Kenko 8x30mm 10°Z型広角双眼鏡(大塚光学)
ケンコーの8x30mm 10°のZタイプ広角双眼鏡です。これ、ケースや説明書、シリコンクロスや説明書・保証書まで揃っているものを某フリマサイトで送料込み1500円で購入したものの、覗いた像が2つに分かれて見えるのとレンズの内側がやや曇っているとのことでしたが、それくらいならオーバーホールと調整で元の状態に戻りそうです。
そもそもケンコーは光学総合商社のためにさまざまなOEM先からケンコーブランドの光学製品を仕入れており、年代によって仕入先もいろいろと変遷しているために、実際に何を掴んでしまうのかという楽しみがあります。しかし、ケンコーも昭和60年代にはフィリピンの現地工場からの仕入れがメインで、こういう何を掴むかというわくわく感はうせてしまいました。
そして届いたケンコーブランドの8x30mm 10°の双眼鏡は製造メーカーコードが残っておりそれによるとJ-B46の大塚光学製でした。大塚光学というと自社ブランドDiaStoneで海外でも有名ですが、どうもBLタイプの双眼鏡のイメージが強くてこういうZタイプの双眼鏡は影が薄い感じがします。
それでも広角10°という双眼鏡は限られたメーカーでしか作れないため、見掛けは平凡ながら秘めた実力のある「羊の皮を被った狼」的な双眼鏡です。
まず分解を始めてわかったことは、すでに対物セルがプラスチック製でエキセンリングを仕込めないため、筐体に仕込まれたイモネジで視軸調整するタイプの割と新し目の双眼鏡だったことです。それでも保証書の用紙の印刷年が昭和49年1月なのでおそらくは50年代初期の双眼鏡ではないかと思います。オイルショックを経過して原材料高騰のためにコストダウンの工夫が入り込んだことが伺える構造の双眼鏡ですが、いまだ主要部品は金属製のため、妙に安っぽさはなく、重量も550gと普通の8x30mm双眼鏡と変わりません。
イモネジ部分の貼り革を穿り出してネジを緩めプリズムを外しますが、曇りはあるものの醜いカビ跡はありませんでした。イモネジで視軸を修正するタイプなのでプリズムは弾性のあるゴム系の接着剤で固定されていますが、プリズムを洗浄するためこれを半割り状態にしてしまうため、再度取り付けても元の弾性を失って、なかなかイモネジで視軸を追いきれないことがあります。その場合はイモネジを緩めてもう一度プリズムを取り出し、再度位置決めしてからやり直すとうまくいく場合がありますが、これは上下が追い込めなくて苦労した物件です。
実際に覗いてみると薄いアンバーコーティングのこともあり、やや視野は青に傾くカラーバランスですがおおむね良好。ただし8倍ということもあり視野角が10度でもさほど空が広いと感じる感動はありません。それでも並みの7.5°の双眼鏡よりは広々していますが、当然のこと視野周辺は直線がぐにゃりと曲がって見える渦巻き収差があるのは仕方がありません。
中心部ももう少し解像力があればいいのですが、それは35mmと30mmの微妙な違いも影響しているのでしょうか。
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