無線従事者国家試験への計算尺持込禁止に
JQ1OCRさんの計算尺MLへの情報によりますと、総務省に代わって無線従事者国家試験を実施している日本無線協会が来年度4月からすべての無線従事者国家試験への計算尺持込を禁止にするということが日本無線協会のHPで発表になったようです。
計算尺が製造されなくなり、計算用具の表舞台から撤退してすでに30数年を経過しながら、「計算機持ち込み不可、計算尺なら持込可」の数少ない国家試験が無線従事者国家試験でしたが、そのねじれ現象もついに解消されることになってしまったようです。しかし、総通・陸技試験を含むすべての無線従事者国家試験が記述式から択一式問題となり、計算過程を書き込む必要がなく、正解の選択肢を選べば良い試験になってしまったため、計算問題も「有効桁3桁くらいを概算で計算し、位取りさえ注意すれば5択の答えの数値の近似値を選べば良い」ことから、いちいち計算過程での数値を書き込むために有効な計算尺がもはや不要になったことは否めません。また、アマチュア無線技士の国家試験は最上級の1級アマチュア無線技士試験でも「計算問題のほとんどを落としても他の問題がすべて正解なら合格ラインに達する可能性がある」ことから、計算尺は検算くらいにしか利用価値はなくなったというのが現状でしょう。日本無線協会が発行している「電波受験界」も昭和40年代末から50年の初めくらいまでは毎年「電気計算における計算尺の使い方」のような小冊子が付録として付くことがあり、手元にも一冊ありますがこの時代はまさに計算尺なしでは記述式の予備試験さえ突破するのは難しかったのではないかという気さえさせられます。
十数年前に一陸技を取った高校同期は試験に持ち込む計算尺をトラブル回避のため、「HEMMI No.2664Sを選び裏側の換算表をわざわざ抜いた」そうですが、2664Sクラスだったらこれからもわざわざ持込禁止にしなくてもよさそうな気もしないではありません。しかし、計算尺が普通に入手できないという事態から試験の公平性を欠くという意見や、試験官自体も元郵政省技官あたりから天下りした爺ちゃん試験官が退職し、計算尺をまったく知らない世代が試験官を勤める状況になって、過去の慣習をを一掃したというのが真相でしょうか。日本無線協会自体で試験持込用指定計算尺でも作って頒布すりゃいいのに(笑) 当方も過去10枚の無線従事者免許を取得するにあたって試験に計算尺を持ち込んだことはありません。もっともせいぜい下級通信士くらいの資格しか取得しませんでしたが、過去にも書いた「大量の計算尺を試験場に持ち込み、試験官のチェックを手間取らせる」こともできそうもありません。今から申請が間に合うのは来年2月の通信士試験もしくは陸技試験ですが、さすがに科目も多くなるので今からの準備じゃ間に合いそうもありませんしね(笑)無線免許として目いっぱい資格を利用しているのは現状アマ局運用可能資格として第二級アマチュア無線技師、かろうじて四アマ講習会講師としての要件として第一級アマチュア無線技士の2枚だけです。
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