« スプリアス規制後までの無線局延命作戦その2 | Main | 前川合名会社教材用クラニー灯 »

February 09, 2017

スプリアス規制後までの無線局延命作戦その3

 固定局の開局時に用意したHF無線機は八重洲の真空管ファイナルの無線機FT-101ZDの後期型WARCバンド付きです。本来ノッチが加わった最終型が欲しかったのですがタイミングが悪く見つかりませんでした。1エリアの現役ハムの方から入手したのですが、本人の物ではなく知り合いからの委託品とのこと。実は違法CBに使用していたらしく10メーターバンドの二個の水晶が入れ換えられていました。また長い間縦方向で押し入れのなかに保管されていたからか、πマッチの要であるギロチンのコアが出入りするプラスチック部品が変形していてコアが引っかかるという問題を抱えていて、やんわりクレームを申し上げると中古部品代相当の5千円値引きして返金してくれたというシロモノです。この変形したギロチンのプラスチック部品は同寸のドリルで入り口を円形に整形することで事後の調整なしにいままで正常に働いていました。またWARCバンド付きなのにWARCが10MHz以外送信解除されておらず、ジャンパー線をカットして送信解除する必要がありました。固定局開局当初はよく夕方の24MHzなどに出ていましたが、FT-101でWARCバンドに出ているというとZシリーズを知らないOMさんからすごい改造を施したなどと勘違いされることもありました。
 このような1970年代後期の骨董的無線機ですが、混信除去能力はさすがに今の無線機には劣り、アナログVFOゆえにQRHがあって、暖まるまで100Hz単位で周波数が上がって行くという当時としては当たり前ながら今は許容できない欠点があります。また真空管無線機ゆえに無線機の電源と真空管のヒーターのスイッチを両方入れてもしばらく経たないと電波を出せない、バンドを移動するたびに同調を取り直さなければ行けないということも今のハムの人たちには煩わしいだけだと思います。それでも真空管特有の野太い変調は概ね好評で、受信音もがさがさしておらずに長時間でも大変聞きやすい無線機でした。

 しかし、このFT-101ZDは最終的にスプリアス確認保証の認定対象機には入りませんでした。同じくうちでは夏場の稼ぎ頭で唯一の6m機であったIC-551が、同じく2mオールモード機IC-290がスプリアス保証認定対象外となりました。真空管機はすべてダメだと思っていたのですが、八重洲はそれこそ101シリーズも901シリーズもそして国内最終真空管ファイナル無線機のFT-102までが全滅だったのに対し、トリオはなんとTS-520SからTS-820S、TS-530VおよびTS-530S、TS-830VおよびTS-830Sの合計6機種がスプリアス認定保証対象機として残ってしまったのです。そうすると移動局で最初に入れたTS-830Vはスプリアス認定保証さえ取得すればそのまま使えるということなのですが、今やオンエアしている局は最低3アマ50Wが標準になってしまって、アンテナがプアなうちでは心もとない出力です。

 そうなったら真空管ファイナルの無線機操作の伝統芸保存(笑)のためにもジャンクでもいいからとりあえずこの6機種の中から固定局に保証認定を取って増設申請することを目論みました。そして動作確認無しのジャンク扱いのTS-830Sを手に入れましたが、忙しさにかまけてどういう状態かまったく見ていません。一台生きているTS-830Vがあるので、いざとなったら部品の食い合わせでも何とかなりそうです。そして最近なんと函館の現役HAMの方からいちおう可動状態のTS-520Sまで入手してしまいました。TS-820のほうは中途半端感が否めなく興味がありませんでしたが、TS-830SとTS-520Sの二台があればたとえFT-101ZDが使用不可になる日が訪れても真空管ファイナル機のチューニングという伝統芸は継承出来ますし、TS-520Sのファイナル管は松下のS-2001Aながら6146Bをそのまま2本差し替えても使用可とのことなので、TS-830Sとの共用が可能ですし、期限が来て使用出来なくなったFT-101ZDから流用することも可能です。
 固定局はこのTS-830SとTS-520Sを増設扱いで保証認定を申請し、変更届を出す準備を行う予定ですが、第一送信機のFT-101ZDに関しても再免許申請は受理されるものの「第○送信機は平成34年11月30日を超えて使用出来ません」との但し書きが局免に印刷されるようです。

 ところで、うちには6JS6Cという真空管がまったくの箱入り新品NECのものが2本、東芝グリーンベルトの中古管2本、NECの中古管2本の合計6本のストックがあるのにも関わらず、それを使う無線機が一台もないという状況がすでに十数年続いています。しかし、スプリアス規制でこれらを死蔵させるのも忍びなく、短い期間でも使えればいいやとのことで、実は昨年3月に最終型に近いFT-101Eを入手してありました。7MHzあたりでの感度も申し分なく120Wくらい出るケースだけところどころさびのスポットがあるもののものすごくきれいなFT-101Eです。これも新スプリアス規制に適合しませんので最長で平成34年の11月30日までしか使用出来ませんが、これもいちおう増設として保証認定を取って変更届を出すつもりでいます。だた押し入れに入れられていた期間が非常に長かったようで、14MHzから上の周波数の感度が落ちしているようです。そのため再調整をしなければいけないのですが忙しさにかまけていまだに何もしていません。最近はオークションでもFT-101はどんどん出品されているようです。マイクのインピーダンスもわかっていない人が手を出しても変調が浅いとかなんとか変な事を言い出しそうですが、実は古い真空管機はハイインピーダンスのマイクを使用しなければいけません。うちに現在あるものではFT-101EとTS-520Sが該当します。FT-101Eは八重洲の600Ω-50kΩ切換え式のスタンドマイクYD-148とプリモのUD-844がありますし、TS-520SはスタンドマイクのMC-50がハイローの切換え式ですから心配はありません。しかしスタンドマイクは取り回しが聞かないのでハイインピーダンスのハンドマイクが欲しいところですが、こちらのほうはオークションでも殆ど見なくなりました。

