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August 22, 2019

半纏・北海道炭鉱汽船

Photo_20190822133701 Photo_20190822133702  うちの半纏コレクションのうちでは一番古いとおぼしき北海道炭鉱汽船の半纏。
おそらくは明治の末から大正期に掛けて使用されたものでしょう。北海道炭鉱汽船は自身の炭鉱から採掘される石炭を室蘭港や小樽港に搬出するための鉄道網を持っていましたが、明治38年に国家買収され鉄道業から撤退し、おそらくはその後に配られたものではないかと思われます。当時は縫製なしで布として配られたようで、縫製はおそらくその家の奥さんの手縫い。炭鉱坑内では半纏などは着用しないため、会社幹部などを迎えるためやその他会社の行事式典のための晴れ着。もしくは北海道炭鉱汽船が所有していた石炭埠頭などで働く港湾作業員のための作業着だったのかもしれません。布に一部ダメージがありますが、北海道の炭鉱が盛んだった頃の炭鉱資料としても貴重です。
 昭和の仕事着の半纏と比べると非常に丈の長い長半纏になっています、生地は紺木綿地に赤の五芒星の北炭マークに腰文字はグレーで炭の字を模したもので、染めの色数などの行程を考えてもけっこう割高な半纏で流石は石炭需要と鉄道買収の保証金で潤っていた会社です。
 その北海道炭鉱汽船は鉄道買収の保証金を元手に室蘭に英国鉄鋼メーカー2社と共同出資で製鋼所を建設するもののその資金がかさみ、製鋼所は後に三井財閥に取得されてしまうことになります。


  

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