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October 22, 2018

HEMMI No.P35 新幹線開業記念見本品

 新幹線開業記念品として現場の国鉄職員や建設などに関わった建設会社の職員などの関係者に対して配られたのが開業日やJNRマークが入ったNo.2634の5"ポケット計算尺ですが、出て来る数からしてもおそらく相当な数が配られたのではないかと思われます。たぶん数百という単位ではなく2-3000本くらいは作られないとオークション上に何本も出てこないと思われます。
 そして今回出て来ましたのが何と新幹線開業記念品としてヘンミ計算尺が国鉄本社に提案したのにも関わらず、見事に不採用になったP35です。まあこんな物が出てこなければP35も開業記念品としてヘンミから提案されていたなどということも知りませんでしたし、おそらくは見本品として数本もしくは多くても1ダースくらいしか作らなかったのではないでしょうか。もちろん物品税の課税対象外とするためかSAMPLEの赤文字がしっかり刻まれています。
 P35というとそのほとんどは企業のノベルティーとして裏側に社名やマークなどをスタンプするのに適しているためか、昭和40年代前半から半ばくらいにかけて企業向けの物がオークションでも結構な種類、出回っています。コレクション対象にはその種類を集めるのはいいのですが、使うほうにしてみれば三角関数がばっさりと省略されているため、技術計算用としてポケットに忍ばせるというわけにもいかず、それが新幹線開業記念品として不採用になった理由だとも考えています。No.2634のほうがP35なんかよりもけっこう割高だったはずですが、そこは当時新幹線計画をリーダーシップで推し進め、新幹線や国鉄の質の改善の最大の功労者だったのにも係らず、三河島事故で引責して辞任し、新幹線開業式に招待もされなかった十河信二国鉄総裁の職員に対する親心だったかもしれません。三井物産出身の新総裁石田礼助は当時新幹線に関しては懐疑的だったと言われていますが、彼なら紅白饅頭でも配ればそれで良いなどと言い出したかもしれません。
 そして開業記念品として配られたNo.2634は赤いJNRマークに東海道新幹線開業記念1964.10.1の文字が入り、皮ケースにもJNRマークが打たれた品物です。
Hemmip35
Hemmip35_2


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October 21, 2018

ACU MATH No.1240 5"ポケット計算尺

 アメリカの計算尺メーカーACU MATHのNo.1240、5インチのプラスチック製片面計算尺です。
ACU MATHは社名がACU MATHに変わる以前からチープな木製計算尺を製造する会社でしたが、経営母体が何度か変わり、このNo.1240を製造した1965年ころにはスターリングプラスチックという会社の実質的な傘下にあったと思いました。その後スターリングプラスチックの完全子会社になり、ACU MATHの名前も消滅してStarlingの商標に変わってしまうのですが、1969年に再度ボーデンに身売りされた後1972年迄計算尺の製造が続いたという話です。
 メーカーとしてのACU MATHは全期間を通じて初心者用、学生用の計算尺生産に徹していたところがあり、特殊計算尺の製造なども見あたりませんが、1940年代後半から1950年代後半までに製造していたマグネシウム芯にプラスチックを貼付けた構造の両面計算尺が唯一特色のある見るべき計算尺です。
ACU MATHの商標はスターリングプラスチックの傘下に入ったのちに消滅し、以後はスターリングの商標でチープな学生用計算尺の生産が続きます。
 このACU MATH No.1240は片面7尺を持つ計算尺で、上からK,A,[B,CI,C,}D,Lの内容で裏面はなし。三角関数絡みの計算はすっぱりと切り捨ててしまった内容はいくら初心者用としても日本では受け入れられなかった内容かもしれません。このような薄くてチープなプラ製計算尺ですが、さすがにアメリカ製だと思うのは薄いながらも本物の牛革シースタイプのケースが付いていることでしょうか。日本だったら絶対にビニールのサックケースになってしまいます。似たようなプラ製の計算尺にHEMMIのP35がありますが、P35よりこちらのほうが薄くてへなへなした感じで有り難みもあまり感じません。こちらもHEMMIのP35同様に企業のノベルティー需要を狙って作られたものだたのでしょうか?
Acumath1240
Acumath1240_2


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October 20, 2018

CPU-26A/P 米軍航法計算盤(フライトコンピュータ)

