RICOH No.533 5"ポケット計算尺
RICOHの計算尺の中ではなぜか珍しい5インチプラ尺のRICOH No.533です。見てのとおりHEMMIのP35と同じ尺種類を持つ計算尺で、滑尺の裏はブランクです。P35同様に企業ノベルティや記念品などに特化した計算尺で、今回の計算尺も旧石川島播磨重工(IHI)のノベルティです。計算尺裏に黒くIHIのロゴが入り、黒合皮のケースにはIHIのロゴが金箔押しになっています。このNo.533はケースが何パターンかあったようで、今回のものはわりとましなケースですが、通常は臙脂と透明ビニールの張り合わせケースに入っています。どっちみち特注扱いで印刷を入れさせていたわけですから当然ケースもチョイス出来たのかもしれません。このプラ尺ですが、HEMMIのプラ尺同様に山梨技研系のOEMを匂わせる計算尺です。HEMMI No.P35のほうが先輩格らしく山梨系プラ尺の改良の進展とともに数種類のパターンがあるようですが、おそらく後発のRICOH No.533のほうはこのタイプしか見たことがありません。RICOHの5インチプラ尺は他にNo.537くらいしか思い浮かびませんが、こちらはHEMMI P2634の類似とでもいうべき計算尺で、ちゃんと滑尺裏に三角関数尺がありますし、上固定尺にはスケールが刻まれています。価格も当然No.537のほうが高かったのでしょう。ところで、このNo.533は市販の状態で見つかることがない計算尺なのですが、もしかしたら特注扱いのみの販売で、発注を受けるとそのつど、その分だけを山梨に発注していたのでしょうか。そうなると自分のところに在庫を置いておく必要がありませんし、商品種類は増やすことが出来ますし、発売元に限っては実に都合がいいはずなんですが、その分メーカとしてのポリシーがまったく感じられない計算尺なわけで…。尺配置はK,DF,[CF,CI,C,]D,A,の7尺で一般的な√10切断のずらし尺になっています。カーソルはプラスチックの一体型ですが、まるでFUJIのNo.2125C/Dのような断面がカマボコ状になっていて、これで少しは目盛りが拡大されて見えているような、そうでもないような。入手先は福岡筑豊はいにしえには中小の炭鉱がひしめき合っていた田川郡の川崎町からでした。よくありがちなスケールやコンパス、烏口などに一点だけ混じっていたものです。
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