| |

« スプリアス規制後までの無線局延命作戦その2 | Main | 前川合名会社教材用クラニー灯 »

Comments

管理人 様

適格なアドバイスを頂き、ありがとうございました。

局免許が、固定/移動とも平成31年5月/8月に切れるので平成30年に無線機の見直しを致します。
具体的には、使っていない(又は処分した)ものは撤去申請を総務省に出し身軽にします。
固定:4台、移動:16台が許可されています。

そこで、確認ですが。保証対象機器のみについてですが、私の理解が間違っていたらご指摘下さい。

①保証対象外機器:IC-290:H34.11月迄使用可能:局免にxx送信機は、yy年zz月迄の可能性あり
②移動局の無線機の減、増:減らすのは総務省に、xx送信機の撤去申請、増やすのは:JARD保証認定と総務省増設申請
③記録すべき事項:技適番号等、無線機のシリアルナンバー、改造無し(パワーが仕様どうり)、など
④局免は切らさず継続すること

TS-500Dは処分しました。IC-290は使えなくなるまで使用して、飾りになりますね。

友人のTS-700(2m ALLMODE 10W)は使えなくなるので、代わりの導入を言わなくては。

ありがとうございました。参考になりました。

 

Posted by: JG1OZH | October 12, 2017 11:05 PM

IC-290は初期のPLL機ということもあり、何台サンプリングしてもスプリアスが規定水準に収まらなかったということなのでしょう。
 うちでも一台登録されていますが、けっこう感度が良かったので惜しいところです。

 それでまとめて私見を述べさせていただきますが、TSSの平成19年12月以降の認定保証は申請機がすべてスプリアスが規定の範囲内に入っていることを前提に保証を出しているとのことで、一部TSSの保証を受けるとスプリアスの確認保証不要と解釈している人が多いようです。ところがあくまでもTSSがスプリアス規定値内を保証しているわけではなく、総通局にスプリアスの確認を求められた場合はその証明義務は免許人にあるということです。
 ゆえに今からスプリアス認定保証対象外の機種や自作機をTSSの保証を受けて追加申請しても平成34年12月1日以降は使用出来ないという特記事項が局免に付く可能性が否定出来ません。

 現に追加装置としてブースター等の電力増幅装置が許可されている場合は無線機のスプリアス確認保証を受けるだけでその無線設備はそのまま使用出来るはずです。しかし新たに追加装置付きで申請しても今からでは時間的にもう間に合いません。付加装置のない無線設備の変更申請の保証も10月末までに提出してくれるようJARDが告知しています。

 またアナログVFOのHF機はすべてアウトだと思っていたものがFT-101Zシリーズ、TS-830,530シリーズ,TS-820シリーズが確認保証にはいっただけでもうちは大助かりなのですが、TS-520はSとDとは世代が一つ異なりアナログVFOが異なるのでスプリアスが規定値に入らないのも仕方がありません。
 TS-520DとXは世代的にはFT-101B相当です。

 また新たにJARDから告知がありまして、12月1日以降は自作機、外国製機、確認保証対象外機の保証業務は終了するが、確認保証対象機種は開局、変更届けの保証は継続して行っていくそうです。その際は改めてスプリアス確認保証を受け直す必要がないので、おそらくは改まった保証認定願書に申請機種のシリアルナンバー等を記入する項目が追加されそうです。

Posted by: じぇいかん | October 08, 2017 09:50 AM

初めまして、こんにちは
新スプリアス対応を調べていて、ここにたどり着きました。
疑問が多くあり、JARDにもTSSにも問い合わせて研究しているところです。

Ic-551はJARDの2017.7分に保証認定機種に載っていますが、IC-290は載っていませんね。

ここで疑問を上げておきます。アドバイス頂ければ幸いです。

①JARDの保証対象外機種は、TSSでもダメなのか?
②2m/430は10W機にリニア(2SC3102)で50Wの局免がおりているが、これは継続できるのだろうか?つまり無線機は保証認定機として申請するのだが。
③TS-870S+リニア(200W)も同様に心配です。
④TS-520S、TS-520Vは保証認定対象だが、TS-520D(100W)はダメっていう事かな。

思いついたまま書きましたが、お返事いただけると幸いです。


Posted by: JG1OZH  | October 04, 2017 05:36 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference スプリアス規制後までの無線局延命作戦その3:

« スプリアス規制後までの無線局延命作戦その2 | Main | 前川合名会社教材用クラニー灯 »