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July 23, 2012

130円で入手!PC-8801mk II MRの現役復帰への道

Pc88 8bit時代のマイコンはリアルタイムでいじったことがなく、ビジネスマシンも未だ8bit機全盛期に職場には当時まだ普及し始めの16bitのパソコンが早くも導入されてしまったため、個人的にも当時SORDに勤めていた同期が会社の在庫整理命令で押し付けられそうになったSORDのM5に、結局は振られて以来、もっぱらゲームはファミコンで、8bit機はMSXさえ触ったことがありませんでした。ところがひょんなことからPC-8801用のゲームが10本ほど転がり込んできたため、いまさらながらPC-8801の本体を入手することを企みました。10年くらい前でしたらほとんど粗大ごみで路上に不法投棄されているような存在だったのでしょうが、今では動作の検証が出来ているものはけっこうな金額で取引されているようです。またいつの間にかキーボードと泣き別れになって本体しか残っていないものが多く、その結果キーボードのタマ不足からかキーボードの値段がジャンクの本体よりかなり相場が高いというような現象も起きており、さらにPC-8801はキーボードの種類がコネクター違いだけでも約3種類に分かれてそれぞれ互換性が無いらしく、そのために本体より先にmk-II SR系列のキーボードを先にオクで入手してしまいました。落札額が1600円で、本体からするといかにも高い相場ですが仕方がありません(あとからわかりましたが、このキーボードがとんでもないジャンクでした)。どうしてmk-II SR系かと言うと、86年以降のPC-88系ゲームソフトの動作条件が「mk-II SR以降」となっているからです。また機械のタマ数としては後のPC-8801FH系などと比べればPC-8801 mk-II SRが圧倒的に多いからです。狙いとしては5"の2HDの読み書きが出来るPC-8801 mk-II MRです。程度としては動作確認ナシのジャンクでせめて電源だけ入ることが確認できるものが望ましいと思っていましたが、実際に手に入ったのは一切の未チェックジャンク物PC-8801 mk-II MRで、その代わりといってはなんですが、落札金額は驚異の130円 ! 。もっとも送料が2000円掛かってしまいました。
 汚らしいダンボールにブチブチだけに包まれた状態で京都から届いたMRは電源スイッチを入れても当然ながら電源も入らない(冷却ファンだけは回る)ジャンクで、ほぼ粗大ゴミでしたが、よく欠落しているDIPスイッチカバーも付いており、外見中身なども欠品はなさそうでした。確証はなかったものの、当時の電源はスイッチングではなくトランスを使用した安定化電源が多く、コンデンサー抜けが原因の電源が入らないという現象が当時のPC98にも起きているため、素人ながらいくつかのコンデンサーを交換し、電源さえ修理すれば動くのではないかと考えました。まず電源が入らない原因を探るため、本体の分解に入ります。本体カバーを外し、冷却ファン、スピーカー、FDD2台を外し、FDD台と前面パネルを外し、後部の2本の固定ネジを外し、メイン基板からコネクターを抜くと電源ユニットを抜くことが出来ます。電源ユニットの上部パネルの3箇所のネジを外しすと内部基板を見ることが出来ますが、後の世代の基板のような表面実装部品をまったく使用していない基板はさすがに時代を感じさせます。そのために素人でもサーキットさえ追ってゆけば原因究明と修理が非常にやりやすく出来ています。ためしに電源コードをつないでスイッチを入れ、各出力の電圧を測って見ましたがまったく電圧が出ていません。どこかのコンデンサーがパンクしているのではないかと思い、ざっと基板を観察したところは液漏れコンデンサー等は見当たらず、久しぶりに実体顕微鏡を出して上から光源を当てて観察しましたが、コンデンサー基部の液漏れの痕跡は見当たりませんでした。それなら基板を取り外してコンデンサーを一本づつ外し、LRCメーターで容量を測ろうと思って一番たくさん数が使われている16V 470μF のコンデンサーを一個ずつハンダ吸取線を使って抜き始めたのですが、所詮このコンデンサーは平滑系の働きしかしていないようで、すべてまったく容量抜けもふくらみもありません。そこでいままでの経験上からいうと、電源系のトラブルは割と高い電圧が掛かっていながら容量の小さいコンデンサーのパンクが多いことから、基板上のC10の50V 4.7μF、C11,C110,C111の50V 1μFの電解コンデンサーを外すと案の定まったく充電も導通もしていなかったので、ストックの在ったまったく同耐圧同容量のものと全交換しました。これで基板コネクターとFDDの電源コネクターに電圧が出るはずなので、電源コードをつないでスイッチを入れ、コネクター末端電圧をテスターで測りますが、まったく電圧が出ていません。どうしたものかと思ったら、それより前段のC1 コンデンサー 25V 47μFを見落としてました。このC1コンデンサーは外して底を見ると電解液漏れも認められたためこれを交換し、さあ末端電圧を測ろうとテスターを当てるも電圧が出ていなかったため、コンデンサー抜けだけの問題ではなかったかと予想が外れて気落ちしかけるも、再度末端電圧を測るとちゃんと電圧が出ています。