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August 30, 2019

半纏・アツミ自転車(渥美自転車製作所:台東区)

 Photo_20190830124101 Photo_20190830124102 アツミの自転車と表記のある自転車メーカー渥美自転車製作所の割と長めの半纏です。時代はおそらく昭和20年代後半から30年くらいに掛けてのものだと思います。自転車メーカーの半纏というのは意外に種類が多く、というのも当時の町の自転車屋さんは普段着に半纏を引っ掛けてパンクの修理などの作業をしていたのでしょう。今は自転車生産から手を引いてしまっている日米富士自転車や片倉工業、水谷自転車、ツノダ自転車、宮田自転車、ブリジストンなどの半纏もあり、酒屋半纏同様ある一定のコレクターが存在するようです。このアツミ自転車は東京の台東区に存在した当時ですから丈夫な実用車のメーカーで、おそらくはフレームだけ自社製造でその他のギアやチェーン、ブレーキはハブ、タイヤやスポークは専門部品メーカーから仕入れるいわゆる組立工場だったのでしょう。ところが昭和30年に近づいた頃、何とオートバイに手を出してしまいその後資金繰りに窮したのか倒産してしまったようです。自転車メーカーは本田の赤カブ(補助エンジンの方)やビスモーターのように原動機を自転車に着けた時代から本格的にオートバイとして設計された物の時代が来たのを好機と見て、オートバイに進出するところが多くありました。その結果はアツミ同様に山口自転車は倒産、宮田、日米富士や片倉は早々に撤退、ブリジストンは輸出のみという形で粘りはしましたがオートバイから撤退しています。その原因は少なからず本田のスーパーカブ発売が原因なのでしょう。キャノンのキャノネット発売で弱小カメラメーカーが次々に倒産に追い込まれたのと同様です。
 まあこのアツミ自転車は「自転車屋がオートバイに手を出して成功したところなし」を地でいったような会社ですが、そのオートバイの存在は手元の資料ではもう30年以上前に八重洲出版から出版されたモーターサイクリスト別冊国産モーターサイクル戦後史に掲載されていたと思い、今回探してみましたが見つかりませでした。
 しばらく前であれば古典自転車マニアの人がアツミ自転車の紹介をしている頁に行き当たったのですが、現在は自転車の頁は閉鎖されてしまったようで、謎のオートバイとしてアツミオートバイを公開している人の頁にしか行き当たりません。
 この半纏は東北方面から入手したものだったため、おそらくは関東を越えて東北方面にも自転車はシェアがあったのかもしれません。黒木綿の半纏で腰模様がローマ字というのが洒落ています。背模様はおそらく前輪の大きいオーデイナリー型自転車の前輪にアルファベットのAのデザイン文字があしらわれたもののようです。半纏のデザインとしてもなかな秀逸なデザインだと思います。もっとも自転車は商店で配達に使用するようなごつい実用車でしたが。

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Comments

松原様

 こちらも歴史資料として半纏の数々をコレクションしており、業者ではございませんので収集物の販売などということは考えられません。ご希望に添えず残念ですが。

Posted by: じぇいかん | May 10, 2020 07:10 AM

こんばんは。
私、古い企業物の半纏を集めております松原と申します。
ブログを拝見させて頂きご連絡をさせて頂きました。
色々な企業物の半纏をブログで拝見させて頂きまして販売などされてるかを知りたくご連絡をさせて頂きました。
そこまで金額をかけれず購入しておりますので全然お話にならないかと思いますが企業物の半纏で一度は個展ができればいいなと夢を見て集めております。
お忙しいと存じますがご意見頂けると嬉しいです。

Posted by: 松原 | May 09, 2020 12:27 AM

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