Cpu26p 主に固定翼機で比較的に小型の単座複座の米軍機で使用されたCPU-28A/Pという形式の付いた航法計算盤です。形体と内容は第二次大戦中に開発されたE6Bという航法計算盤の改良版ですが、狭い機体の中でも使用できるように小型化されているのが特徴です。ちなみにE6B系統の円盤部分の直径が5インチなのに対してCPU-26A/Pの円盤部分の直径は3,1/4インチほどしかありません。計算尺にしていうと10インチ尺に対する5インチポケット尺という位置づけでしょうか。s
 おそらくはクラムシェル式に蓋が開いて物が収納できるニークリップボードに合わせたサイズなのだと想像しています。また黒いプラスチックのアイレットが設けられていますが、機体の機動でGが掛かってどこかに飛んでいかないように、また胸のポケットからすぐ取り出せるように首からランヤードでも掛けていたのでしょうか?軍用ゆえに簡単なブラスチック製というわけではなく総金属製の航法計算盤です。 
Cpu26p_2
 使われた期間も長く、数も多かったためか製造メーカーは何社かあるようで、この個体はFELSENTHAL INSTRUMENTS Co.という会社が米軍に納めたものであり、MIL.SPEC.No.MIL-C-27216AとCONTRACT No.AF36(600)-16489 FEDERAL STD.No.FSN6605-064-6911、ならびにちゃんと官有物を表すU.S.PROPERTYの刻印が打たれています。メーカーによってビニール製のシースの形状色合いが微妙に異なっているようです。
 E6Bで出来る事はすべて網羅していると思われます。AIRスピードの表示によって固定翼機用と回転翼機用があるらしいのですが、詳しくはないので同種の回転翼機用の形式名はわかりません。
 これは以前大阪の軍装品屋から入手したもので、おそらくは中古のフライトジャケットのポケットあたりから出てきた余禄だと思われます。昔、学生時代のアルバイトで払い下げ品の仕分けしていた経験があるので、こういう衣料品関係からガムやキャンデーはもちろんのことポケットナイフやライターなどの小物が出てくることは何度かありました。PORNO雑誌の頁を切ったものなんていうのもありましたね(笑)

