起動しないPowerBook G3 Pismo
PORTABLEの再生に一応は成功したことに気が大きくなったわけではありませんが、現在OS9環境が今更ながらのOSXへの移行で、CLASSIC環境ではIMのATOKによる日本が入力が使えず、FILEMAKERのプラグインであるMac用アマチュア無線交信LOGソフトCQLOGでの地名入力や氏名の入力などが、おバカな「ことえり」だけしか使えないことに耐えられなくなったことからLOGソフトはこれも今更ながらWIN XP用のTURBO HAMLOGに完全移行するとともに、OS9の専用機としてPOWERBOOKを導入することを画策しました。
ターゲットは最近起動しない個体ばかりになったことでジャンク扱いの投げ売りされているPOWER BOOK G3です。それも数年前まではけっこうな金額でやりとりされていた2000年2月モデルのPISMOを狙います。FIER WIREが搭載されたロジックボードのアーキテクチャーがG4 AGP相当であり、SCSI機器がまだまだ残っている当方にはLOMBARDという選択肢もあったのですが、やはり設計上新しいロジックボードの方が延命措置に対応しやすいのではないかということからPISMOを探し出しました。本当は最終2000年10月モデルのほうがよかったのですけど、基本的にHDDの容量とOSのバージョンしか違わないことと、POWERBOOK G4がまもなく鳴り物入りで発売されたため、玉数が2000年2月モデルと比べると格段に少ないようです。
送料を節約するため、同一エリアから落札したPISMOは400MHzのメモリー198MBでHDDは標準の6GB。殆ど使われたような傷のないきれいな個体で、液晶パネルの滑りもなく、キーボードのテカリも全くなかったことから、どうやらしばらく使われただけで何年もしまい込まれたものであることがうかがわれました。元箱はありませんでしたが、システム9.0.2のCDやインストラクションなども付属しています。この状態で落札金額2,980円。数年前なら5万では購入できなかったでしょう。もちろん「起動せず」のジャンク扱いで購入したのはいうまでもありません。
POWERBOOK全般のバックアップ電池はPRAMデーター保持が目的ですが、それ自体が充電されるリチウムの二次電池です。そのために、充電能力が低下するとその機能を果たさなくなります。またPOWERBOOK G3の場合は内蔵のバッテリーからPRAMバッテリーに充電電力を供給するために、内蔵バッテリーの寿命で電力が供給されなくなると、常にDCアダプタを繋がない限りは数分で放電してしまい、データー保持が出来なくなるようです。このPRAMバッテリーの電力供給がないとDCアダプタを繋いでも起動出来ないということになり、そろそろ内蔵バッテリーもPRAMバッテリーも寿命が尽きたPOWERBOOKが起動不能ジャンクとしてオークションに沢山出回ることになるわけです。すなわち、内蔵バッテリーが死んでいても、DCアダプターからの電力供給がちゃんとあって、PRAMバッテリーさえ充電能力のある新しいものに換えればかなりの確率で起動に成功することが予想できました。
届いたPISMOは予想通りDCアダプターを繋いで起動ボタンを押してもうんともすんともではなく「ポーンともジャーン」ともいいません。まずはDCアダプターの電圧チェックをするためにステレオミニプラグと同型の本体側プラグにテスターを当てようとしましたが、先端は使用されておらず、奥がマイナスとプラスにアサインされているので、そのままではテスター棒が届かず、導線で鍵を作ってテスター棒の先端にワニ口にかませ何とか測定したところまったく電圧が出ていませんでした。DCアダプターの本体は発火の危険があるために回収されたM4402ですので、コンデンサ抜けを疑って慎重に接着を剥がして二つに分解。中身をみてもコンデンサ等に液漏れや膨らみなどの異常はないようです。ためしに出力側の電圧を計るとちゃんと24V出ていました。そうなるとコードのどこかで断線を起こしている訳ですが、殆どはプラグの近辺で断線を起こすことは容易に想像出来ます。そのため、プラグから15センチくらいの所でコードを切断し、残ったコードのアタプタ側からの導通を調べるとこちらは正常でした。そのため、予想通りこの15センチのどこかで断線している部分があったわけです。残ったコードにプラグ部分を着ければいい訳なんですが、プラグは一体に成形されているために分解出来るような構造にはなっていません。そこはアマチュア的な発想からこのプラグのビニール部分を切開して金属のプラグ部分を取り出し、残ったコードに半田着けしてからビニール部分を再生するという手段を講じました。これがなかなか手間のかかる仕事で、あまつさえ外周部のカラーとマイナス側に430kΩの抵抗が装着されているため、再生までたっぷり2時間くらいの手間が掛かったような事態になりました。まあ、なんとか実用に耐えるレベルにプラグを再生して出力を計ろうとしてテスターを当てると一瞬ショートさせて火花を散らしましたが、これでちゃんと出力が出ていることを確認。アダブタ側にも損傷無く、アダプタ本体もシアノアクリレート系接着剤で外装を接着して一件落着。
