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September 30, 2020

星円盤計算器(STAR SLIDING DISK) No.1660

Dvc00655   北陸富山市内で開発発売された星円盤計算器のフルLogLog版No.1660です。
これは同じく富山市内在住の現在72歳の現役技術者の方が工業高校進学の際に購入したもので、卒業後に関数電卓などを購入したものの、簡単な計算は手慣れた計算尺のほうが使い勝手が良くて今まで手元に残しておいたものだそうです。
 そのご当人は同一市内の稲垣測量機械店で開発発売されたものだということはまったくご存じなく、そのことをお話したら大変に驚いておられました。
Dvc00654  団塊世代の方ですから高校進学は昭和40年前後だと思いますが、稲垣測量機械店のことをご存知ないとしたら、そのときすでに星円盤計算器の製造は止まっていて、流通在庫しか残っていなかったということでしょうか?
 さすがにずいぶんと使い込まれた計算尺で、カーソルは擦り傷だらけ。カーソルバーは一般的なコンサイスのようにバネで押さえているものではなく、おそらく溝に貼ったフェルトのフリクションで止まっているものがそれがすっかり擦り切れてカーソルがブラブラになり、中心ねじ軸に不格好なシムを何枚か重ねてカーソルが止まるようになっているというシロモノでした。まさに満身創痍の歴戦の勇士という感じですが、不思議とそういう使い込まれた計算尺には何か役目を終えたすがすがしさのようなものを感じます。
 星円盤計算器では最も尺種の多い計算尺で24種を数えます。表面外側からLL3,LL2,LL1,LL0,K,A,D,C,CI,EI、EIは1から√3と√3から10を一周とする2本の逆尺です。またカーソルがD,A,上に副カーソル線を持つため、主カーソル線がオフセットされておりカーソル上にもすべての尺種が赤字で刻まれています。
 裏面は外側から-LL3,-LL2,-LL1,-LL0,L,DI,D,T,S,T,S,T,ST,となっており、微小角もゲージマークなど使用せずにかなり正確に読み取れるということは、元々が測量機械店の開発であるということのこだわりでしょうか?tanの配分は4.5°-84°、5°45'-45°、35'-5°43'の三分割、sinは5°45'-90°、35'-5°45'、最微小角はもうtanと変わらないレベルとのことでTS目盛りとなり共用の10'-35'となってます。ここまで三角関数の微小読み取りにこだわった計算尺は本当に珍しいようです。ちなみに画像のように表面はカーソル下向きがカーソル上に刻まれた尺種類記号が正立する正位置で、裏面はそのまま裏返してカーソルが上向きなのか正位置です。
 何せ使い込まれた計算尺ですからクリーニングと傷消しも大変でした。まずカーソルの真ん中のねじを外し、さらにカーソルバーから片側三本のねじを外してばらばらにし、本体はマジックリンで磨くと当時の職場環境もあったのでしょうけどたばこのやにのコーティングが取れてほぼ元のセルロイドの風合いに戻りました。素材はコンサイズのような塩化ビニールではなくセルロイドで間違いないようです。カーソルは裏側に簾のように付いた擦り傷を久しぶりに用意したアクリルサンデーのアクリル専用研磨剤でひたすら磨き倒すとほぼほぼ目立たないようなレベルになりました。
 カーソル裏は毛糸状のもの、実は手近に転がっていたランタンマントルの締め付け糸の切れ端を挟むと、これが見事にフィット。きつからず緩からずでちょうどいい感じになり、組み立ててそこそこ見ることのできる星円盤計算器No.1660のクリーニング終了。
 この前所有者の方、高校入学の時に購入したというお話でしたが、高校の授業ではやはり棒状計算で授業が進められるでしょうし、円形計算尺はその内側ディスクのとっかかりの無さから計算尺さばきが遅くなり、スピード計算に向かないという致命的な欠陥があります。村上次郎氏のように円形計算尺で工業高校教育用に食い込もうとした革新的な思想の計算尺教育者もいますが、当時はやはりスピードと正確さが競技として盛んだった時代にこの一連の円盤計算尺が食い込もうとしたのは無理があったような。
 国内では北陸三県と長野辺りからしか出て来ない星円盤計算器ですが、実はアメリカに輸出されていたことを今回調べて初めて知りました。もちろんどこかの輸出業者が仲介して輸出に及んだのでしょうが、当然のこと英語版の箱ラベルと英語版の説明書が付属しており、No.120、No.130、No.250の3種類の存在が確認されていてNo.1660はまだ見つかりません。
 もしかしたら稲垣測量機械店の廃業後に仕掛品や在庫が他社にわたり、それがアメリカに換金のため渡ったのでしょうか? 何せ個人商店規模の会社の製品のため、そういうこともあったのかもしれません。


 

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September 20, 2020

サイクル25開始、極小期は2019年12月

 NASAとNOAA(アメリカ海洋大気局)の専門家グリープで構成されるサイクル25予想パネルはサイクル25の活動周期が始まったことを発表しています。
現在はサイクル24から25への移行期と考えられており、前後6ヶ月も含めた13ヶ月の太陽黒点相対数の最小値を記録したのは2019年の12月という結果をもってサイクル24からサイクル25への転換期が2019年12月であったということが推測できるとのこと。
 そうなると現在(2019年9月)はサイクル25の始まりから9ヶ月経過したことになり、サイクルが11年周期であることを考えるとサイクル25のピークは2025年の7月あたりになることが推測できるとのこと。
 サイクル24はこの100年でもっとも活動が弱く、1755年からの11年周期の太陽黒点活動期においても4番めに弱かったといわれておりますが、アマチュア無線家同士が顔を合わせるたびに「なんにも聞こえない」が挨拶みたいになっており、どうもサイクル24の低調がアマチュア無線局減少に拍車を掛けたと誰しも考えているようです。それでもPoorな無線環境にもかかわらず、いまだにアマチュア無線にしがみついている当方みたいなのがいるのは、サイクル23のときのまだそこそこ活発な伝搬でいい思いをしているのと、次のサイクル25こそ再び活発な伝搬があるのではないかという期待からみたいなものですが、サイクル25の活動状況はサイクル24と同程度のものではないかと専門家は予想しているようです。

 サイクル24のPoorなコンディションにおいてアマチュア無線界で飛躍的に発達したのはデジタルモードによる文字通信でしたが、やはり「世界中のハム仲間とリアルタイムで会話が出来る」というような伝搬コンディションにならないと世界的にも無線人口はなかなか増えていかないような気がしますし、「インターネットでリアルタイムで会話出来る時代になぜ無線なのか」ということが明確に自己分析できない層がアマチュア無線に参入してくることはないでしょう。

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