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October 04, 2018

Kenko 7x35mm 11°BL型超広角双眼鏡(大塚光学)

Dvc00214 Kenko 7x35mm 11°の超広角BLタイプ双眼鏡です。こちらは以前の光機舎製のKenko 7x35mm 11°超広角よりも年代的には新しく、製造はDia-Stoneブランドの大塚光学のOEM商品です。
 光機舎のものとスペックは同じもののデザインを含めてこちらはかなり近代的な双眼鏡で、それというのも筐体がこちらは金型による射出成型品になったようで、上下二分割の金型から成型品が抜けやすいように考えられた構成の設計になっており、おそらくは対物側と接眼側の二分割の金型が使用されているようで、筐体は内部が釣鐘状でがらんどうな印象を受けます。
 上下二分割の金型のためかストラップ吊りが本体に鋳込むことが出来ず、後付になっているのが特徴です。また型抜けを容易にするためか、はたまたデザイン上の特徴とするためか、筐体の接眼側の左右がななめ45°にすっぱり切り落とされており、その部分を覆うかたちで接眼側鏡板が回り込んでいます。そのため妙に左右が長くて大きいという印象がなく、ごろりとした感じはあるものの割とコンパクトにまとまっている双眼鏡です。
 また、これもデザイン上の特徴か焦点調節の輪が転輪が軸全体を覆っていて、両手で持った際に握りなおさずに右手の中指で焦点調節できるというメリットがあります。コーティングは薄いアンバー色の全面コートです。
Dvc00213 分解する前にいつもの通り遠くの送電線鉄塔の天辺を覗いてみるときれいに左右と上下がずれていましたのでオーバーホールついでに調整することにします。対物側から内部を光に透かしてみたところでは経年でプリズムの表面にやや曇りはありますが、カビのスポットなどはなさそうです。
 対物側のレンズの裏側は曇りも無くクリアだったので、今回は対物側を分解せず接眼側から分解。対物側から昇降軸ストッパーネジを抜き、転輪を回して接眼レンズアッセンブリーを抜き、接眼ガイドスリーブをベルトレンチで緩めて抜き、側面ネジ各1本を抜いて左右の鏡板を取り外すとプリズムアッセンブリーが現れます。このプリズムアッセンブリーの3本のスクリューを抜くとアッセンブリーごとプリズムを外すことが出来、プリズムを外して無水アルコールで洗浄。左右のアッセンブリーのプリズム洗浄後に筐体にアッセンブリーを戻した後、鏡板をつけずにガイドスリーブだけねじ込み、接眼レンズアッセンブリーを戻して視軸の確認をすると上下左右にずれており、対物レンズセルに仕込まれたエキセンリングでも修正しきれないため、プリズムアッセンブリーの3本のネジを僅かに緩め、その隣にあるマイナスのイモネジを調整し、遠くの送電線が一致するように調整していきますが、その際エキセンリングはニュートラルに戻しておくことを忘れないようにしないと最終的にエキセンリングの調整しろが無くなり、微調整できなくなります。
Dvc00212 また、視軸の調整は人間の視差ずれを脳内で一致させる能力により左右のずれがなかなか合っているのかどうかわからないことはありますが、その際は転輪を回してアウトフォーカスにした際に左右がずれているかどうかではっきりわかると思います。また、片側の視度をずらしてみても左右が一致してるかずれているのがわかるはずです。
 最終的にエキセンリングで微調整しなくともプリズムアッセンブリーの3本のイモネジの微調整で視軸は一致しました。この際にわかったことですが、この双眼鏡は三脚に固定する手段がまったくありません。ヒンジ部分のカバーをはずしても三脚ネジなどは存在しませんし、そもそもヒンジ軸全体を覆う転輪のためにこの部分にも三脚アダプターを噛ませる余地がないのです。そのため、BL型は三脚固定でプリズムアッセンブリーのイモネジを微調整して視軸調整するのですが、この双眼鏡は手持ちで調整するしかありませんでした。
 さて、同じくKenkoブランドの光機舎性7x35mm 11°との比較ですが、覗いてみると光機舎の双眼鏡のほうが視野が圧倒的に明るいのがわかります。どうも大塚光学のこの双眼鏡は時期が新しいということもあり、筐体内部の反射防止が手抜きされ、また対物側のプリズムカバーも省略されてしまい、内部反射が光機舎のものよりも多いのが原因でしょうか。しかし、視野周囲の像のゆがみは光機舎のものが超広角ゆえにかなり大きいのに比べ、こちらの大塚光学のほうはけっこう小さく許容できる範囲だという違いがあり、見ていて疲れないのは大塚光学のほうでしょう。中心部解像力に関しては光機舎のほうが良く、大塚光学のほうはやや見劣りするのですが、これは全像面の均一性を取るか、周辺部を捨てて中心解像力を取るかのコンセプトの違いでしょうか。
 重量は光機舎960gに対して大塚光学は920gです。筐体切り欠きの分だけ軽いのかもしれませんが実際の重量以上に軽く感じられます。
 また接眼レンズ外玉径は光機舎のほうが圧倒的に大きく、光機舎28mmに対して大塚光学22mmとなっており、後ろからの映り込みや逆光で接眼側から漏光し、コントラスト低下の原因にはなりにくいようです。J-B46のコードが筐体接眼側ブリッジに刻印されていました。
 さて、この大塚光学製7x35mm 11°双眼鏡の年代ですが、構造からすると金型の放電加工機の普及によって精密なダイキャストの成型品が手軽になった70年代末から80年代にかけての製品でしょうか。光機舎が輸出双眼鏡製造から退いた後に大塚光学に生産シフトされたカテゴリーの商品でしょうが、そこは大塚光学らしくただのBL型ではなくオリジナルデザインになったことは意義があったと思いますが、なんか筐体が平板で持った手によくフィットするかというと、どうもそうではないようです。ちょっと後のカメラの人間工学的な握りやすさとは同じ光学製品でも逆行してますね。
 接眼レンズのトリイの真ん中の陣笠部分にφ28mmのプラスチックのメダリオンが嵌っていたはずなのですが、これは欠落していてこれが実にマヌケに見えてしまい、なにか革シボ表面の黒い樹脂でも削ってはめ込んでおきたいところです(笑)

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