PILOT製図用ダブルノックシャープ(H-2003)
当方、文房具収集という趣味はまったく持ち合わせていないのですが、たまたまずっと使ってきたPILOTのシャープペンシル(H-2003?後年のハイメカホルダー)がけっこう文房具マニアの間では人気だということを最近知りました。購入したのは昭和48年ごろなので、すでに40年程前。当時文房具の世界では新商品開発の黄金期を迎えており、鉛筆などは三菱ハイユニを初めとする超高級鉛筆が子供たちの購買意欲を刺激し、筆箱はマグネット式のロックがついたやつ(買ってもらえませんでしたが)を持っているやつはそれだけでもヒーローで、シャープペンシルも繰り出し式0.9mmからノック式の0.5mmが主流になり、さらに芯を出すシステムがエンドキャップを押すだけではなく、横に付いたノックボタンを押すサイドノックタイプや本体が真ん中から折れ曲がり、これをくねくねと折り曲げると芯が出てくるものなどもあったと思います。鉛筆なんかも軸が木ではなく、スチロール系のやわらかいプラスチック製なんていうものもありました。
そんな時代にハイユニさえ3本しか買えなかった当方がどういう手段で何処で購入したのかもまったくおぼえていませんが、当時普通のシャープペンシルがたかだか500円くらいの時代に2000円を出して買ったシャープペンがこいつなんです。のちにハイメカホルダーという名前に変わったようですが、当時は特に愛称もなく本体にPILOT 0.3 HOLDERとしか刻まれていません。製図用のシャープペンだということはあまり気にしてはいませんでしたが、ダブルノックで0.3mmというのがなんとも独創的で、結局はほかの人間が持っていないということが買う決め手になったと思いました。ところが筆記用にはまったく適さず、というのも当時は黄色っぽい更紙にガリ版刷りという答案が使用されており、更紙に0.3mmのシャープペンを走らせると繊維に引っかかってすぐに芯が折れてしまい、非常に使いにくいものであったことと、0.5mmの芯が平均で200円ほどだったのに比べて0.3mmの芯は本数が少ないのに300円もするうえ、よく折れて消耗するというランニングコストの高さ、さらに当方の買ったシャープはあたりが出ていなかったためか、ダブルノックの芯だけを繰り出す仕掛けがうまく動かず、芯を出そうとちょっと余計にノックしたら先端ごと引っ込んでしまったなど、あんまりいい印象を持てず主力級にはなりませんでした。それで普段使いは専らPILOTの何の変哲もないノック式500円程度の0.5mmシャープになってしまったのですが、そのおかげか今の今まで残ってしまったのです。それもどこかにしまいこまれたまま忘れ去られたわけではなく、常に当方の身の回りに存在し、高校大学さらに職場の机の鉛筆立ての中にまであって40年の時代を共有してきたわけですが、今も手を伸ばせばすぐに取る事が出来る自室の鉛筆立ての中にあります。しかし、不思議にその存在というのを意識したことはまったくありませんでした。考えてみれば、製図という作業にはまったく携わらなかったために、結局は0.3mmのシャープペンというのを買ったのはそのとき一度限りでした。いまではとっくにあたりが出てダブルノックの調子はすこぶる快調ですし、芯の濃度表示なんかはとっくの昔に消えうせて今ではなんらインジケーターの役目などはたしていません。でもまあ、非文房具コレクターにしてみると、なんでそこまでこいつを欲しがるのか、よくわからないものが…。「いいものが一点あれば事足りる」なんていうと計算尺の収集自体を自己否定してしまいます(笑)でも計算尺は同じ文房具屋の扱いながら、当方にとってはあくまでも研究材料ですから。
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Comments
こんにちは。
僕も全く同じシャープペンシルを5本所有しておりまして…ええ。文具マニアです(笑)
なんというか当時の文房具には今には無い「質実剛健」さがあった気がします。高いだけに品質はすごくいい。でも結局今使っているのは100円のボールペンですw
Posted by: いなか | May 16, 2013 05:56 PM