ビクセンの7x50mm 7.1°Zタイプ双眼鏡ですが、こちらは昔、当方がお年玉とお小遣いをかき集めて市内の眼鏡店で購入したものです。
昭和48年の1月のことで、購入価格は10,500円だったと思います。確か前年に9,500円から値上げになったと思いました。
購入のきっかけというのは当時市内の青少年科学センターが開催する天文クラブというのに所属していて毎週土曜日の夜に観察会を開催するのですが、そこに何台か配置されていたのがビクセンの7x50mmだったのです。
それまで天体観測というと天体望遠鏡以外の道具なんて考えられませんでしたが、実際に望遠鏡を向ける前、肉眼では見つけられない外合間近の金星を見つけたり、肉眼では良く見えない散光星雲や星団を観察するなどの用途に大活躍でした。
そのため、青少年科学センターの備品以外に自由に使える7x50mmが欲しくて購入したのがこのビクセンの双眼鏡です。さすがにニコンは手が出ませんでしたが普及品クラスの双眼鏡としてはカートンやエイコーの選択肢もあったものの前年に購入した天体望遠鏡が同じくビクセンの名機エータカスタムだったため、選択の余地はありませんでした。
また、ビクセンは双眼鏡が主力でカタログが充実していたという理由も多少はあったかもしれません。
購入後は専らの天体観測専用で肉眼では良く見えない星雲星団の観察がメインでしたが、夜中に自転車で家の周りよりも空の暗い場所に出かけ、草原に寝転んで視野いっぱいに広がるアンドロメダを見て、その星の一つ一つが見えるような気がして感動していたものでした。またさそり座いて座方向の銀河に浮かぶ肉眼ではぼんやりとしか見えない散光星雲群が双眼鏡だとたくさ見つけることが出来、夏が来るのが楽しみでもありました。
そんな天体観測も高校進学と同時に天文クラブも卒業ということになり双眼鏡での観測もまったくしなくなってしまい、もっぱらコンサートに持ち出すための双眼鏡に成り果ててしまいましたが。
それから約四半世紀以上ケースに入ったまま実家にぶら下げられていたのですが、案の定対物レンズ内側にスポット的にカビが発生。グリスの油分が蒸発したのかプリズム表面も曇ってしまったため、あるときフルオーバーホールするjことを決意。
レンズもプリズムもきれいに洗浄して元に戻したのですが、何と遠くの像が斜めに分解して見えるという。このときプリズムを分解したのちにエキセンリングで視軸を調整するという作業を知らなかったのです。
しかし、この経験がガラクタ双眼鏡分解調整に入り込むきっかけになりました。
昔からこればかり使っていたということもあり、当方のすべての双眼鏡の性能の基準はこのビクセンの7x50mmより良いか悪いかということになります。
以前海上自衛隊観艦式に便乗するために購入したニコンのマルチコート7x35mm 7.3°、これ実に20年ぶりに購入した新しい双眼鏡だったのですが、さすがにマルチコートだけに抜けと視野の明るさはあるものの35mmと50mmの口径の違いによる解像力が物足りないなんて、すべてビクセンの7x50mm基準です。
このビクセン7x50mm 7.1°の双眼鏡ですが、昭和48年1月購入なので製造は昭和47年。この前年に光友社からビクセンに社名が変わったことを受けてか双眼鏡のロゴデザインが逆アローVixenのものから楕円にVixenに変わり、白だけではなく赤や黄色を使用したカラフルなものになりましたが、スタンダードな双眼鏡はかなり長い間このデザインのままだったような気がします。
また価格が値上がりしたためではないでしょうが、付属品としてゴムの折込見口が添付になったのもこのころです。
肝心の性能のほうですが、当時の天文ガイドの双眼鏡性能レポートのような記事が連載されていてニコン、コーワ、フジなどに並んでビクセンも取り上げられていたと思いますが、評価的にはけっこう厳しいものだったと思います。
プリズム面の反射が多いためか瞳径が真円ではなく周囲に青くケラレがある、筐体内部も黒塗りではなく鍍金かアルマイトの半艶仕上げで内面反射のためコントラストが物足りないなどいろいろの問題が指摘されていたような気がしますが、きちんと調整されたビクセンの双眼鏡の見え方には当時まったく不満はありまんでしたし、今になって比較する板橋輸出用双眼鏡の中になっても上位のクラスに位置する双眼鏡だと思います。
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