ためしにアダプターを繋ぎっぱなしにして48時間置いておくもPRAMバッテリーには充電されないようで、起動ボタンを押しても起動できませんでした。
そうなったら新しいPRAMバッテリーを買うしかありませんが、これはネットを捜せば今でも容易に購入する事が出来ます。とはいえ、ロジックボード不良ということになるとPRAMバッテリーを交換したところで無意味なのですが、高知で個人営業の修理屋をやっている人が起動までの完全な技術的サポート込みでPRAMバッテリーを販売していて、万が一PRAMバッテリー交換で起動しない場合はロジックボードの貸し出しまでしてくれて原因究明にとことんつき合ってくれるというのがあり、ここから約4,000円でPRAMバッテリーを送ってもらいました。何か本体より遥かに高いPRAMバッテリーを購入するというのは内心忸怩たるものがありますが、ここまで来たら仕方がありません。 ロジックボード交換までしなければいけなくなったらどうしようかと思いましたが、届いたPRAMバッテリーをキーボードを剥ぐって古いものと交換し、DCアダプターを装着して起動ボタンを押すとジャーンという起動音とともにあっさりと起動してしまいました。起動不能の状態だったからか、HDD内のデーターが残っています。そのことから推測するとどうも業務用個人持ちのパソコンだったらしく、2005年の4月以来起動不能に陥ったようで、その後使われた形跡がありませんでした。ネットを通じて外部にもアクセスを全くしなかったらしく、OSやファームウエアのアップデートもiTuneのダウンロードもまったくされていませんでしたので、ファームウエアをアップデート後、OSを9.0.2から9.1を経て9.2.2にアップデートしました。WEBブラウザはIEの5.0のままで、5.1にもアップデートされていませんでした。今時MICRO SOFTでもこんな古いMAC用のブラウザを配布していません。ところが蛇の道は蛇で今でもバージョンの古いWEBブラウザーでホームページがどう見えているのかを検証するために必要なのかIEのありとあらゆるバージョンを配布しているところがあり、当然英語版のみですが、Ver5.1.5をダウンロードしました。IEの5.1だと今や最新のJAVAやFLASHなどに対応していないため見ることができないWEBページが増えてきましたが、OS10.2.8のIEやSAFARIの遅さにへきへきしていましたので、最近はオークションなどの検索はこのPISMOに移行してしまいました。どうしても動画などをサクサク見たいのであればWIN XPマシンのFIREFOXをを起動させてしまいますが(笑)iTuneもすでにVer1.0は配布しているところが見つからず(MP3デコーダーの関係でこちらの音質のほうが好みでしたが)OS9の最終版2.2をAPPLEからダウンロードしました。HDDが6GBしかないので、多くのMP3データを入れるわけにはいきませんが、さすがG3はG4機に比べるとMP3データへのデコードに掛かる時間が格段に長くなりました。あまりCPUに負担が掛かる作業は期待しない方がいいでしょう。SCSI機器を使うためにはPCカードスロットにSCSIカードを刺してそれにSCSI機器をケーブルを介して繋がなければいけないのですが、ジャンク扱いでRATOCのREX-CB31を購入し、ドライバーもダウンロードしたもののSCSIケーブルが欠品で、このPCカード用SCSIケーブルを別に購入すると意外に高くつくのでいまだにスロットにはカードが刺さっただけでSCSI機器を利用するまでには至っていません。けっこう機器との相性はシビアなものがあるらしいですが。ところで、このPISMOからDVDのソフトウエアエンコードが可能になったからか、けっこう快適にDVDを見ることが出来るようになり、いままでデスクトップ上のモニターでしか見ることの出来なかったDVDがデスク上を離れて何処でも見ることが出来るようになったというのが一つの収穫でした(笑)
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