有価証券利廻計算器
まるでコンサイスで作られた換算尺のようなセルロイド製の円形計算尺ですが、こちらに届くまでは厚紙で出来ているのではないかと思ってました。この手のものは戦前に尺貫法からメートル法への切換え時に「換算尺」として各種円形計算尺が作られましたが、有価証券利回り計算に関する計算尺は初見でした。見てのとおり逆に活字が印刷されていますし、東京都日本橋区兜町の表記でもわかるとおり、戦前の製品になります。証券会社のノベルティー品として作られた計算尺で、大東証券株式会社の文字が逆に印刷されていますが、最近大東証券の名前を聞かないと思ったら、旧富士銀行系の大東証券は山一證券破綻から始まった証券業界再編成により旧第一勧銀系勧角証券のみずほインベスターズ証券と合併して、大東証券の名前は消滅してしまいました。縦12.7cm横9.3cmの台に直径6cmの円形計算尺が乗っているもので、円形部分の表面に使用法が印刷されています。実用新案の出願番号第20515号が印刷されていますが、この手の計算尺は明治大正期から類似のものが各種出願されているので、実際にパテントが取れたかどうかはわかりません。入手先は愛知県の西尾市からで戦前のものですから台のセルロイドは湾曲してしまっています。まあ、今の世の中では利用価値がない計算尺ですが、なかなかこういう用途が限られる計算尺は捨てられる運命にありますからたとえ今は利用価値がなくとも拾っておくべきでしょう。価格は300円でした。これが1000円でしたらスルーしてしまったはずです。
| Permalink | 0
Comments