NIKKO No.5 8"学習用計算尺
NIKKO No.5という8インチの学習用計算尺です。
おそらくは戦後の混乱期を経た昭和20年代中頃くらいの製品ではないかと思いますが、粗製濫造期の計算尺にふさわしく固定尺が木材、滑尺が竹でそこにビニールでラミネートさせた目盛を印刷した紙を貼付けるという計算尺で、カーソルもセルロイドを曲げただけの簡単なものが付属しています。木製の固定尺は何となくワンピースのような感じで、そこに滑尺のはまり込む溝を加工してあるのですが、おそらくはこういう構造の方が固定尺を別に作って接着するよりもコストが安いのでしょう。たぶん売価150円というのが決まっていて、各社それに見合った計算尺を作り合ったということなのでしょうが、HEMMIは150円でNo.22を作り、ニッコーは木と竹を使って印刷した紙を貼ったNo.5を作ったということになります。滑尺はセルロイドを使っていないためセルロイドが縮んで激しく反るということはないものの張り合わせ構造ではないため、やや緩く反ってはいます。また、固定尺と滑尺のギャップ調製が出来ないため、素材の収縮で隙間が広がってしまったのは致し方が無いことでしょう。
滑尺が上下固定尺よりも長いというのは固定尺と同長に削り込む際に滑尺の目盛と固定尺の目盛をピタリと合わせる手間を省いたためで、このような粗製濫造計算尺にはありがちな形体です。
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