日吉光学 OCEAN 8x30 Zタイプ双眼鏡
OCEANというブランド名しかなく、JBコード表示義務以前の古い双眼鏡のため、メーカー特定が難しかった双眼鏡ですが、H.O.C.の表示のあるOCEANブランドの双眼鏡が存在するため、昭和25年12月創業の日吉光学のかなり古い時代の双眼鏡だと判明しました。
日吉光学は現在でも鎌倉光学同様に自社ではもう双眼鏡製造ラインを持っていない大手光学メーカー(ビクセン・ニコン等)のOEM提供元として盛業中です
また自社の商標OCEANはいまだに健在でトレードマークは当時と変わったものの日吉光学のホームページに堂々と掲げられています。
その日吉光学ですが、創業当時神奈川の日吉に工場を構えたことが社名の由来となっているものの、日吉光学に社名が定まったのは昭和32年に本社を板橋の前野町に移転してからのことで、それ以前は別な社名を名乗っていたことが日吉光学のホームページ上の沿革で明らかになっています
そのことから推察するとOCEAN H.O.C.のトレードマークは昭和32年以降の製品に、H.O.C.の入らないOCEANのみのトレードマークは本社移転以前の日吉に事業所のあった昭和32年より前の製品ではないかと思われます。
また、今回のH.O.C.の入らない双眼鏡は厳密に言うと後に日吉光学に社名が変わったメーカーの双眼鏡ということになります 推定昭和30年代初頭の製品のようで、まだコストダウンによるしわ寄せが来ていない製品ゆえにプリズム全面コーティングはもちろんのこと飯盒型牛革ケースに牛革ストラップなど付属品にもコストが掛かっている双眼鏡です ここは組立だけではなく鏡筒などの金属部品の製造を含む双眼鏡の一括生産が可能だったようで、これがいまだに双眼鏡製造が続いている理由のようですが、この双眼鏡も非常に丁寧に作られている印象を持ちました。そのような品質維持が可能でなければ世界的な双眼鏡OEMメーカーにはなれなかったでしょう。
プリズムのエッジ付近に黴があったため、全プリズムの分解洗浄しましたが、コーティングがあるために黴取り跡が残ってしまいました・プリズムには迷光防止策は取られていないものの対物レンズ枠には金属製黒染めの遮光筒がねじ込まれており、鏡筒に丁寧に施された黒塗りによって逆光下以外ではなかなか鋭い見え方がすると感じられました。しかし古い時代の双眼鏡ゆえに一度外したプリズムの位置決めが難しかったのは同時代の双眼鏡同様です。重量はストラップ抜きでぴったり500gでした。
日吉光学が今でも双眼鏡を作り続けているわけですから、おそらくこれを整備調整してくれと送りつけたら応じてくれるのでしょうか?(笑)それとも「うちの製品ではありません」と送り返されるのかな?
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