おそらく各平滑コンデンサーが充電され、出力されるまでのタイムラグがあったようです。FDD電源コネクター電圧が5Vのところ4,75Vくらいしか出ていないため固定VRを動かして5Vに調整。基板コネクターも8Vと12Vが出るように調整して一件落着。これで電源だけは完全作動品に再生することに成功です。本体基板が死んでいても電源の完全品があればジャンクの食いつぶしで何とか完全品を仕立てることは出来そうです。Pc88fdd ここまで来たら山の7合目まで到達した感じなので一休み。後日、大まかに部品を組み上げて電源をつなぐとちゃんと電源は入るようになりましたが、電源投入時FDD1のLEDは赤く点灯するのにFDD2のLEDがまったく点灯しません。ちゃんと電圧がコネクター末端に来ていますので、またコンデンサーのパンクを疑って分解し制御基板のチェックを始めました。またもや実体顕微鏡でコンデンサーの液漏れチェックをするものの、液漏れの痕跡は認められず、とりあえず前段のC1コンデンサーのハンダを溶かして外し、テスターを当てるも今度は両方向ともにスルーしてました。このコンデンサーは通常の2/3の長さの物でしたが、同じサイズのものがなかったので、足を長く残して巧みにオフセットさせ、コンデンサーの頭がはみ出さないようにハンダ付けしました。またこの周囲の電解コンデンサー3本もすべて無条件で交換し、ちゃんと電源は入るようになったようなんですが、まだ挙動が少し怪しそうな。もう一度組み立てなおしてキーボードとモニターをつなぎ、電源スイッチを入れると少々のタイムラグがあって内蔵ROMからベーシックが立ち上がり、「How many files(0-15)?と表示されるようになりました。そのままリターンを押すとN88 BASIC Version 2.1が起動しました。ところがコマンドを何か打ち込んでやろうとすると、キーボードの反応するキーと反応しないキーがあります。コネクターとかの接触不良を疑いましたが、どうもそれが原因ではないようで、いまどきのゴムキーとは違い、一個一個アルプス電気製のスイッチが仕込まれているキーボードなので、これだけ多数のキー接触不良は考えにくい気がします。しかし、この手のキーボードは一個のスイッチが不通になるとそれと関連するマトリックスのキー全部が反応しなくなるため、直す気になったら地道に不通のキースイッチを探さなければならないなんていわれましたが、さすがにそんなに暇ではありません。
 ためしにゲームソフトをFDD1とFDD2に挿入し、リセットボタンを押すとデモが正常に開始するソフトと挙動のおかしいFDD2からの読み込みでハングしてしまうものに分かれてしまいました。しかし、曲がりなりにも光栄の「提督の決断PC-8801版」のデモをチープなFM音源で鑑賞するところまでには行き着きましたが、この時代のやたらとアクセス音のでかい5"FDDといい、400x200で512色中8色のシンプルなドットで構成されたゲームのグラフィックスといい、やはり隔世の感があります。なんたって1985年10月発売ですから27年ものですしクロックたるやたったの4MHzです。挙動の怪しいFDD2を再度分解してヘッドの摺動部分にシリコングリースで潤滑し、各機械的に動作する部分を点検し、念のためFDD1とFDD2を入れ替えてみました。再度光栄のシミュレーションゲーム6タイトルのうち4タイトルは起動に成功しましたが、2タイトルだけはシステムFDからシステムを読み込まずダメでした。マシンの動作はまったく問題がないのですが、FDDがどうも2Dか2HDの判別がつけられなく、結局はROMからN88を起動するシーケンスになってしまいます。どうやら保管環境のせいで5"2Dの磁性体賞味期限切れが出始めたのかとも思いましたが、どうやらこのMRの2D,2HD兼用FDDは2Dディスクのセクター幅の関係でどうも一般メディアのゲームでも一部読み込まないものがあるらしいです。その問題を解決するにはどうやら2Dメディア専用FDDを搭載したmk-IISRかその後のF系マシンを素直に用意するしかないようです。
 ちなみにモニターは水平15.6kHzと24.8kHz、31kHzに対応するVictorの13インチCRTで、古い8bit機とPC98のために今出来のLCDモニターと並んで未だ現役で残された唯一のものです。以前は切り替えスイッチでX68000とPC98の両方につなげられていましたが、まさか今となって8bit機がつながるとは思いませんでした。それ以降の水平31kHz以上にしか対応しないCRTは17インチ3台、15インチ1台、14インチ1台とすべてLCDモニターに取って替わって引退しましたが、一番古いモニターだけPC98がつながりっぱなしで残されていました。これも水平24.8kHz対応のEIZO LCDモニターに置き換わる予定でした。あとX68K専用モニターで最後まで新品で売られていた15.6kHzと31kHzの両対応モニターがありますが、これはPC98の24.8kHzに対応していなかったため、ろくに使われないうちに箱に入ったままモスボール状態で保管されてます。今8bit機を運用させるためには水平同期15.6kHz対応モニター所持の有無がポイントになりますが、ここいらがwin95以前からパソコンに足を突っ込んでいたか否かのパソコンユーザーのキャリアの差なんでしょう。まして水平同期周波数がどうのこうのなんてまったく知らないパソコンユーザーのほうが多くなったのもwin95のおかげなのかもしれません。
