RICOH No.155 経営管理用計算尺
RELAY/RICOH両面計算尺の中にあってちょっと毛色の変わった計算尺がこのRICOH No.155 経営管理用計算尺です。その特徴として時間を計算する尺度があることで、それによって時間計算や生産速度などを導きだし、生産性や効率などを調べるのがメインの使用法です。また管理計算に多用される精密平方根を計算するためにD尺を2倍に伸ばしたR1、R2尺を備えており、この1〜√10,√10〜10までの2本に分割した尺は国内では極々少数派です。有名どころではPOSTがHEMMIに作らせたNo.1460(HEMMI No.258)に採用されていますが、なぜか他の計算尺ではあまり見かけることのない尺度です。この経営管理用と言われるNo.155は説明書によると「工程管理、在庫管理、品質管理、価値効果の判定など会社、工場の管理面における利用を重点とした計算尺」とのことで、特に工程管理や原価計算に関係して時間を計算する尺度がついているのが特徴でしょうか。表面はごく普通のπ切断ずらし尺を備えるL,K,DF,[CF,CIF,CI,C,]D,R1,R2の10尺で、裏面は時間と生産速度に関係する尺度の集まりで、HR,MIM,[TIME,NI,N,]N',t,の7尺です。裏側カーソルグラスには秒換算補正用の副カーソル目盛りが刻まれています。さほど稀少尺ではないはずなんですが、意外とみつからない計算尺で、RELAY時代から製造されていると思いますが、見かけるのはRICOHになってから以降のものばかりです。昭和40年代を通して発売され続けた計算尺のようで、そのために赤蓋ベージュ貼箱から末期の青蓋ブロー成形ケース入りまでありますが、一貫して本体の目盛りや数字、ゲージマークなどは同一な物が生産されたようです。本体は細身の学生用両面尺No.1051などと共通です。
さて、この計算尺が果たして経営管理に有効だったかというと他の商業用計算尺なんかとともに少々疑問で、それゆえにこの計算尺も前オーナーが経営管理に活用しようと思いながら結局はまったく利用せずにしまい込んでしまったと言うように、酷使されたものが少ないように感じます。入手先は東京の町田からで、どちらがおまけかはわかりませんが、日本文芸社の「計算尺の初歩の初歩」と日東書院の「計算尺の使い方・初歩から応用まで」の2冊が付いていました。製造刻印はM.S-4ですから昭和39年の4月佐賀製です。そういえば、同時期のオク上にRICOHのNo.155Dという計算尺が出品されてました。内容的にはさほどNo.155と変わらないような計算尺ですが、まさかHEMMIの末尾D付き計算尺のようにDI尺が加わったというわけではないようです(笑)
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