ユニオン光学UNION 8x30 7.5°双眼鏡
昭和23年創立の工業用顕微鏡メーカーであるユニオン光学の製品らしき双眼鏡です。ユニオン光学は7年ほど前に悪徳ファンドの手に掛かり、仕手筋と共謀して株価操作したファンド出身の社長が逮捕されて一度破産し、それでも金属顕微鏡としては世界的なメーカーとしての技術を買われて現在は新生ユニオン光学としてよみがえっています。
この本来は顕微鏡専門のユニオン光学と双眼鏡製造の係わりですが、どうも昭和40年代半ばまでは双眼鏡を手がけたことがないらしく、そのため双眼鏡製造メーカーコードを取得しておらず、おそらくはJBコードの表示廃止後になって双眼鏡製造を手がけたようなのです。その理由は判然としませんが、廃業した下請け会社の工場を取得したら、双眼鏡製造の職人まで付いてきて新たに双眼鏡製造業務に参入なんて理由だったかもしれません。
ところが付属のケースなどからして明らかに昭和30年代後半くらいに作られたユニオン名の双眼鏡があり、それらにもJBナンバーが打たれていないことから推定すると、どうも海外の
顕微鏡輸出先からの要望で顕微鏡と抱き合わせで輸出用の双眼鏡を製造もしくはOEM製造させたということもあったのでしょうか?
手元にある8x30mm7.5°のUNIONネームの双眼鏡もいえる事ですが、UNIONの双眼鏡は板橋輸出双眼鏡の中にあってもけっこうコントラストが高くてクリアな視界は特筆物で、プリズムもBK7を使用しており、取り立てて特別ではないシングルコートを施されたレンズの組み合わせながら切れ味の良さを感じさせる双眼鏡です。プリズムの表面はコーティングさえ施されておらず、FULLY COATEDという表記ではなくCOATED LENSと表記されているのは表記を素直に信じがたい板橋輸出双眼鏡の中では正直な表示です。
それでなんでコントラストが高く切れの良い見え方をするのか不思議なのですが、おそらくは鏡体内部の反射防止に黒のメッキか何かの処理が丁寧に施されているのが主因でしょうか。まだ逆光でどれほどコントラスト低下するか試してはいないのですが、いままでに10台くらい試した8x30mmクラスの板橋輸出双眼鏡の中では群を抜いています。ただ、他の双眼鏡に比べて妙に画像が小さく見えたので、実倍率を計測したら6倍しかありませんでした。実質的には6x30mm双眼鏡です。まあこのスペックの方が夜間は使いやすいと思いますが(笑)
重量はストラップ抜きで480gと軽量なほうの部類でした。このころになると鏡体は精密ダイキャストの成型で肉薄に仕上げられるようになったのでしょうね。
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