98ノート狂騒曲
当時住んでいた富里町、現富里市の七栄にMacintoshの販売でも有名だったSTEPの富里店があり、説明もサポートもとりあえず求めない当方は出たばかりのLC630をはじめ、かなりのディスカウントプライスでPERFORMER 588やDOS/V機のCOMPAQ PROLINEOR およびEPSONの98互換機PC-486HAなどを購入し、X-68000ACEを含めて一時期「AMIGA以外で動かないパソコンゲームタイトルはない」(さすがに8ビット機は除きますが)環境が整っていた時期がありました。そのEPSONのPC-486HAは唯一の98互換機でしたが、終末期の98互換機らしく、486DX2 66MHzでWindows アクセラレーターも備えるという98の資産を活用するだけではオーバースペックな内容のパソコンでしたが、EPSONの98互換機からの撤退により、PC-486はWindowsがWin95までは対応したもののWin98の対応が切り捨ててしまったため、この機械ではWin95にアップデートしたまでで終わってしまいました。FDD 3ドライブ搭載でFM音源も動作したので、懐かしの98系ゲームにはもってこいのマシンでしたが、CDドライブを内蔵出来ず外付けになってしまうため、CD-ROMが必要なタイトルはDOS-V機の方を起動してしまうため、ゲーム以外には使用することもなく、いつの間にか電源も入らなくなってしまいましたが、こないだ久しぶりに電源を入れてみると問題なく起動しました。内蔵電池くらいはもう駄目かと思いましたが、日付も狂っておらず他のマシンが全て駄目になってもこのPC-486HAは最期まで生き残るのではないかと思わせる程でした(笑)
しばらくぶりでMS-DOSのコマンドをこのPC-486HAで打ってみましたが、パラメータとかスイッチとか既に忘却の彼方で、FDフォーマットのコマンドにどんなスイッチを追加したら1.44でフォーマット出来るのかなんていうことまで、まるで記憶喪失にかかったように忘れ去っていました。ところが記憶に残っていないものの、指が勝手に覚えているということはけっこうあるようで、しばらくいじっていたらさほど不自由なく扱えるようになりました。
こうなったら個人持ちではついぞ縁がなかった98ノートをDOSのみで操作してみたい衝動に駆られましたが、条件としてはPC98独特の640X400表示でTFTカラーのNEC PC-9801ノートというと、386SX搭載のPC-9801 NC、486SXのPC-9801 NA/C、同じくPC-9801 NX/Cというところなのですが、どちらにしても15年は経過しているため、そのままで作動するというものは少なく、電源が入らずに起動しないというものが殆どになってしまったようです。不動になってしまったマシンだと1台数百円で入手は可能ですが、NX/Cだけはさすがに不動でももう少し金額が張るようです。どっちにしても本体より送料のほうが嵩んでしまうため、同一エリア内限定で対象物を探しました。その結果、HDD付きNA/Cを300円で、NX/Cを2台で1,000円という金額で入手しました。どちらも不動のジャンク扱いであることは言うまでもなく、98ノートが必ず陥る欠陥部分である液晶パネル根本のプラスチック部品が折れてしまってぐらぐらになっているものばかりです。これらの98ノートはまず電源基板上の10μF 16Vの電解コンデンサーの交換が必須ですが、このコンデンサーは5月に上京した際に秋葉原で30個ほど入手済みでした。とりあえず手始めにNA/Cのほうを分解してまず液晶パネル根本のプラスチック部分を分解してヒンジを取り外し、プラ部分は丁寧に破片を集めて2液性の即乾性エポキシ接着剤で二度とバラバラにならないように隙間部分にもたっぷり樹脂埋めしました。翌日まで乾燥させ、肉やせした部分をさらに樹脂埋めしてさらに翌日、オーバーホールしてグリスアップしたヒンジをネジで接合し、ヒンジ部分の再生が完了しました。電源部分のコンデンサーを交換し、それだけで一度WIN 3.1が立ち上がったのですが、すぐに起動不能に陥り、実体顕微鏡で基板を観察するとありとあらゆるコンデンサーが液漏れを起こし始めていました。おそらく電源部分のコンデンサーを交換したことで正常な電圧がかかった他のコンデンサーが連鎖的にパンクしていったようです。手持ちのコンデンサーにはないような容量のものがあったため、近所のハム屋で入手したものはサイズがノートの基板には大きすぎ、何個か巧みにオフセットさせて交換したものの、きりがなくなって現在放置中です。最近の98ノートは経年で電源系コンデンサーの交換だけではうまく動かなくなりつつあるのかもしれません。
