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May 27, 2013

RELAY No.158 電気用計算尺

 リレー産業から三愛計器時代のRELAY計算尺は主に北米向けのOEMが多かったからか、両面計算尺に限っては意外と国内から出てくる数が少なく、国内モノで比較的に数が残っているのはリコー計器に社名が変わりRICOHブランドとなって以後の赤蓋べージュ箱入りから透明塩ビケースおよび青蓋ポリエチレンケース入りのものばかりです。その中でもNo.156からNo.159までの電気電子系計算尺は国内に残る数が少ないのですが、特にNo.158という電気尺は後のRICOH刻印のものを見たことがなく(端境期にRICOH刻印の輸出ものがあることだけは確かのようです)どうもRELAY時代のある一時期のみに集中して作られ、後の昭和40年代の主に透明塩ビケース入り時代のRICOHには継承されなかったからか、この電気系計算尺中では特にウルトラレアな計算尺です。たいていのRELAY片面計算尺はコピー元になったHEMMIの計算尺があるのですが、こと両面計算尺に限ってはHEMMIに該当するモデルが見当たらず、特にNo.157とNo.158の電気尺はHEMMI以外でもコピー元になった計算尺を知りません。もっともリレー産業自体が電気系部品・計器などの製造が本業のため、電気系技術者の人材があり、そのためにこのような個性的な電気尺を生み出すことが出来たか、もしくは自社ではまるっきり開発には手を染めず、北米所在エージェントの要求そのままに作られたものなのかもしれません。RELAY計算尺は北米だけでも10以上のOEM先を持っていたようです。またHEMMIも、こと電気電子系計算尺に限っては自社でプロデュースすることが出来ず、No.256が原型が戦前に芝浦製作所との合併前の東京電気(マツダのランプ・真空管の会社)により、またNo.266が確かソニーが係わったという話をヘンミ計算尺レポートで見たような見なかったような。
  このRELAY No.158はNo.151とNo.159のボディーと共通で一部の尺に延長尺を持つため、全長が35センチ強もある長い計算尺です。また見れば見るほどへんてこりんな電気尺で、表面がSh2,Sh1,A,[BI,S,T,C1,C,]D,LL3.LL2,LL1の13尺、裏面がX2,X1,P2,P1,[Q,Y,L,LX,I,]I,Lθ1,Lθ2,LYの13尺の合計26尺を持ちますが、特に裏面は2乗尺やtanθが絡んだ対数尺などの普通の電気物理ではあまり使わない意味のわからない種類の尺だらけで、いちおう電気は少しだけかじってますが、この尺種を見てどういう計算に使用するのかを即座に答えられる知識は持ち合わせていません。昔のRELAY両面計算尺の説明書はHEMMI同様に個別の説明書ではなく何種類かの計算尺をまとめて一冊にしたものですが、No.157はそちらに掲載されているもののNo.158は個別の説明書が付いていたのか、Relay両面尺の共用説明書の中には含まれていません。何とかNo.158の単独説明書を見てみたいものです。GW中に帰省した電気系の研究者で一技一通持ちの同期にこのNo.158を見せましたが、裏面の個々の尺の意味はおおむね見当が付くものの、さりとて実際にどういう場面でどういう操作をするのか、その尺どうしの関連が思いつかないようで、コピーを取って持って帰りました。2乗尺に対応した双曲線関数尺がなぜ必要なのか、tanθ に対するべき乗尺がなぜ必要なのか、単に交流のベクトル計算くらいの頭しか持ち合わせていない似非電気技士の当方にとってはお手上げ状態ですが、案外表面の尺を殆ど2乗尺に置き換え,精度を高めたものを基本に、多少アレンジをして出来上がったのがこのNo.158の裏面と考えたほうがよさそうです。どういうときに使うかと問われれば、交流の正弦波に関するベクトル計算関連しかないような気がしますが、P尺を2分割にして精度を高めるなんてほかに事例があるのでしょうか。また対数尺関係は線路の減衰絡みでしょうか?しかもQ尺は順尺表記なのにしっかり逆尺だし、Cosの二乗尺なんて測量尺じゃあるまいし、結論として当方の頭では「さっぱりわからん」と笑うしかないのです。ゆえにNo.158の操作の件で深く追求されては困ります(笑)
 そして連休後しばらくたってからNo.158の表裏のコピーを持ち帰った同期から電話があり、裏面の上半分はなんとなくわかったが下半分はまだ解明できていないとのこと。上のX2,X1とP2,P1および本来インバースなのに順尺表記のQを使ってハイパーボリック(双曲線関数)の計算の精度を高めた。またL尺は対数尺ではなくラジアンで上のY尺のCOS二乗に対応しているんだけど、たぶんP、Qの二乗尺に対するラジアンベースの三角関数尺という位置付けなんだろうが、何をしようとしているのか真意はわからんとのこと。またI尺は何かのインバース(逆尺)なんだけど、なんで末端が1ではなく40なのか、これもさっぱりわかんないという話です。また、下のべき乗尺はラジアンではなくて度に対応し、一番下のLYがラジアン対応なんだけど、これも滑尺上のLとの関連や計算操作などがわからず、今後の課題とのことです。職場のパソコンキーボードの上にこのNo.158のコピーを切り抜いたものを貼り付けて、事あるごとに謎解きを試みているようです。ひとつ言っていたことは、裏面の尺種記号のうち、P尺以外はグローバルスタンダードから外れているということで、たとえばY尺L尺I尺など、誰がどこからそんな記号を持ち出して当てはめたのか、意味がわからないとのことで、これは当方も同感です。
 ところでこのRelay No.158は輸出用として初期には☆Relay☆DE-1008の型番を刻まれて輸出されてたようで、後に国内向けも輸出用も同じNo.158に統一されたようですが、Relay計算尺で多かったアメリカ向けOEMブランドにはNo.157はあるものの、不思議とNo.158が見つかりません。それだけ特殊で需要が限られたということなのでしょうか。それでは、なぜこんなものをわざわざ作ったのか疑問ですが、そもそもRelayの両面計算尺の傾向とOEM供給先の数からすると、やはりアメリカの会社からの要求が単純に形になったような気がしてなりません。どうもNo.157とNo.158は電気系計算尺の常識から外れた点が多く、そこがまた面白いのかもしれません。入手先は埼玉の深谷市で、ここからは以前になかなか希少な計算尺を何点か入手したことがあります。製造刻印はI.S-3で昭和35年3月の製造ですが、いままで見たことのある国内モノのNo.158はこの時期までにしか作られていない旧小型カーソル付きのものだけです。
Relay158
Relay158_2


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