さて、反応しないキーの問題ですが、後日キーボードを分解し、プリント基板上からキーのマイクロスイッチの導通を調べると文字キー30個、テンキー15個の合計45個もキーダウンでの導通がありませんでした。キーのマイクロスイッチを分解してみると、キーダウンのわずかの動きでマイカのような薄膜で絶縁している二枚の電極のボッチを接触させ、導通させる仕組みの両方の接点が経年劣化もしくは飲み物こぼしの影響ででも接点が腐食したのかキーの動きでうまく導通しなくなっていて、これはもはやこのキースイッチ合計45個を生きているものと交換するしかありません。同じPC88用キーボードの中古はめちゃくちゃ高いために、同年代のPC98用キーボードなら同じキースイッチを使っているだろうと思い、そういえば元JARL支部長宅にPC98VMか何かのキーボードがなぜか転がっていたことを思い出してさっそく電話したのですが、わずか数週間前に不燃ごみに出してしまったとのこと。まさかマイクロスイッチの部品取りに必要になるとは想像もしていませんでしたから、捕獲失敗は残念至極でした。とりあえずオークションで同世代の古いPC98のキーボードを物色しつつ、PC88の合計45個の不通マイクロスイッチは基板からハンダ吸取線を使ってすべて外してしまいました。ジャンクで入手したのはVMあたりの古いキーボードで入手価格は500円でしたが送料はその倍以上。これで過去に飲物こぼしの履歴でもあった部品取りにもならないゴミならば泣くに泣けません。ジャンクとゴミは本質的にまったく違うものです。Alpskey スイッチ交換で中断して1週間目に届いた98UVあたりのキーボードですが、中を分解してキースイッチを外してみてびっくり。同年代の製品ですから世界シェア80%のアルプス電気製のキースイッチだろうと勝手に思っていたらなんと自社NEC製のキースイッチに替わっており、キースイッチ基部も直方体形状から立方体形状に変わっています。また端子間距離がオリジナルの5mmから10mmに変わっていますので、8801のキーボードに取り付けるには冶具を作ってボール盤で基板に穴を開けなおし、さらに取り付けベースの穴形状を正方形にしてやらなければなりませんが、こんな大仕事はさすがにパスです。やはり同じ品番のアルプス電気製スイッチを使用しているキーボードを探すほうが無難ですが、ただ闇雲に80年代中ごろのメカニカルキーボードを探しても行き当たりませんよね。ちなみにこのNEC製のキースイッチ、アルプス製のスイッチが押しはじめにわずかに抵抗があってタッチに絶妙な変化が現れるのに対して、押し始めから底まで抵抗感の無いヌルっとしたタッチになってます。いくらアルプスのパテントを避けて自社でキースイッチをまかなおうとしようとも、本家よりいいものはついに作り出せなかった感じです。
 ところが、アルプスのキースイッチでネット情報を集めていたら、なんとSHARPのX68kキーボードにアルプス製のキースイッチが使われているというのがありました。X68kのキーボードだったらかなり以前に電源から火を噴いてお死にになったX68k ACEのキーボードがどこかに転がっていたはずです。しかし、PC88のキーボードのようにクリック感がなく、どっちかというとヌルっとした感触のキーボードだったので、にわかに信じられない感じがしましたが、キートップをはずしてみると、確かにアルプス製のキースイッチです。ただしPC88のキースイッチが青軸なのに対してX68kのキースイッチは緑軸で、明らかに押した感触が異なりますが、寸法はまったく同じなので、結局は必要分のキースイッチを半田吸取線を使って基板から外しにかかってしまいました。X68kの緑軸キースイッチを分解すると、クリック感をつかさどる独特の板ばねが省略された廉価版のキースイッチのようです。PC88のキークリック感を得るためにはこの緑軸キースイッチから接点だけを取り出して青軸スイッチに移植する必要がありますが、5個や10個ならまだしも45個も接点交換するのはさすがに根気が続かないので、残念ながらキースイッチごとPC88のキーボードに移植することにしました。ただし、X68kにはストッパー付きのキーが無いので、要交換のPC88のカナキーだけはオリジナルキーに接点を移植して使うことにしました。しかし、X68k現役のときから一部のキーで反応が鈍いものがあったので、導通を確認する選別を行うと45個のうち5個ほど導通のない、もしくは怪しいキーがありましたのでこれを排除し、PC88キーボードにハンダ付けして作業終了。Pc88_2 改めて本体に接続してN88 BASIC上ですべてのキー入力が有効なことを確認。以前は確認のyが打てなかったのでその先に進めなかったゲームもちゃんと動くようになり一件落着ですが、キーボード上でタッチの違うキーが2種類混在することになりました。まあ今の人は言われなければそんなことに気が付かないでしょうが。ゲームを立ち上げてみると、今度はFM音源のサウンドに微妙に高周波ノイズが混じるような気がして、今度はオシロでもつかって低周波増幅段のパスコン抜けでも探らないといけないかもしれません。


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