ZUIHO 8-20x50mm ズーム双眼鏡(光機舎)
たぶん国内に出回っていなかったであろう双眼鏡だったので1円で落とした双眼鏡です。1円でも送料がバカにならないので他の出品商品のジャンク双眼鏡とまとめて送ってもらいました。
一応は瑞宝光学の双眼鏡ですがこの形からわかるとおり瑞宝光学で生産したものではなく一時期この手のズーム双眼鏡をOEMでかなりの量を製造した光機舎の双眼鏡です。
アメリカのコレクターの話ではZUIHOの商標はすでに昭和40年代他社に売却され、それ以降の製品はすでに瑞宝光学の製造ではなくOEMということですが、何かそれを裏付けるようなOEM商品です。
光機舎は昭和27年5月に大田区田園調布で設立された会社。ボシュロム型双眼鏡専業という珍しい双眼鏡組み立て会社ですが、どうやら朝鮮戦争で大量に使用された軍用のBL型双眼鏡の修理メンテナンスの下請けから製造業者に進出したらしいです。そのため、旧来日本では製造経験がなかったBL型が得意で、のちに連動型ズーム双眼鏡に発展させ、これがありとあらゆる会社のネームで欧米に大量に輸出されています。
大きいところではペンタックスやチノンなどのカメラメーカーのOEMもありました。初期のズーム双眼鏡としてはザイカやハミカとともにベストセラーだったのですが、その左右の連動方式がギア連動式で大塚光学あたりのズーム双眼鏡が台頭してから淘汰されたようです。
この瑞宝光学ネームの光機舎製造の双眼鏡は変倍レバーが固着し、分解してみると左右の連動のための金属のベルトが外れているか切れているかの状態でした。そのために最低倍率の8倍にズームのカムを固定。現在8x50双眼鏡になっています。
世の中いい加減な倍率のズーム双眼鏡が溢れかえっているなかで、さすがに輸出品らしく9-20倍というのは実倍率のようです。ペンタックスのアメリカ向け双眼鏡がそうであったようにやたらと濃いアンバーというか殆ど黄色のコーティングが施されていますが、これはヘイズカットの意味合いがあるそうで、なるほど覗いてみると茶色っぽい曇り空が青っぽく見えます。でもどれくらい霧の中で効果があるものか。
BL型ゆえにやたらと筐体が大きくて重い双眼鏡でボディに三脚雲台に固定できる穴が開いているのが特徴です。
覗いた感じは光学系に余裕のある作りゆえなのかズーム双眼鏡特有のなにか省略したような見え方ではなく、意外にかっちりと見えるズーム双眼鏡でした。もっともこれは最低倍率の8倍でのことですが。
それにしてもまったく軽量化に配慮されていない巨大なボディは日常首からぶら下げる重さではなく、重さと大きさはニコンのトロピカル級というところでしょうか。
輸出双眼鏡だけに光機舎J-B21の刻印がしっかり刻まれています。
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