ほぼ隣の町のようなところから2台のNX/Cを入手しましたが、双方とも液晶パネルのヒンジが破壊していて、あまつさえ一台はベース部分にも大きくひびが入っていました。この2台のNX/Cのうち比較的にきれいな方を生かして再生を進めることにします。売り主の話では外見のきたない方はブートすることもあるが、双方ともにFDDの読み込みが不良とのことで、場合によっては二個一にしていいとこ取りで1台を仕立てるという作戦に出ます。外見のきれいな方を分解してまずヒンジ部分を分解して樹脂埋めし、ヒンジはオーバーホールして動きがスムーズになるようにしました。取り出したメインのマザーボードは電源系のコンデンサーを無条件に交換し、元通りに組み立てて電源をつないだ後にブートさせてみると、これだけでは電源が入りません。マザーボードの各コンデンサーを双眼実体顕微鏡でよく観察すると、液晶の出力系に連なるグラフィックボードとおぼしきサブ基板のコンデンサーが液漏れしているようです。このコンデンサーも交換し、再度組み立てて電源を入れると「ピポッ」という音と共にメモリーチェックが始まりました。ところがメモリーチェックの段階でシステムエラーを起こし、ピーの連続音とともに赤文字で「Parity Check Error」の表示が出て起動が止まってしまいます。どうやらオンボードメモリーに障害があるようで、こうなったら外見の汚いほうのマザーボードをはずしてこちらに移植を企てます。このマザーボードを移植して電源回路のコンデンサーを交換した後、組み立てなおして電源をつなぎ、起動ボタンを押すと無事にメモリーチェックが始まり、システムディスクを要求するようになりました。そしてNA/Cに付いていたHDDを入れて起動してみると、見事にシステムが立ち上がりましたが、なんかおかしいと思ったら、起動音のピポッが鳴らないのです。どうもこのマザーボードは外付けの出力端子が追加してあったため、この回路を除去してこちらに移植したのですが、圧電ブザーの配線が切られていたようで、そのためにピポッがならなかったようです。そのため、交換した元の圧電ブザーを外してこちらのほうに移植し、組み立て直すとちゃんとピポッ音がでるようになりました。FDDは書き込みがまったくダメで、読み込みは短いセクターのファイルは問題ないものの長いセクターのファイルは読み込めずにI/O ERRORが出てフリーズしてしまいます。もう一台のFDDに交換しても同じ状況でした。そのため、FDDのオーバーホールを行い、ヘッド摺動部のグリースアップなど行ったのですが、症状がまったく改善しません。そこでしばらくはHDDだけでいろいろと動かしていたのですが、あるとき、よもやと思い、FDDに連なる基板のパターンを顕微鏡で追ってゆくと、HDDベイと110PIN拡張コネクターの間にある5本の電解コンデンサーのうち、左側の82μF 25Vの電解コンデンサー2本に液漏れを発見し、このような中途半端なコンデンサーは市販品が見あたらないために33μFと47μFをこの狭いスペースに組み合わせて半田付けし、その結果FDDからの読み込み書き込みはまったく問題なくなりました。ところが今度はHDDからのファイル読み込みが怪しくなり、どうもその隣の120μFの電解コンデンサー3本に液漏れが伝染していったようです。ぼろぼろの水道管直しではありませんが、一カ所穴をふさぐと水圧が高くなって他の脆弱な部分に水漏れが伝播していくというものでしょうか…。この120μFに近い容量のコンデンサーは近所では入手不可なので、レストアはこちらもペンディングになってしまいました。FDDを直す前に2台のNX/Cを入手した同じ先から倍速のODPと12MBの拡張メモリーを入手してあり、けっこうなパフォーマンスのアップに感動していたところでしたから、早く代替品のコンデンサーを入手しなければ…、しかしゲーム機にするには音源がないのが致命的ですが、DOSでの文章作成は字が大きくてそろそろ怪しくなった目にも快適です。またマウスに依存せずにコマンドで操作するインターフェースは慣れるとかえって楽なことが実感できました(笑)ただ、この時代の98というのは国民機などと呼ばれたスタンドアローン的な存在だったからか、他のファイル形式にコンバートして他のコンピューターでも読めるような機能が備わっていないソフトばっかりだったようで、98のワープロで書いた文章が今では他に応用出来ないのが不満ではありますが。
また後日、PC-9801 NS/EのジャンクをACアダプタ付きで200円ほどで入手しました。386SXの16MHzというスペックで当然ながらモノクロですが、DOSで主に文章を打つにはなんら問題はありません。この機種からHDDがおなじみのカートリッジ式になったようで、NA/CやNX/Cなどとも共通です。一瞬電源が入るが起動不能とのことで、当然の事ながら電源基板のコンデンサー抜けの症状ですが、このNS/Eの中身をあげてびっくり。なんと電源系サブ基板の裏側に10μF 16Vと1μF 50Vの表面実装用コンデンサーがあり、半田で固定されたこの基板を抜かなければこのコンデンサーの顔も拝めないのです。この基板を抜くにしても当方の道具としては半田吸い取りポンプと吸着線くらいしかありませんので、作業には非常に困難が予想されました。とりあえず表側から半田を吸い取り、吸着線スルーホールの半田まで除去しようとしましたが、けっこうパターンを切りまくりながらこの基板を取り出すことには取り出したのですが…。結局は予想通り10μF 16Vのコンデンサーは激しく液漏れしていて周りのICの足まで腐食させている始末でした。この電源基板を元通りにするには剥がしたパターンまで再生しなければならず、故障原因はわかりましたが、果たしてレストアが完了する日は来るのでしょうか(^_^;)たぶん、もう一台NS/Eをどこからか調達してきて今度は電源系のサブ基板をメインのボード側から抜いてコンデンサーを交換し、いいところ取りで二個一にしないとダメでしょうね。やっぱりこの手の古い98ノートは最低でも2台同じものがないと、完動品をでっち上げるのが難しそうです。
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