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October 19, 2018

HALDEN'S CALCULEX 懐中時計型計算尺

Halden HALDEN'S CALCULEXという英国製の懐中時計型円形計算尺です。こちらは正真正銘日本に昔からあった品物で、東京の某所旧家の片付けの際に出て来た品物だということですが、売り主に何か計算用具らしきものという認識しかなかったので、苦もなく1.5k円で入手したものです。
 5年程前ですがオークションで旧ソ連時代のKL-1という懐中時計型の円形計算尺が多数出回ったことがありましたが世界的にはこの懐中時計型計算尺は1900年代初めから1915年あたりまでに流行し、多くの国で作られたものの、1920年代後半には廃れてしまった計算尺の1ジャンルです。
 さすがにこの時代、まだ精密にこれだけのメモリを実用に堪えるだけ正確に刻むのは無理だったとみえて、日本ではこの懐中時計型計算尺を作ろうとしたり、実際に売り出されたという話は聞いた事がありません。この懐中時計型計算尺は銀座の玉屋商店や中村浅吉商店などの測量用品などの輸入を手がける会社が少数輸入しただけです。明治43年の玉屋商店商品取扱目録中にAW.FABERの計算尺などとともにHALDEN CALCLEXが出ていますので、興味のある方は国会図書館を検索してみましょう。
 それほど暇ではない方に玉屋の目録を当用漢字に直してみると「専売特許円形計算尺 Patent Circular Slide Rule :本器は金属板の両面に対数の尺度を目盛し、縁は輪状の金属製にして指線を有する硝子を以て金属板の側面を覆い而して尺度金属板は蛇目型の板と其板の内縁に接する円形板とより成り蛇目型金属板円形金属板とは普通の計算尺の本尺と滑尺との如き関係を有し此所に掲げたる円は即ち本器の表面並びに側面を原寸にて顕わしたるものなり。
Halden_5
表面には5種の尺度を有し、外辺に接して第一は対数の尺度にして第二及び第三は普通計算尺のA及びB尺に該当するするものなり。内辺の第四及び第五はB尺の平方根なり。
裏面には六種の尺度を有し、外辺に臨みて第六は角度にして第七及び第八は計算尺の尺度即ちA尺B尺なり。内辺に位して彫まれたる第九第十及び第十一はB尺に対しての立方根なり。
 前述の如く本器は他の計算尺には見る事を得ざる立方根の目盛を有するを以て普通の計算尺に於いて不便を感ずる立方根の計算に際して本器を用ゆる時は直ちに算出する事を得るべし。
X計算尺は最も有要なるものにして且つ叉だ信頼す可き器具なりとは世人の等しく認識する所なれども未だ一二の不便なる点を有するに至っては実に遺憾とする所なり。即ち吾人の懐中用として携帯に不便なると且つ叉た其使用に対し如意活用せしむる事を知るの難事とるとの二点なり。
 然るに本器は図に示すが如き小型なるを以て前者の不便を補い且つ叉た此後者とる難事を除去せんが為に特に此円形計算尺の袋中に納め得る形状寸度に調製せられたる土木、建築、機械、電気、工学上必要となる諸公式より銀行、会社、消火に於いて日常使用する諸計算の表に至る迄で網羅する約二寸角にして厚一分位の小冊子を添え共にチョッキのポケットに入れて携帯し、必要に応じて取り出し何時にでも本器と個小冊子とを合わせて活用する事を得るの便利なるは実に他の計算尺に於いて見るを得ざる独特の長所にして、一度本器を此小冊子と共に併用し其携帯に便なると此小冊子の有益なる事との妙味を感じ給わば恐らく一日も携帯せざるを得ざるに至るべし。故に試しに一器購い使用せられん事を切に希望する所なり。小型円形計算尺 P`atent Circular Slide Rule ,wity little use full table and fomular book in morocco case  8.000円(明治43年)」
Halden_4
 まあ明治の文語調の言い回しは回りくどくてわかりにくいのですが計算尺マニアなら言っている事はすべて理解出来るでしょう。しかし、他の掲載商品に比べてこの懐中時計型計算尺の説明はまるまる一頁を使用していて、玉屋商店のなみなみならぬ販売意欲を感じてしまいます。発注単位としてワンロット数百個も押し付けられたのでしょうか?(笑)
 懐中時計型の円形計算尺ですがこの文章の通り持ち運びに便利でかさばらないため、いつでも携帯出来るというのが最大の利点なのですが、小型ゆえに基線長が稼げず精度が見込めないことと、それこそハズキルーペでもないと誤認しそうな細かい目盛間隔、スピード計算・連続計算にに向かないなどのこともあり、学術計算分野では棒状の10インチ計算尺に押されて廃れてしまったのでしょう。
 その懐中時計型計算尺を80年代前半くらいまで作っていた旧ソ連もすごい国ですが、そのソ連のKL-1はいったいどんな職業の人が使用していたのでしょう?
 メーカーはJ.Halden & Co. 1900年に製造が始まり製造中止は1925年だということを聞いています。


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October 04, 2018

Kenko 7x35mm 11°BL型超広角双眼鏡(大塚光学)

