HEMMI カロリー計算尺
HEMMIのカロリー計算尺はNo.P267やNo.P270などとともに昭和40年代の中盤以降に登場した特殊計算尺で、当時の社会情勢としてすでに一般の計算尺は劇的に価格が下がってきた電卓に駆逐され、その殆どが教育現場での使用に限定されつつある状況であったためか、その生産を山梨の技研系メーカーに丸投げしたような形で製造された計算尺です。そのため、エージングなどにコストの掛かる竹製ではなく成型品の切削加工で済む塩化ビニール素材の樹脂製品となっています。この手の保健衛生系計算尺は8インチの体重バランス計算尺というものがありましたが、この計算尺は性別年齢や体格さらに労働内容なども勘案して必要摂取カロリー量などの計算を行う計算尺のようです。対象は保健師さんとか栄養士さんあたりでしょうか。表面尺度は:キソ代謝、所要量、労作別、キソ年齢(男女)、フツウ年齢(男女)、1〜5才身長、6−身長、1〜6才体重、6−体重、体表面積の10尺。裏面は100g中成分、消ヒ成分、ハイキ率、CI,C,D,A,Lの8尺です。ヘンミ計算尺の最後のパンフレットにも市販特殊計算尺4種類のうちの一本として掲載されているため、その存在自体はよく知られていますがその割には現物が意外に少ないようで、捜してもあまり見つからない計算尺の代表かも知れません。
また知る限りでは初期のものが固定尺を繋ぐブリッジの成形色が緑で、後のものが滑尺やカーソルバーと色味が統一され、アイスブルー色となります。おそらく初期型は余ったP261あたりの部品流用なんでしょうね。さすがは甲斐商人(笑) そういえば身幅はP253より少々広いP261と共通です。価格はヘンミのパンフレット上では3,500円の定価が載っています。
入手先は岐阜県の垂井からでした。製造記号が「ZH」ですからついに50年代に突入した昭和50年8月生産分。Z記号の計算尺が欠落していましたので、おかげで最終生産年度のヘンミ尺が何とか加わりました。外箱と説明書が失われていましたが本体はビニール袋に納められたほぼ未使用品です。ケースは青蓋のブロー成型品ですが、後期の角張った薄いケースと異なり初期のP261同様の角丸ケースでした。製品名を表す「Calorie」のオーバルシールがケースの表裏に貼られています。
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