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January 30, 2019

アストロ光学8x30mm7.5°Z型双眼鏡(パルス光学)

Dvc00463 アストロ光学は現在こそ天体観測施設の設計施工の仕事しかしていませんが、我々が天体少年だったころは間違いなく一流の天体望遠鏡メーカーでした。地元の眼鏡店でビクセン、エイコー、カートン、ケンコー、ミザールあたりしか並んでいない時にアストロの屈折赤道儀は日本光学の8cm屈折赤道儀とはいかないものの医者や土建屋の息子でなければ決して手の届かない存在だったことは確かです。またポータブルではなくドーム据え付け型が主力だったのも敷居が高かった原因でしょうか。そのアストロ光学ですが、総合光学メーカーとして天体望遠鏡のほかに双眼鏡も提供していましたが、双眼鏡は自社では生産せずに外部調達で済ませていたようです。 そのアストロ光学ブランドの双眼鏡ですが、あまり数量的には出回っていなかったようで、おそらくはロット2-300個くらいの数量で作らせたものが在庫になりそれを求めに応じて少しずつ出荷していったという程度の数量しか生産されていなかったのかもしれません。ただし天体観測の主流だった7x50mmは見かけの異なるタイプを見かけますので時間を置いて追加発注された節があります。
Dvc00462 それにしても天体望遠鏡は有名なのにアストロ光学の双眼鏡は情報も現物も少なく、昨年に7x50mmを入手しましたがその後まったく現物にはお目にかからず、今回やっと8x30mmの双眼鏡が久しぶりに見つかって入手した次第でした。
 外観は以前入手した7x50mmほぼそのままで、一見大塚光学製のようにも見えますが7x50mmと同じくパルス光学の製品でしょう。光学設計としても戦時中に設計され、戦後にその設計図が共有されたために板橋輸出用双眼鏡としてスタンダードになった8x30mm7.5°と凡庸なスペックの双眼鏡です。この時代、8x30mmは広角化が進み、すでに8.5°がスタンダードになりつつある時代に旧態依然の7.5°とは天体観測用としても少々物足りない感じですが、製造のパルス光学自体スタンダードな8x30mmの部品を自社製造出来るわけでもなくスタンダードな部品しか外部調達できなかったということでしょうか。
 東京杉並のリサイクル業者から1k円で入手したアストロの8x30mmでしたが、さほど酷使された様子も無く本体の程度は悪くありませんでした。さらに内部の状態も対物レンズ裏が若干曇っていた以外にフルオーバーホールの必要もありませんでしたが、視軸は縦横に若干ずれており、対物レンズをセルごと外してクリーニングしたついでにエキセンリングで視軸調整実施。
Dvc00461 視軸がきれいに合った状態でいつもの送電線鉄塔先端を観察してみたところ、視野がスタンダードな7.5度なのに周辺部のゆがみが若干大きいような感じがします。分厚いフルコーティングのおかげもあって視界は標準的な板橋輸出双眼鏡と比べるとやや明るいながらコントラストが物足りないのは標準的な板橋輸出双眼鏡と変わりありません。ただ解像力は意外に高く、線も細い描写を見せてくれるような気がしました。夜間、天体観測用に使用するのであればまた別な見え方をしてくれる期待度が高い双眼鏡です。
 以前入手したアストロ光学7x50mm7.1°の双眼鏡はJ-B230のパルス光学の刻印がありましたが、この8x30mm7.5°には今の所J-B230刻印は確認していません。しかし、細部の作り込みやデザインの共通性からしてもパルス光学でOEM製造されたことは間違いないでしょう。このパルス光学ですが、JBナンバーもかなり末番で、おそらくは厚木光学やオパル光学あたりと創業が近いような感じがしますが、いろいろと資料を探してみても工場がどこに存在していたかさえわかりません。しかし、このパルス光学は例の東栄光学樹脂環訴訟の被告の一社になり、500万円の賠償金が確定したようですが、その際会社を解散して損害賠償金を逃れたか、それともまともに払ったのかは定かではありません。この訴訟の控訴審判決が出た昭和の末期までは存続していたことは確実です。

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