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March 09, 2013

HEMMI No.150 ユニバーサル型計算尺

130308_111112  HEMMI計算尺の最初の両面計算尺、ユニバーサル型のトップバッターとして昭和4年に発表されたNo.150ですが、さすがにオリジナルのデザインを作り出すことが出来なかったようで、このNo.150はアメリカのK&E No.4088-3のまったくのデッドコピーです。登場当時はK&Eの両面計算尺がそうであったように上下のカーソルバーにカーソルグラスが直接ネジ止めされたフレームレスカーソルだったようですが、このカーソルは落下で破損しやすく、またカーソルバーの材質による経年劣化で、後年のフレームカーソルに替えられてしまったものも多かったようで、今となっては発売当初のオリジナルフレームレスカーソルのNo.150を見かけるのは極めて稀です。また最初期型のNo.150のみL型金具と下固定尺の固定もリベットではなく上固定尺同様ネジ止めになっているようですが、このタイプのNo.150は唯一1本しかお目にかかっていません。割と早期から対米輸出が始まったようで、FREDERIC.POST No.1458などが低価格を武器に本家オリジナルのK&E 4088-3と同じ土俵で販売されていたわけです。またこのNo.150は昭和15年ころを境に他の両面計算尺と同じボディーになってしまたっため、妙に間延びした計算尺になってしまいますが、発売当初からのNo.150はHEMMIで唯一のまるで片面計算尺のようなスーパーナローボディーが非常に尺数にマッチした愛らしい計算尺です。このNo.150の元になったK&Eの短い上固定尺にそれより若干長い下固定尺をL字の金具で繋ぐというデザインをそれ以降のHEMMIの両面計算尺で踏襲してしまったため、結局日本の他メーカーでも竹製の両面計算尺でもそのデザインは真似をされ、日本の両面計算尺のスタイルは最初のNo.150にして早くも固定化されてしまったということになります。
 このスーパーナローボディーのNo.150はさほど珍しい計算尺というわけではありませんが、なぜか今回までことごとく落札しそこなうという曰くつきの計算尺で、どういう訳か先にコピー元になったK&E No.4088-3のほうが先にコレクションになってしまうほどでしたが、オリジナルのNo.4088-3を入手してから2年も経ってやっと昨年捕獲に成功。なぜかNo.150のシールがついた皮ケースだけは別な計算尺が中に入った状態で何年も前に入手しています。どうやら戦前の両面計算尺はヘンミで言うところの皮サック、後に皮もどきでボタン止めフラップの並サックに入れられ、さらにボール紙の外箱に入れられた状態で販売されていたようで、10インチユニバーサル型の貼箱ケースは見たことがありません。標準で皮ケース入りだったアメリカのK&Eを踏襲してしまったのでしょうか?ちなみに片面計算尺のコピー元だったA.W.FABERが紙の蓋付ケースだったことから、当時のヘンミが片面計算尺は貼箱に、両面計算尺は皮ケースに入れるのがグローバルスタンダードだと誤解していたのかもしれませんが(笑)
 ところで、このNo.150にはモデルナンバーが入っているものとまったく入らないものの2種類が存在するようです。どういう違いかはよくわかっていませんが、皮ケース入りのものには皮ケースの裏側に形式を現すシールがついているのに対して並ケースの裏にはシールがなく、本体に刻印が入れられている個体が多いようなので、後に本体に形式が入れられるように変化していったのかもしれません。また世の中には本体の形式名入り並ケースのNo.150より無銘で皮ケース入りのNo.150のほうが圧倒的に多く、そうすると形式名刻印がない皮ケース入りのNo.150より、並ケース入りで本体形式名刻印入りのNo.150ほうが新しいということなのでしょう。参考までに戦前の輸出用が多かったNo.47あたりにもモデルナンバーがあるものと無いものがあります。
 本家とコピー物を比較するレポートがなかったので、この際この2者をよく比較検討すると、尺種類は双方とも表面DF,[CF,CIF,C,]D,の5尺、裏面がK,A,[B,S,T,CI,]D,L,の8尺の合計13尺で変わりませんが、さすがにNo.150は後発だけあってある程度のゲージマックが追加され、K&EのNo.4088-3には表面には何もゲージマークが無いのにも係わらず、No.150はπ切断尺なのにC尺D尺の双方ともにπを刻み、さらにC,C1ゲージを備えます。裏面は4088-3のほうはA,B,尺にπを刻むのみで、あとは何も無いのに大して、No.150のほうはA,B尺にπ及びMゲージを刻みます。また4088-3の数字は上一桁の数字のみを刻み、桁数は自分で判断しろというスタンスですが、No.150の数字はフルスケールで数字が刻まれており、4088-3のほうはさすがに旧態依然のスタイルなのに対して、No.150のほうは当時なりにアップデートした内容になったといえるかもしれません。とこで双方の計算尺ともSINの目盛りは刻んでありますが、COSの目盛りもSINに対する逆尺もありません。一見して不親切なような気がしますが、もちろんCOSα=SIN(90°- α)で導き出すわけです。この時代の計算尺ですからS尺は上のA尺に対応し、T尺は下のD尺によって数値を導き出します。ところで、このNo.150入手から程なくして古いユニバーサル型の説明書を京都から入手しました。発行年が入っていませんが、製品リストに特殊な計算尺がまったくないところから昭和10年前後のものだと思われます。社名は株式会社に改組した株式会社逸見製作所以後のものです。会社所在地が豊玉郡渋谷町猿楽町から東京市渋谷区猿楽町に変わっていますので、昭和7年10月以降のものだとわかります。74ページのある比較的に分厚い説明書ですが、図版が非常に少なく、言葉で説明する内容となっていますので、旧かな使いの文語調の説明は慣れない人にとっては非常にわかりにくい説明書かもしれません。
Hemmi150
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