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November 21, 2018

FOCAL 7x35mm11°BL型超広角双眼鏡(鎌倉光機)

Dvc00315  FOCALという商標の双眼鏡は日本でも普通に見かけるものですが、これはアメリカの大手ディスカウントチェーンのKMartの前身、SS KRESGE COMPANYの光学製品の商標です。KMartは日本でいうとダイエーのようなディスカウント百貨店チェーンでしたが、アマゾンなどのインターネット販売の急激な台頭で一気に業績が悪化し、店舗/人員数の整理を行うも2002年に連邦破産法の適応を受けて会社更生法の適応を受けて新たなKMartを設立したという話です。この新生KMartはアメリカ西部開拓時代からのカタログ通販業者SEARSを合併するも、こちらも2018年10月ですからついこないだ破産して会社更生法を申請したようです。現在裁判所の管理下で再建を目出しているようですが、役員の流出を防止するために特別ボーナスを出す許可を裁判所に申請しているそうです。ところが多くのKMart店舗閉鎖に伴う従業員解雇に際し、解雇予告手当を8週分払う約束が4週分で打ち切られたようで、アメリカ国内でもこの破産管理下での役員賞与支給に批判が出ているのだとか。アマゾンの台頭でシアーズの名前まで消滅しそうになったこの破産事件というのはかなりのニュースのはずですが、日本ではまったく報道を見ませんでした。このシアーズも自社のカタログ通信販売で昭和20年代から日本製輸入光学製品を発売してきており、カメラはTOWERブランドでしたが双眼鏡はそのままSEARSだったようです。
 輸出にあたってはどこかの光学輸出品商社が介在していてその都度いろいろなメーカーに作らせていたはずでFOCALの双眼鏡は単一メーカーの製品ではないようです。このBLタイプ7x35mm11°の超広角双眼鏡ですが、その形状から鎌倉光機もしくは日吉光学のOEMとにらんで入手した双眼鏡です。しかし、なぜこの手の相手先OEMブランドの双眼鏡が日本で平気で出回っていたのでしょうか。おそらくは商社側で追加注文を見込んでいくらか余剰に生産させていたものが結局は行き場を失い、換金目的で国内に出回ったのでしょうか。今の世の中、いくら相手の注文の品物とはいえ、相手の商標の商品をそのまま市場に流したら商標法違反で捕まりますからわざわざノーブランドにしてディスカウント系に流すのでしょうが、おおらかというかいい加減というかそういう時代もあったようです。
Dvc00314 アメリカに渡ったFOCAL双眼鏡の画像をいろいろ見てみると、やはり光機舎あり、鎌倉光機あり、大塚光学あり、末期にはクイックフォーカス付きの双眼鏡などもありました。さすがに大手ディスカウントチェーンだけに価格にはかなり厳しかったのかもしれません。
 それで会社がSS KRESGEからKMartに商標変更したのは1977年だそうで、FOCALの双眼鏡もその後はFOCALの名称にKMartのマークが追加になったようなので、製造年代の判定には役立つかもしれません。
 札幌から2台まとめて入手したうちの1台のFOCAL 7x35mmは11°という超広角双眼鏡双眼鏡ですが、普通ならそこそこ高い落札額が付く物の今回は競争相手も無く2台まとめて1k円でした。届いた双眼鏡は7X35mmの11°BLタイプとしてはかなりコンパクトに感じられ、重量もかなり軽い印象だったためキッチンスケールで量ってみるとストラップ抜きで770gという破格の軽さでした。そこそこ使い込まれ、長期に渡ってしまい込まれていたためか対物レンズの内側もグリース類の蒸発した油分で曇っており、視軸も左右に大きくずれているという状態でしたが、なんといってもJ-B133の刻印が打たれた鎌倉光機の双眼鏡に間違いないため、手をかければ普段使いの双眼鏡として活躍してくれるはずです。接眼見口がゴムの折込タイプに変わっていることから年代的にはそれほど古い双眼鏡ではなさそうですが、それでも対物レンズのセルは樹脂ではなくエキセンリングが組み込まれたもので、プラスチックの成型品を使用している部品がないなど、構造的には昭和40年代のBL型双眼鏡と変わりません。それでも鏡体ダイキャストは金型の射出成形になったようで、対物側から抜きやすいように以前の製品より平坦に感じられるものです。そのおかげで軽量化していることは確かですが。
 この鎌倉光機製双眼鏡はFOCALのロゴの左上にKMartのマークが追加になっている事などから1977年以降に作られたことは確定されますが、おそらくは80年代初期くらいの製品ではないでしょうか。それでもプリズムはBK7のままのようですから80年代初期くらいの円高不況以前の製品かもしれません。
オーバーホールしてプリズムアッセンブリープレートの芋ネジ3点で視軸を調整するとエキセンリングを使用しなくとも視軸はピタリと合いましたが、覗いた感じははやり光機舎の7x35mm11°のときのような驚きと感動はありません。まあ、超広角双眼鏡に慣れてしまったということも大きいのでしょうが、まだきれいに反射防止塗装がされていた時代と異なり、コストダウンでプリズムカバーも無くなり、内部も黒染処理で済まされてしまったことがコントラストがやや物足りない原因になっているのかもしれません。解像力は前出の大塚光学の7x35mm11°よりも中心部は優れていると思いますが、何か覗いていて軽く目眩を起こしそうな感覚にとらわれてしまいました。大塚光学のものよりもやや周辺部の収差がきつかったからでしょうか?


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