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September 11, 2010

東芝刻印のHEMMI No.30

 HEMMIのNo.30はJ.HEMMI時代のNo.14のモデルチェンジ版として昭和の4年ごろに登場した4インチポケット尺ですが、戦後に逆尺が加わり、4尺が5尺になりながら同じモデルナンバーで昭和50年の計算尺生産終了頃まで作り続けられた計算尺です。しかも在庫のNo.30は21世紀をまたぎ、ごく最近まで新品で入手が可能だったのですから、一番息が長いHEMMI計算尺の一本だったことになります。特筆されるのはプラ尺の登場まではHEMMIとしてもっともローコストの計算尺の一つで、そのためその登場時から企業向けノベルティーのベース計算尺として特別な刻印が施されたものが数多く存在しています。特に戦前はアルミの裏板にエンボス加工で企業名を入れたり、ステンシル状に打ち抜いたものが多く見られ、コレクターズアイテムとなっていますが、戦後はもっぱら既製品に名入れ加工で刻印を施す例が多くなっているようです。この企業向けノベルティーは取次店に配られた名入れ見本帳が存在しており、その赤い見開きのケースの中にはNo.30,No.34RK,No.2634とともに、金箔押し、エンボス加工などの皮ケースの見本などが納められ、このパターンで特注を受けていたようです。あくまでも名入れ見本ですから、この見本帳の中の計算尺にはカーソルは付いていません。企業向けノベルティーだけではなく、工業高校の卒業記念品などというパターンもあります。さしずめメーカーや問屋から小売店などへの商業系ノベルティーとしては、圧倒的に裏板に企業名などが入った「問屋算盤」が多いのですが、やはり科学技術系の研究施設等に設備納入のセールスのための販促商品としては算盤なんぞ持って行っても仕方がないでしょうし、貰う立場から言っても計算尺のほうがよっぽど的を射た販促商品だったのでしょう。当方のコレクションにはこの企業ノベルティーものの計算尺は少ないのですが、今回のNo.30は東芝電気のノベルティーで刻印は裏側に「(東芝マーク)TOKYO SHIBAURA ELECTRIC CO.,LTD」の刻印と、皮ケースに東芝のマークがエンボス加工されているものです。製造刻印は「KJ」ですから昭和35年の10月製です。贈答先は何と自衛隊(笑) 陸か空かはわかりませんが所持者の名前の前にMaj.の階級が打たれていましたので、「三佐」ということになります。しかし、東芝電気が自衛隊に計算尺を配って歩くなんて、どんな設備を受注しようとしていたのでしょうか?(笑) 大正初期、海軍船橋通信所の設備納入でNestlerのポケット尺を配って歩いたシーメンス・シュケルトに似たところがありますな。
Hemmi30
 HEMMI No.30(東芝刻印)表面拡大画像はこちら
 HEMMI No.30(東芝刻印)裏面拡大画像はこちら

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