RICOH No.159 両面電気用
RICOHのNo.159電気用計算尺ですが、たまに未開封新品で発見されるのにもかかわらず、絶対数が少ないためかなぜか今まで当方のコレクション入りすることなく、今回入手したものが実は初めてです。Relay初期から輸出に出回っていた計算尺だと思っていましたが、なぜか国内からRelay時代のNo.159が出てくることは極めて稀で、大抵はRICOHにメーカー名が変わった赤蓋ベージュの貼箱以降のものばかりです。まあ、Relay時代からの電気用電子用計算尺は個性派ぞろいですが、何せ手元にないのでじっくりと観察する機会も無く、気にも留めていなかったのが本音でした。HEMMIのNo.255Dあたりと同様な両面計算尺だろうと思っていたのですが、実はかなりオリジナリティーを感じさせる計算尺で、一言でいうと、HEMMIのNo.153とNo.255を合体させたような内容の計算尺なのです。ダブルスターリレー時代の輸出用の型番にDE-1008というのがあり、この計算尺の国内向けの品番がNo.159かと思っていたのですが、今回改めて調べてみると、同じ延長尺を持つ両面電気用計算尺ながら、まったくの別物でした。また、昭和34年発行のRelay両面計算尺用説明書にはNo.157は掲載されていますが、No.158とNo.159が未掲載です。そのため、もしかしたら双方ともに昭和35年以降にラインナップに加わったものなのかもしれません。そうすればRelay時代のものが少ない、もしくは見当たらないことが理解できます。逆に輸出向けのOEM計算尺にNo.159に該当するものがないかどうか探したのですが、いまだにまったく同じものが見つからないので、おそらくそのままRICOH No.159として輸出していたのかもしれません。ところでまったく同じ尺種を持つRICOHの電気系計算尺にNo.2509というものがあります。この計算尺は延長尺を持たない以外はNo.159とまったく同じ計算尺で、さらにケースが青蓋ポリエチレンケースと黒ビニールサックケースしか見つからないので、おそらくは昭和45年以降の製品だと思います。No.159のほうにも昭和45年以降の製造物がありますので、形式的にはNo.159の後継はNo.2509なんでしょうが、わずかに併売されていた期間があったようです。No.159は今のところRICOH時代に替わったころのものから昭和40年代半ば過ぎくらいの物まで存在するようで、ケースが三種類、カーソルも三種類あります。ケースは初期が赤蓋ベージュ紙貼箱が一番古く、その後昭和40年から45年はじめころまで透明塩ビケース、その後青蓋クリームボディーのブロー成型ポリエチレンケースに変わっていきます。カーソルも初期がフレームレスカーソルで、その後合金の金属フレームカーソルに変り、昭和45年後半ごろからかメッキをかけたプラスチックフレームの小型カーソルになりました。今回入手したNo.159は埼玉の朝霞市からで、となりの和光市はヘンミの工場が存在した場所です。透明塩ビケースに入ったもので、カーソルは金属フレームの追加された中期型。本体の刻印は「SS-4」なので昭和45年の4月ですが他の計算尺では青蓋のポリエチレンケースが付属したものもありましたので、このころは機種ごとに双方のケースが混在した時期だったのでしょう。またこのNo.159はずらし尺ではないのでCIF尺がなく、当然のことグリーンCIFのものは存在しません。表面はLL-1,LL-2,LL-3,A,[ B,BI,K,CI,C,] D,LL3,LL2,LL1,の13尺、裏面がSh1,Sh2,P2,P1,[ Q,Sr,Sθ,Th,C,] D,T2,T1,L,の13尺の合計26尺で、HEMMIのNo.255Dの24尺をしのぎます。電気の計算からすると双曲線関数は同じですが、No.159はBI尺があり、さらに2乗尺を備えていて交流正弦波のベクトル計算が簡単なのに対してNo.255Dはこの部分がやや劣り、No.255Dは角度の度とラジアンが独立した目盛りを持っていて、インバースの三角関数尺と組み合わせて使用するのに対し、No.159はインバースの数字も付された度とラジアンの独立した正弦尺を持っているという差がありますが、HEMMIはNo.153とNo.255Dの2本ないとNo.159と同じ事が簡単にはできないという感じでしょうか。RicohのNo.151同様に全長35cmというオフサイズの計算尺で表面A,B,C,D尺および裏面のC,D尺に延長部分を持ちます。A,B尺のオーバーレンジ起点は0.75、終点は130(1.3と表記)、C,D尺のオーバーレンジ起点は0.87、終点は11.5になり、延長部分だけ赤で数字も目盛りも着色されています。日本で発売された電気系計算尺で150代の型番を持つ物は156,157,158,159の4本ですが、昭和34年発行の両面計算尺汎用説明書に掲載されている物はNo.157のみで、他の3本はそれ以降の発売だったのかもしれませんが、米国向けの電気系両面計算尺の中には日本で売られた上記4本のものと異なるダブルスターRelay時代のDE-1008のようなレイアウトのものが存在したようです。
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