HEMMI No.P261初期型(高級機械技術用)
高級機械技術用計算尺という位置づけのHEMMI No.P261は、遥か以前に滑尺が青く着色された後期型を入手済みでしたが、初めて滑尺が白い前期型未開封新品を入手したのは、これもかれこれ3年も前になります。このNo.P261はいわゆるダルムスタッドタイプの両面計算尺なんだそうで、フルログログではないものの、A,B,尺に対して逆尺のBI尺が存在し、P尺を備え、さらにカーソル裏面には副カーソル線を備えるという内容です。
No.259Dとの機能的な違いについては以前に詳しく書きましたので省略しますが、普段使いにはこれ1本でかなり「使える計算尺」ということが出来るでしょう。もっとも一連の山梨技研系OEM製品で材質が塩化ビニール素材ですので、竹材の計算尺と比べると、道具としての愛着に欠けることは否めません。この前期型No.P261はどこが出所だったのか、栃木の工具ブローカーが半年に渡り、それこそ牛の涎のように何本も出品してきたもので、落札金額も過去に後期型の未開封新品が25,500円などととんでもない落札額がついたことがありましたが、この業者が10本あまりも出品したNo.P261の前期型は1,000から2,200円くらいの範囲までしか値段が付かなかったものです。未開封新品で元値の半分から1/4の落札額にしかならないわけですから、これは1本落札しないわけにはいきませんが、いったい相手が何本持っているのか、腹のさぐり合いではありませんが、結局8本目くらいの出品のものを1,100円で落札したものです。両面の機械技術用計算尺未開封品が1,100円ということはまありませんが、これがNo.259DやNo.260あたりの未開封品となると、途端に落札額が5,000円以上に高騰するのですけどね。これというも次々に同じものが出品され、稀少度が下がってしまった結果でしょうか(笑)刻印は「OK」ですから昭和39年11月の製造で、おそらく翌年以降になって販売された製造分ではないかと思われます。No.P261の製造分としてはごく初期の製造時期にあたり、外箱は当時のHEMMI計算尺の多くがそうであったように赤の印刷で、角丸プラスチックブロー成型のケースは赤蓋のケースです。説明書は「6511Y」ですので、おそらく昭和41年度になってから発売に至ったものでしょうか。HEMMI計算尺はこのように本体製造刻印と説明書の印刷時期が1年くらいずれているものが普通ですが、「なぜ?」ということになると、確かな答えが見つかりません。製造刻印は最終的に尺の目盛を刻んで完成品になったときに刻まれるものではなく、目盛の入らない素材の行程で入れられたものなのかもしれません。初期型と後期型にパーツの成形色以外、何か差異が認められないかと捜しましたが、数字などの書体が若干異なる以外にゲージマークの数や目盛の刻み型などに大きな違いは認められませんでした。
しかし、このNo.P261は同様な機械技術用のNo.250DやNo.260に比べるとかなり数量が少ない計算尺だったことは確かで、オク上に出てくる数もこのときのようにどこからかまとめて出てくるような機会でもなければ年間に数本単位でしかでてこないような稀少な存在です。昭和40年代全般に渡って発売され続けていた計算尺なのに、何ででしょうねぇ。けっこういい計算尺だと思うので
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