UNIQUE UNIVERSAL計算尺
この計算尺は4年位前にまとめて手に入れた一本ながら放置しっぱなしだったもので、確かTECHNICAL STANDARDという英国尺とセットで手に入れたものだと思いました。名前はUNIQUE UNIVERSALというものでこのUNIQUEは同じく英国の会社で元は楽器なんかを作っていた会社だと聞いたような聞かないような…。計算尺の製造は1910年代後半から1970年代半ばあたりまでのようで、終末期には欧米の計算尺メーカーのほとんどがそうであったようにプラスチック計算尺にシフトしていったようです。それも多分は日本の山梨県内のメーカーのOEMだったかもしれません。会社自体は計算尺から撤退後も1980年代半ばまで存続していたようです。
このUNIVERSAL型は計算尺はUNIQUEのうちでも初期から販売され続けた計算尺で、のちにUNIVERSAL I を経てUNIVERSAL II にマイナーチェンジしながら70年代初頭まで販売されたようです。材質はマホガニー材で初期の英国系計算尺の多くがそうであったように木材の表面に目盛りを印刷した紙を貼り、上から透明なセルロイドをラミネートしたような構造になっているため、透明セルロイドが経年で黄変しているため、全体的に古めかしく見える原因になっています。尺は表面のみで滑尺を裏返して使用することは考えられていません。尺配置はLU,S,A,[B,CI,C,]D,T,LLの9尺です。LUはLL2、LLはLL3に相当します。三角関数が固定尺上にあるのが使いにくいためか、UNIVERSAL II にマイナーチェンジしてから三角関数尺は滑尺表面上に移動してます。ちなみにUNIVERSAL I 型は尺配置は変化せず尺種別が明示され、UNIVERSAL II 型はLU,A,[B,S,T,C,]D,LLと三角関数尺が滑尺に移動した代わりに逆尺がなくなりました。このUNIVERSAL型はカーソルバーが金属の初期型で、推定年代は1920年代末から1930年代初期くらいまでの製品でしょう。かなり早い段階から日本に入っていた個体らしく、元手以上に使い尽くされた観のある計算尺です。ケースもはげてみすぼらしくなったためか、別な紙を貼ってそこに元のケースに印刷されたロゴまで手書きされているというもの。しかし逸見次郎が苦労して竹製計算尺を開発した例でもわかるように、マホガニー製の英国尺は日本の環境には合わなかったようで、経年で反ってしまい、滑尺と固定尺がスカスカなのは仕方がありません。また滑尺が左右に飛び出す構造のため、わずかにA4スキャナーからはみ出してしまいました。
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