDF,[CF,CIF,CI,C,]D,L,の7尺でDF,CF尺はπ切断ずらし。裏面はK,A,[B,S,ST,T,C,]D,DIの9尺の合計16尺です。モデルチェンジ版のNo.252の裏面の内容は若干異なりK,A,[B,T1,T2,ST,S,]D,DIの9尺です。モデルチェンジ版のRELAY No.256が裏面のみでC尺D尺を使った計算が出来なくなったのはむしろHEMMIのNo.250に近づいたような感じですが、HEMMIのNo.250は三角関数尺が逆尺ですが、RELAYはNo.152もNo.252も三角関数尺はすべて順尺だという違いがあります。No.152は逆尺のロゴと数字のみが赤で刻まれていますが、No.252のほうは逆尺は目盛まですべて赤で刻まれています。ところがNo.252に限っていうと、RELAY時代のNo.252は表面CIF尺CI尺並びに裏面DI尺が目盛まで赤で刻まれていますが、RICOH時代のNo.252は目盛まで赤で刻まれているのはCIF尺だけという違いがあるようです。この計算尺に装着されているRELAYでも初期型のカーソルは不都合なことが一点だけあり、それはネジの構造上、上下のカーソルグラスを基線に合わせて微調整することが出来ない実質的には固定タイプなのです。幸いにも上下のカーソル線が狂っているということはありませんでしたが、コストダウンのためカーソルバーにナットを埋め込む工作を嫌って下から差し込まれるピン状の袋ナットを上からのネジの受けにするという構造にしたのでしょう。後のRELAY/RICOHの計算尺が大型化したのはネジ受けのナットを埋め込んで上下のカーソルグラスが独立して調整できるようにしたからに他なりません。
Relay152

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January 27, 2009

HEMMI No.259 機械技術用(後期型 KK刻印)

 機械技術用の両面計算尺で、実質的に標準モデルとなると誰しもNo.259Dを連想すると思われます。このNo.259Dは昭和40年代に他の両面計算尺と比べてもかなり大量に使われたようで、今でも常にオク上には一本は出品されていますが、人気が非常に高く中古のものでもかなり高価に落札されています。ところが、Dの付かないNo.259はNo.259Dに比べるとかなりの少数派です。これは電気用のNo.255DとNo.255においても言えることですが、昭和20年代後半から昭和30年代中期においては両面計算尺の売価というものが物価に比較すると高価で、まだまだ個人で気軽に購入出来るような物ではなかったのでしょう。それが池田内閣の所得倍増ではありませんが個人所得の増大とともに、もはや昭和40年代に入ってからの両面計算尺は「清水の舞台から飛び降りる」思いで買うような高額商品ではなく、個人でも購入できる範囲の計算ツールと化しましたので、このあたりが「20年代30年代の両面計算尺は数が少なく、40年代の両面計算尺はそれに比べるとかなり多い」という理由なのかもしれません。
 昭和26年に他の新系列の計算尺とともに発売されたNo.259機械技術用計算尺は昭和39年末に製造されたDI尺追加のNo.259Dにマイナーチェンジするまでの約14年間に型番はそのままで恐ろしく見かけが異なる物が2種類発売されています。発売当初から昭和32年の「H」刻印のものまでは表面がL,K,DF,[CF,CIF,CI,C,]D,LL0,LL/0,の10尺、裏面がLL/1,LL/2,LL/3,A,[B,T,S,ST,C,]D,LL3,LL2,LL1,の13尺ですが、昭和33年「I」刻印からはLL尺が表面に移動し、表面がLL/1,LL/2,LL/3,DF,[CF,CIF,CI,C,D,LL3,LL2,LL1,の12尺で裏面がL,K,A,[B,T,S,ST,C,]D,LL0,LL/0の11尺です。この後期型のLOG尺を表面に配置するデザインは、以後254Wなどの学生用両面尺も含めて「ログログデュープレックスの標準レイアウト」となりました。また、後のNo.259DはNo.259の後期型裏面にDI尺を加えたマイナーチェンジ版になります。
 前期型のNo.259は「HC」刻印のものを、No.259Dは「WA」刻印の物を入手していましたが、今回後期型のNo.259を入手したことで、No.259機械技術用計算尺の3つのバリエーションがすべて揃ったことになります。今回入手したNo.259の入手先は山形県の新庄市で、製造刻印は「KK」ですから昭和35年の11月製です。殆ど使用されずにしまい込まれたものらしく、ケースはたばこのヤニでコートされていましたが、中身は竹の両端もきれいでクリーニングだけでほぼ新品同様になりました。緑の貼箱は後期のラージロゴなのですが、本体に装着されていたカーソルはバネが両端2点で接触する前期型となります。このカーソルバネの形状変更はもっと以前に行われていたと想像していましたが、昭和35年末でも旧タイプのものが使用されていたとは知りませんでした。またNo.259の20インチ版であるNo.279にも尺のレイアウトが異なる前期型と後期型がある他にDI尺が加わったNo.279Dの3種類がありますが、こちらの方を三種類とも入手するのは相当困難が伴いそうです。なにせ20インチ両面の機械技術用計算尺はオクでも2万を下ることはありませんので、これは他の人にお任せしましょう(笑)そもそも20インチの両面尺なんぞ、辛うじて電気用のNo.275Dを一本持っているだけですし(^_^;)
Hemmi259
 HEMMI No.259前期型(HC刻印)とHEMMI No.259後期型(KK刻印)の表面比較
 HEMMI No.259機械技術用(後期型)表面拡大画像はこちら
 HEMMI No.259機械技術用(後期型)裏面拡大画像はこちら


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