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August 22, 2019

半纏・渡辺炭鉱(仙台市)

Photo_20190822140001 Photo_20190822140002  渡辺炭鉱というのは仙台にあった八木山近辺の亜炭の採掘業者でその名前は当方の資料では内田老鶴社の日本の鉱山という資料に記されているのみです。
仙台の広瀬川沿い青葉山と八木山の間には炭化度の低い亜炭が存在するのは藩政時代から知られており、炭化度の特に低い埋もれ木は埋もれ木細工の素材として仙台特産工芸品として認知されてきました。亜炭の採掘が特に盛んになったのは戦後のことらしく、家庭用燃料不足を補うために盛んに採掘され、暖房や風呂の燃料として使用されたようですが、その採掘業者というのは大きくとも数人規模くらいのたぬき掘に近いような業態で、農閑期の秋冬だけ稼働するようなところも多かったという話です。その中には八木山地区から亜炭搬出用にトロッコ軌道まで作った業者もあったという話ですが。その仙台亜炭も仙台に整備された都市ガス網の普及により昭和35年あたりまで終息し、一部の業者により採掘が続けられたもののそれも昭和30年代末には終息したというお話。今ではどこにあるのかも把握出来ない旧坑道が陥落して家が傾いたとかそういうネガティブな話しか伝わってきません。
 その渡辺炭鉱の半纏ですが、仙台市の八木山近辺にお住まいの方から東日本大震災直後に入手したものです。どういう関わりがあるのかお尋ねしたのですが、なぜこの半纏が家にあるのかは御存知ありませんでした。それでも震災後長い間ガスが止まって風呂にも入れなかったときに作業の応援に入った北海道のガス会社の人が復旧に来てくれて本当にありがたかったというお話をお聞きしています。昔は地元の亜炭を燃やして風呂を沸かしていたのでしょうけどね。
 この半纏はおそらくは昭和30年代の仙台ほまれ屋のラベルがついた黒地半纏です。このほまれ屋の半纏も東北北海道ではよく見かける物ですが、おそらくは染工場ではなく呉服店のような業種だと考えています。生地は黒の割と目のつまっているもので背文字は○健。字が違いますが渡辺健さんだったのでしょうか?あとで調べた所仙台のほまれ屋は現在でも盛業中でした。昭和7年に江刺屋として染色業を開始したものの、のちに染色業と縫製業を分社化したりし、また早くからシルクスクリーン印刷などの新しい染色法の工場を仙台郊外の町に作ったりして時代を生き残り、現在も仙台であらゆる布染色製品に対応した会社を経営しているようです。ただし、染め抜きなどの伝統的な染色が絡むものはすべて外注だそうです。

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