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August 16, 2018

Linet FIELDMASTER 7x35mm 10.5°Z型広角双眼鏡(鎌倉光機)

Dvc00078 Linetというのはアメリカの仕向け先ブランドの一つで特に広角双眼鏡のFIELDMASTERという名前で日本製の双眼鏡を昭和30年代初期からアメリカ国内で売り出していた商社です。
 そのため、同じLinetネームでもかなりいろいろな製造メーカーの双眼鏡が入っており、画像を見るだけでも光機舎あり、日吉光学あり、そして大塚光学もありという感じで、広角双眼鏡を作れるところからとにかくかき集めたという感があります。
 そして広角はZ型ですむもののやはり超広角ともなるとBL型ではなくてはダメで両方作ることの出来る会社ではないと取引が出来なかったのではないかと思われるような商社ブランドです。
 その中には日吉光学製BL型7x35mm 13.5°という市販手持ち双眼鏡史上一番とも思える超広角双眼鏡もあったそうですが、現物を見たことが無いのでちょっと興味があります。
 そういえばネット上の質問欄にLinetという双眼鏡についてという問い合わせがあり、それに「世界あまたの有名光学メーカーにLinetという会社はなく、ライカのマークに類似しているので登録商標は日本を含めた欧米では取得できないので中国製の安物だ」と自分の思い込みで断定している回答があり、噴出してしまいました。この方、日本の有名双眼鏡メーカーが数多の相手先ブランドのOEMで海外に渡り、貴重な外貨を稼いできたことはご存知ないようで、すべての双眼鏡はNikonみたいに独自の商標で輸出されていたと思われているようです。日吉光学にしても日本の双眼鏡業界ではビッグネームですが,誰がOceanのブランド名を知っているでしょうか?
Dvc00077 その広角専業アメリカブランドのLinet FIELDMASTER 7x35mm 10.5°というZタイプの双眼鏡ですが、なぜこれが日本に出回ったのかはわからないものの、たまにLinetの双眼鏡は国内からも見つかるようです。画角10.5度はプリズムの大きさに制約のあるZタイプでは限界値かもしれず、Linetでもこれ以上の超広角双眼鏡はBLタイプのようです。先日入手したKenkoブランドのBL型7x35mm 11°があまりにも重くてとても日常使いできないことから軽くて使い勝手が良さそうなことから落札したものですが、果たして実用的にはどうなのでしょう。Linetの双眼鏡は広角、超広角という特徴から板橋でも技術のある上級メーカーのOEMが多く、変なものはつかまないと思いますが、はたしてどうでしょう。
 届いたLinet FIELDMASTER 7X35mm 10.5°の双眼鏡は対物側プリズムの端に明らかなカビのスポットがある以外はおおむね殆ど使用もされていない双眼鏡でした。VIOLET COATEDという表記がありましたが、これ先日どこぞのメーカーの双眼鏡で見たばかりですね。その対物レンズのコーティングは濃いパープルとアンバーコーティングを組み合わせた複雑な色合いのコートで昭和40年代末のマルチコートの写真レンズを見ているよう。後玉が大きな接眼レンズもこのマルチコート風のものが使用されています。接眼レンズはエルフレに間違いないと思うのですがややアイレリーフが長いのでレンズ構成を若干アレンジしたものなのでしょうか。
 この手のZタイプの分解はなれたものなので、まず対物筒から分解し対物側のプリズムを外して無水アルコールで洗浄しましたが、筐体内部は丁寧な反射防止塗装が施され、プリズムのポケットは微動だにしないほど加工精度はいいようです。ただし調整のための錫箔が施されていました。対物レンズはエキセンリングで視軸調整するタイプなので対物筒からレンズを外してレンズ洗浄ついでにエキセンリング部分にグリスアップしておきます。
 つぎに接眼側のプリズムを洗浄するために対物側から昇降軸ストッパーのネジを外して焦点調節リングを回して接眼レンズアッセンブリーを抜居た状態から鏡板のスクリュウ左右で一本ずつ抜き、接眼ガイドスリーブをベルトレンチで緩めて外し、鏡板を外して左右ともにプリズムの洗浄を実施。こちらのプリズムポケットの加工精度良好でしたが、こちらも一箇所錫箔で修正が入ってました。プリズムポケットの加工精度が良いため、エキセンリングのみの小調整で簡単に遠くの送電線鉄塔の天辺を一致させることが出来ましたが、その見え方はKenkoの7x35mm 11°ほどの感動はなく、左右は広くなったのに上下が少々窮屈な感じがします。日吉光学製Simor 7x35mm 10°と比べても0.5°の差などというものは殆どありませんでした。
 肝心の見え方ですが、やはりエルフレを使った双眼鏡がどれも同じようにコントラストとシャープネスがいまひとつながら真ん中の解像力はなかなかのもので、並みの板橋双眼鏡をはるかにしのぎます。端に行くにしたがって像が甘く渦巻き収差がきつくなるのはエルフレの超広角双眼鏡に共通します。まあ像の均一性はありませんが、やはり圧倒的な視野の広さは魅力的です。コーティングのせいでUVとブルーライトがカットされるようで、視野がやや茶色っぽく見えます。
 それで肝心のこの双眼鏡の製造元ですが、鎌倉光機製に間違いありません。なぜならばOEM先に関係ないCAT'S EYEのマークが小さく入っています。鎌倉光機は自社の名前は絶対に入れない代わり、先日のBL型ズーム双眼鏡のようにプリズムプレートのネジを外して取り出したら中にJ-B133の刻印があったり、トリポッドカバーにJ-B133の刻印があったり、必ずどこかに鎌倉光機が作ったことの証明みたいな証拠が隠されているような気がします。筐体内部の加工精度などをみても超広角双眼鏡を作れる技術力を見ても並の板橋双眼鏡組み立て業者に出来るような仕事ではなく、やはり選ばれた双眼鏡製造メーカーの仕事です。製造はシリアルナンバーの捨て番からすると昭和48年製でしょうか?
 しかし、これを中国製の双眼鏡と断定してしまった人は鎌倉光機の製品だなんて想像も出来なかったのしょうが、もしかしてニコン、ビクセン、ケンコーあたりは知っていてもそれをOEMで支える影武者的な鎌倉光機のような会社があること自体知らなかったのでしょうね。

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