RELAY No.152 技術用計算尺
RELAY/RICOHの150番台が付番された両面計算尺で155番台以降の特殊計算尺を除くと唯一LOGLOG尺を持たないのがこのNo.152になります。ダブルスターRELAY時代の品番がDT-1005で輸出されていましたが、後に輸出用の品番も国内向けと同様にNo.152に統一されました。当時のRELAY計算尺はその殆どがHEMMI計算尺の亜流ですが、このNo.152が参考にしたモデルはHEMMIのNo.250であることは確かなのですが、いちおうは技術用のポジションであったようで、HEMMIのNo.250と異なり表面のCF,DF尺はπ切断ずらしになっています。このNo.152はRICOHの刻印が付いたものをまったく見かけませんが、それというのもRELAY刻印の時代に上下固定尺等長のNo.252にモデルチェンジしてフェードアウトしてしまったからのようです。そのためRICOH時代まで生産が続いた他の150番台LOGLOG尺に比べるとかなりレアな計算尺です。今回入手したNo.152は製造刻印が「I.S-2」ですから昭和35年2月の佐賀製ですが、以前から所持しているNo.252が「I.S-4」で昭和35年4月の佐賀製ですからこの間に製造がNo.252にシフトしてしまったのでしょうか?そのNo.252にしてもRICOH刻印の赤蓋肌色貼箱入り及び透明塩ビケース入りのものはしばしば見かける計算尺ですが、RELAY刻印のNo.252は殆ど見かけません。当時は国内向けより輸出の方が忙しかった為にあまり国内販売に力が入っていなかったのかもしれませんね。
今回のRELAY No.152の入手先は滋賀県の草津市でしたってKIMさんの地元じゃないの?(^_^;) RELAY/RICOH両面計算尺のカーソルは終末期まで大まかに4回ほどモデルチェンジを繰り返していますが、このNo.152にはカーソルバーが横に張り出していない最初のフレームレスカーソルが付いていました。というよりもNo.252に取って代わったのだとするとこの四角いフレームレスカーソル以外には存在しないのでしょう。表面はDF,[CF,CIF,CI,C,]D,L,の7尺でDF,CF尺はπ切断ずらし。裏面はK,A,[B,S,ST,T,C,]D,DIの9尺の合計16尺です。モデルチェンジ版のNo.252の裏面の内容は若干異なりK,A,[B,T1,T2,ST,S,]D,DIの9尺です。モデルチェンジ版のRELAY No.256が裏面のみでC尺D尺を使った計算が出来なくなったのはむしろHEMMIのNo.250に近づいたような感じですが、HEMMIのNo.250は三角関数尺が逆尺ですが、RELAYはNo.152もNo.252も三角関数尺はすべて順尺だという違いがあります。No.152は逆尺のロゴと数字のみが赤で刻まれていますが、No.252のほうは逆尺は目盛まですべて赤で刻まれています。ところがNo.252に限っていうと、RELAY時代のNo.252は表面CIF尺CI尺並びに裏面DI尺が目盛まで赤で刻まれていますが、RICOH時代のNo.252は目盛まで赤で刻まれているのはCIF尺だけという違いがあるようです。この計算尺に装着されているRELAYでも初期型のカーソルは不都合なことが一点だけあり、それはネジの構造上、上下のカーソルグラスを基線に合わせて微調整することが出来ない実質的には固定タイプなのです。幸いにも上下のカーソル線が狂っているということはありませんでしたが、コストダウンのためカーソルバーにナットを埋め込む工作を嫌って下から差し込まれるピン状の袋ナットを上からのネジの受けにするという構造にしたのでしょう。後のRELAY/RICOHの計算尺が大型化したのはネジ受けのナットを埋め込んで上下のカーソルグラスが独立して調整できるようにしたからに他なりません。
Relay No.152 技術用表面拡大画像はこちら
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