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July 23, 2018

成東商会DAUER 12x50mm IF Zタイプ双眼鏡

Dvc00005 ダウエル光学の成東商会というと昭和40年代から50年代の天文マニアでは知らない人はいないでしょう。
天文ガイドなどの広告におびただしい商品を載せていましたが、その成東商会のカタログ冊子は中学生時代の当方も切手をいくらかか送って入手しました。
そのカタログ冊子が今残っていればいい話のネタにはなるのですが、けっこう物持ちが良い我が家でもさすがに捨てられてしまって探しても出てこないでしょう。

 そのダウエル光学の製品ですが、少なくとも当方の周りではいくら他の光学メーカーよりも割安な製品群だとしても現実に手を出す人間は皆無で、そのためダウエルの製品を実際に手にしたことはありません。
 成東商会に関してはそのスタートは大変早く、戦前から営業していたようなのですが、どういうわけか戦前の光学製品卸から戦後はメーカー化したカートンやエイコー、戦後のケンコーのような名の知れたメーカーに発展することなく、旧態依然の家内工業で光学製品組み立て小売に徹していた会社でした。
 場所は文京区本郷の東大赤門のそばというような話ですが、一般家屋のようなところに部品の箱が山積みになっていて、注文が入るとその部品を組み立てて発送するなどという営業形態で、決して箱に詰め込まれた完成品が幾種類も並んでいるというようなそういう場所ではなかったようです。
 そのダウエル商品ですが、屈折式反射式の天体望遠鏡はもちろんのこと顕微鏡や双眼鏡、そのほか天体望遠鏡の自作に必要な部品類、特に反射鏡を磨くための素材や材料などの用意は相当細かく扱っているようでした。その扱っている商品の豊富さからするととても一軒屋で細々と営業しているような4畳半メーカーには思えないのですが、そこは子供ながらの本質を見抜く感というか、やはり初心者は手を出してはいけないメーカーだということを匂いで嗅ぎ取ったようです。
Dvc00011 成東商会の存在は忘れてはいませんでしたがダウエルの商標名は40年くらい忘れ去っていました。ここしばらく板橋の輸出用の双眼鏡をいじってきて、そこで徐々に気になったのが成東商会のダウエルブランドの双眼鏡です。板橋双眼鏡でもけっこういい加減なものがあるというオメガブランドの双眼鏡と比べてもどれくらいおかしい作りの双眼鏡かということに興味があったのです。それでしばらく探していたのですがさすがにゴミ双眼鏡でこれがなかなか見つからないのです。
 そしてやっと見つかったのがダウエルの12x50mm双眼鏡。それもけっこう古そうなIF(単独繰り出し)のZタイプ双眼鏡で落札額は他の双眼鏡含めて1円でした。もっとも最近1円双眼鏡ばかり集めてますが(笑)
 分解前にいつもの送電線の鉄塔を覗いて見ますと、少しカビてはいるもののまったく見えないというほどもものではなくちゃんと像は1つにまとまってみえるので視軸も合っているようでした。
 とりあえず今回は接眼側から分解し、プリズムを磨くことにしますが、驚いたことに接眼側鏡板の内側に1.6φの針金をループにしてスペーサーとして噛ませてます。たぶん集めてきた部品がすべてマイナス側の誤差になったため、スペーサーとして調整用にかませたもののようです。どんな板橋の双眼鏡にも見られない「針金入り」の双眼鏡に早くもドン引き状態(笑)
 おまけに接眼側のプリズムは左右で角のカットが異なるもの。片方は頂点の片サイドを斜めに削り落としてあるのですが、片側はなぜか両方に削り落としがあります。対物レンズには両面にコーティングがあるようですが、接眼レンズには外側のレンズにしかコーティングは施されていないようです。
 対物レンズ筒がやたらと硬くて本体から外れず、どこかに隠しねじでもあるのかと探したのですが見当たりません。渾身の力を込めてベルトレンチで回すとやっとのことで回ってくれましたがねじ部分に油分がまったくありませんでした。対物レンズをはめ込んでいる枠には黒染めがあるのですが、それを支えているエキセンリングやレンズを抑えるリングは鍍金も黒染めもないもの。これも板橋双眼鏡超えのコストダウンの結果でしょうか。対物遮光筒がない代わりにプリズムに反射防止カバーが装着されていましたが、こちらもブリキの抜きっぱなしで黒染めもありません。やや反射が気になりますが、ちゃんと筐体内部は塗装され、プリズムポケットの加工は意外にというと失礼なことにプリズムがまったく動きもしないほど見事に加工されており、ここだけはニコン並み?
 左側の対物鏡筒がねじ込まれている鏡板にも針金が仕込まれており、接眼側とあわせてこちらは合計3.2mmのプラス焦点調整、右側は接眼部分のみでプラス1.6mmの焦点調整です。
Dvc00010 とりあえずすべての光学系を洗浄してすべてのねじ類をグリスアップし、視軸調整してみると、これが意外によく見えるのです。快晴のアウトドアではコントラストの低下は否めないのでしょうが、解像度はなかなかのもの。ただし、実倍率は7倍しかありません。12x50mm双眼鏡なのですが実は7x50mmなのです。わざわざ7x50mmと12x50mmの双眼鏡を注文したら名板だけ異なる中身が同じ双眼鏡が届けられるのでしょうか?

 「針金を使ってでもちゃんと見える双眼鏡に仕上げる」技術は認めますが、これをつかまされたユーザーはたまったもんではありません。焦点調整といっても対物筒に薄いシムを一枚かませる程度が限度でプラスの3.2mmの調整というのも空前絶後です。

 かなり古い時代の双眼鏡にもかかわらず筐体を作った業者のJEコードは見つからず、成東商会自体輸出業者ではないのでJBコード自体取得されていません。そのため、部品の調達先は不明。

 撮影用にテルスターから見口をトレードしてかぶせてありますが、おそらく見口の材質が悪かったのか両方とも欠損していて、IFの双眼鏡からいろいろ付け替えてみたもののどれも合いませんでした。

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