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July 14, 2018

日本光学NIKKO ノバー7x49mm 7.1度 Zタイプ双眼鏡

Dvc00957  今年はニコン双眼鏡100年だそうで歴代の双眼鏡を集めた展示会が行われたそうです。当時の日本光学というと軍用光学品の国策会社という意味合いが強く、それでも戦前までは当然のこと民生用の光学製品もありました。
 そのニコン、当時の日本光学ですが、終戦後は業態を縮小して完全な民生品の会社となり、存続することをGHQから許可され、大井町の工場でまず外貨獲得のために双眼鏡の生産から始め、のちに35mmカメラの生産に乗り出し、今のニコンに至るという歴史があるようです。
 これは以前、横須賀から入手した戦後すぐの生産の日本光学ノバー7x49mm7.1°の双眼鏡です。
 この50mmではなく49mm表記のノバーは非常に珍しく、というのも戦争末期にバルサム切れした対物レンズがカシメで固定されている対物レンズ枠から外せなく修理できないというクレームから対物レンズを後ろに抜くような改良を施した急拵えの対物枠がわずかに1mmほどレンズを覆ってしまったために49mmなんだそうで、終戦まで有効径49mmになっても50mm表記は変わらなかった(?)ものの、いざ終戦直後に戦時中の残存物をかき集めて輸出用のノバーを組み立てたときにこのままではまずいということで正直に49mmの表記となったらしいのです。その後すぐにエキセンリング付の対物枠に変わって正真正銘の50mmとなってまもなくノバーは光学系が改良され視野が7.1°から7.3°になり今に至るわけです。  Dvc00956 その視野角7.3°のノバーおよび防水型のトロピカルはトレードマークがNIKKO表記からNIKONに変わっていました。
 そんな経緯もあり、さらに戦時中の残存部品をかき集めて作ったノバーはほとんどが米軍のPXで売られた関係もあって国内に残っているシロモノは戦時中のノバーなどに比べても非常に少ないのではないかと思います。おそらくは横須賀から出てきたということからも元は米軍関係者が購入したものかもしれません。米軍のPX向けの商品としてGHQからmade in Occupied Japan表記を追加することが要求され、この双眼鏡もmade in Occupied Japan表記です。

 戦時中の残存部品をかき集めて組み立てたノバーですから各レンズ面はノーコートで対物レンズ鏡筒には遮光筒はない代わりに対物側プリズムに遮光カバーが付きます。鏡筒の貼革、天然樹脂のグッダペルカは皮シボ模様ではなく戦争末期の砂目のようなタイプで、グッタペルカの量を少なく済ますためにごく薄く仕上げてあり、そのために今でははがれて丸裸になった戦時双眼鏡も多いのですが、この固体はヒビと部分的な欠落はあったものほぼきれいな状態を保っていました。しかし、グッダペルカの真ん中付近に経年劣化による縮みで裂け目が出来ており、このままだとこの裂け目からグッダペルカが大きくはがれる危険があります。

Dvc00955 そのグッタペルカの補修をどうしようかと考えたのですが、靴底補修用に黒のチューブ入り樹脂を買ってきて、これを裂け目に沿って塗りこむことで、これ以上裂け目が広がらないように、ここからグッダペルカがはがれないように処置しましたが、この靴底補修財がもともとはゴム系素材との親和性が高くなるように作られており、天然樹脂のグッダペルカとも相性が悪いはずも無く、意外にきれいに補修できました。
 ただ、いつまでたってもべたつき感が残るのと艶が合わないのが難点ですが。それ以後は酢酸ビニール樹脂製の革シボもどきでも貼り革の部分補修にはこの靴底修理剤を使用しています。

 付属していたケースは戦争末期のボール紙芯にキャンバス地を組み合わせたものではなく、ちゃんとした牛革の飯盒型ケースが付属していました。

 戦前のノバーにありがちな対物レンズ貼り合わせのバルサムが一部はがれるバルサム切れを起こしていますが、いまのところさほど見え方には影響がないようです。昔はカナダバルサムを接着剤として使用し、貼り合わせたあとに芯出し加工をしていたそうなので、一度バルサム切れすると再度貼り合わせるときの芯出しが難しいらしいです。現在はバルサムを使用せずに紫外線硬化型の樹脂を使ってレンズ同士を貼り合わせるそうですが、まあ機会があればバルサム切れレンズの再貼り合わせにも一度挑戦してみましょう。

 このノバーはエキセンリングで光軸修正出来るタイプではないようで、さりとてプリズムの可動調整域があるわけではなく、今のところ左右の像を真ん中に追い込めていないのですがこの点は東京光学機械の7x50mmのほうが光軸修正は簡単です。実際に見た像はさすがにまったくのノーコートの双眼鏡ですから視野が暗くコントラストも低いのですが、意外にシャープな結像だと思いました。
 東京光学機械の7x50と比べるとTOKOのほうは対物筒がツアイスを模して二重なこともあり重いのですが、光軸の修正が容易。日本光学のノバーはTOKOよりも軍用としては頑丈さが落ちるものの、軽くて持ち歩くには負担が軽いという違いがあります。やはり陸軍と海軍の仕向け先のニーズの違いが大きかったのでしょうか?

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