« 正体不明の理研計算尺(IDEAL RELAY No.100?) | Main | キンモクセイの芳香剤はなぜ廃れてしまったのか? »

August 04, 2014

意外に気がつかないHEMMI No.2664Sのインチスケール

 日本国内における計算尺の永遠のスタンダードと言えるのがHEMMIのNo.2664Sだということは誰もが認めるところです。本命計算尺のバーターという形で自分の意思に係わらずいつの間にかコレクションにHEMMIのNo.2664Sが増殖してしまい、古くはH刻印の極初期型からX刻印の末期方までありとあらゆるバリエーションが揃ってしまいました。そのため過去にケース、刻印、スケール等の変遷もまとめて発表済みです。今回また新たにバーターでNo.2664Sがやってきたのですが、普通ならそのままバルクのダンボール行きになってしまうところ、たまたま刻印のチェックだけしようと中身を確かめてみたところ、なにかおかしいと感じました。よくよく見ると上部のスケールがインチで刻まれてます。No.2664の上面インチスケールは当たり前のように存在しますが、No.2664Sに限っていえば、上面にインチスケールがあるのはいままで相当な数をチェックしてきたはずですが、今回までまったく気がついたことがありません。それで初期から末期まで手持ちのNo.2664Sを調べてみたのですが、下固定尺側面には年代ごとにパターンが異なるものが存在するものの、上面は十数本すべてメトリックの27cmスケールで相違ありませんでした。
 HEMMIの計算尺はJ.HEMMIの時代から仕向け先などによって上部スケールがインチとメトリックの両方あるのが普通で、国内にはその両方が出回っていたのにもかかわらず、その区別を明確にして販売していた節はまったく感じられません。原則、国内ではメトリックのスケール付きのものを販売して、数が足りなくなったとか輸出向けに準備していたものがキャンセルになって余剰が生じたなどの際は輸出用のインチスケールのものも流していたのではないかと考えていますが、これは製品の中でもフレデリック・ポストなどのOEMで対米輸出用がある計算尺に限られ、学生用などの国内向けで対米向け輸出の無い計算尺には原則インチスケールのバリエーションが存在しないと思ってました。すなわちNo.64やNo.50Wなどには戦後のものであっても国内向けにインチスケールとメトリックスケールが混在し、欧米ではポピュラーではなく、輸出用OEMのない√10切断ずらしのNo.2664Sはインチスケールのものが最初から存在しないと思っていたのです。ところが、No.2664にはスケールがメトリックとインチのものが戦時中を含めて全製造期間を通じて混在(昭和20年代製造のものは返ってインチスケールのもののほうが多い?)しますので、国内専用にインチスケールなしの原則には合致しません。というよりまったくそのあたりの疑問にはいままで深入りしていなかったのでした。HEMMI No.2664Sに関してはあまりにもスタンダードすぎて、過去のオークション落札品チェックなどほとんどしていないのですが、このインチスケール付きのNo.2664Sの存在にはまったく気づかされていなかったというのが本音です。製造刻印は「JG」なので昭和34年7月。下固定尺の側面にはメトリックで27cmまでのスケールが刻まれているパターンのNo.2664Sです。このNo.2664Sも昭和40年代半ばを過ぎると上面にメトリックのスケールが刻まれるのみで下固定尺側面はブランクになりますので、おそらくインチスケール付きのNo.2664Sは昭和30年代半ばまでの初期タイプのNo.2664Sにしかないパターンなのかもしれません。そう思ってよく調べたら表面下固定尺の右下に形式名刻印が移動した昭和40年代初期のNo.2664Sにもインチスケールのものの存在を確認しました。「上面インチスケール付きNo.2664S」をお持ちの方はぜひ製造刻印をお知らせください。
また、昭和34年製造の片面計算尺だけに存在するまるでダブルスターリレー時代の片面尺のような特殊な黄色いアルマイト処理の裏板ですが、このインチスケールのNo.2664Sは通常のものが装着されていて、以前入手した昭和34年もののNo.64や40RKのような完璧なアルミのなべのような黄色い裏板ではありませんでした。
Hemmi2664s


|

« 正体不明の理研計算尺(IDEAL RELAY No.100?) | Main | キンモクセイの芳香剤はなぜ廃れてしまったのか? »

Comments

友澤さんのHPの完全解説
http://www.keisanjyaku.com/sliderule/stamp/kokuin.htm#fig1
を参照ください。

Posted by: じぇいかん | November 20, 2016 06:58 AM

手持ちの計算尺2664を久しぶりに取り出しました。昭和30年代後半からフイルムメーカーの営業でした。フイルムの単価は重量当たりで、当時は計算器もなく見積り計算に使用していました。本欄を見て懐かしい感慨に浸っています。ところで製造年月表示はどの部分にあるのか分かりませんのでどなたか教えてください。宜しく願います。

Posted by: ていちゃん | November 20, 2016 05:03 AM

じぇいかんさん、

上面インチスケール付きのNo.2664Sを持っています。製造刻印は、「IE」です。

ちなみに下面は0-27のメトリックスケールです。

gwankai

Posted by: ぐゎんかい | August 04, 2014 03:59 PM

自分の持っている物を調べたところ、1本だけインチスケールの2664Sがありました。
製造刻印は“HJ”ですので、1957年10月製造です。
Twitterの方へ画像を上げましたので、参考までに。
https://twitter.com/SaYo555/status/496122056967061507

Posted by: cyno_y | August 04, 2014 11:47 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 意外に気がつかないHEMMI No.2664Sのインチスケール:

« 正体不明の理研計算尺(IDEAL RELAY No.100?) | Main | キンモクセイの芳香剤はなぜ廃れてしまったのか? »