Dvc00214 Kenko 7x35mm 11°の超広角BLタイプ双眼鏡です。こちらは以前の光機舎製のKenko 7x35mm 11°超広角よりも年代的には新しく、製造はDia-Stoneブランドの大塚光学のOEM商品です。
 光機舎のものとスペックは同じもののデザインを含めてこちらはかなり近代的な双眼鏡で、それというのも筐体がこちらは金型による射出成型品になったようで、上下二分割の金型から成型品が抜けやすいように考えられた構成の設計になっており、おそらくは対物側と接眼側の二分割の金型が使用されているようで、筐体は内部が釣鐘状でがらんどうな印象を受けます。
 上下二分割の金型のためかストラップ吊りが本体に鋳込むことが出来ず、後付になっているのが特徴です。また型抜けを容易にするためか、はたまたデザイン上の特徴とするためか、筐体の接眼側の左右がななめ45°にすっぱり切り落とされており、その部分を覆うかたちで接眼側鏡板が回り込んでいます。そのため妙に左右が長くて大きいという印象がなく、ごろりとした感じはあるものの割とコンパクトにまとまっている双眼鏡です。
 また、これもデザイン上の特徴か焦点調節の輪が転輪が軸全体を覆っていて、両手で持った際に握りなおさずに右手の中指で焦点調節できるというメリットがあります。コーティングは薄いアンバー色の全面コートです。
Dvc00213 分解する前にいつもの通り遠くの送電線鉄塔の天辺を覗いてみるときれいに左右と上下がずれていましたのでオーバーホールついでに調整することにします。対物側から内部を光に透かしてみたところでは経年でプリズムの表面にやや曇りはありますが、カビのスポットなどはなさそうです。
 対物側のレンズの裏側は曇りも無くクリアだったので、今回は対物側を分解せず接眼側から分解。対物側から昇降軸ストッパーネジを抜き、転輪を回して接眼レンズアッセンブリーを抜き、接眼ガイドスリーブをベルトレンチで緩めて抜き、側面ネジ各1本を抜いて左右の鏡板を取り外すとプリズムアッセンブリーが現れます。このプリズムアッセンブリーの3本のスクリューを抜くとアッセンブリーごとプリズムを外すことが出来、プリズムを外して無水アルコールで洗浄。左右のアッセンブリーのプリズム洗浄後に筐体にアッセンブリーを戻した後、鏡板をつけずにガイドスリーブだけねじ込み、接眼レンズアッセンブリーを戻して視軸の確認をすると上下左右にずれており、対物レンズセルに仕込まれたエキセンリングでも修正しきれないため、プリズムアッセンブリーの3本のネジを僅かに緩め、その隣にあるマイナスのイモネジを調整し、遠くの送電線が一致するように調整していきますが、その際エキセンリングはニュートラルに戻しておくことを忘れないようにしないと最終的にエキセンリングの調整しろが無くなり、微調整できなくなります。
Dvc00212 また、視軸の調整は人間の視差ずれを脳内で一致させる能力により左右のずれがなかなか合っているのかどうかわからないことはありますが、その際は転輪を回してアウトフォーカスにした際に左右がずれているかどうかではっきりわかると思います。また、片側の視度をずらしてみても左右が一致してるかずれているのがわかるはずです。
 最終的にエキセンリングで微調整しなくともプリズムアッセンブリーの3本のイモネジの微調整で視軸は一致しました。この際にわかったことですが、この双眼鏡は三脚に固定する手段がまったくありません。ヒンジ部分のカバーをはずしても三脚ネジなどは存在しませんし、そもそもヒンジ軸全体を覆う転輪のためにこの部分にも三脚アダプターを噛ませる余地がないのです。そのため、BL型は三脚固定でプリズムアッセンブリーのイモネジを微調整して視軸調整するのですが、この双眼鏡は手持ちで調整するしかありませんでした。
 さて、同じくKenkoブランドの光機舎性7x35mm 11°との比較ですが、覗いてみると光機舎の双眼鏡のほうが視野が圧倒的に明るいのがわかります。どうも大塚光学のこの双眼鏡は時期が新しいということもあり、筐体内部の反射防止が手抜きされ、また対物側のプリズムカバーも省略されてしまい、内部反射が光機舎のものよりも多いのが原因でしょうか。しかし、視野周囲の像のゆがみは光機舎のものが超広角ゆえにかなり大きいのに比べ、こちらの大塚光学のほうはけっこう小さく許容できる範囲だという違いがあり、見ていて疲れないのは大塚光学のほうでしょう。中心部解像力に関しては光機舎のほうが良く、大塚光学のほうはやや見劣りするのですが、これは全像面の均一性を取るか、周辺部を捨てて中心解像力を取るかのコンセプトの違いでしょうか。
 重量は光機舎960gに対して大塚光学は920gです。筐体切り欠きの分だけ軽いのかもしれませんが実際の重量以上に軽く感じられます。
 また接眼レンズ外玉径は光機舎のほうが圧倒的に大きく、光機舎28mmに対して大塚光学22mmとなっており、後ろからの映り込みや逆光で接眼側から漏光し、コントラスト低下の原因にはなりにくいようです。J-B46のコードが筐体接眼側ブリッジに刻印されていました。
 さて、この大塚光学製7x35mm 11°双眼鏡の年代ですが、構造からすると金型の放電加工機の普及によって精密なダイキャストの成型品が手軽になった70年代末から80年代にかけての製品でしょうか。光機舎が輸出双眼鏡製造から退いた後に大塚光学に生産シフトされたカテゴリーの商品でしょうが、そこは大塚光学らしくただのBL型ではなくオリジナルデザインになったことは意義があったと思いますが、なんか筐体が平板で持った手によくフィットするかというと、どうもそうではないようです。ちょっと後のカメラの人間工学的な握りやすさとは同じ光学製品でも逆行してますね。
 接眼レンズのトリイの真ん中の陣笠部分にφ28mmのプラスチックのメダリオンが嵌っていたはずなのですが、これは欠落していてこれが実にマヌケに見えてしまい、なにか革シボ表面の黒い樹脂でも削ってはめ込んでおきたいところです(笑)

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