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October 04, 2020

RICOH No.116 10インチ片面事務用(プラスチックカーソル)

 こういう計算尺が出てくるというのは妙に心地が悪い感がありますが、これは何の変哲もないRICOHのNo.116です。Relay時代から作られた片面計算尺でHEMMIの大定番No.2664Sの対抗馬なのですが、三角関数の逆尺がHEMMIの特許だったらしくこのNo.116には使用できなかったため、表面下固定尺にDI尺が追加され、No.2664S同様の操作性を備えるのですがそのためNo.2664Sが表面8尺なのにこのNo.116は1尺多い9尺を備えています。
 うちの一番新しいNo.116のデートコードはWS-3Lで、昭和49年3月佐賀工場製。No.116は昭和45年頃にCIFもグリーンに変わり、同時に上部スケール(25cm)の開始位置がK尺ロゴ上からだったものが中央寄りに変わりましたが、最終型に限るのかDF,CF尺の延長部分がDF尺のみになり赤から黒に変わるなどの変更がありました。しかし終始一貫カーソルは金属フレーム入りのガラスカーソル(但しカーソル線が赤から黒に変更)です。
 実はこのNo.116は何の変哲もないと書いたように昭和40年代前半のNo.116なのですが、なぜかカーソルがプラスチックの一体成型もの。それもRICOH No.84学生用の最終型プラスチックカーソルのようにカーソル上下側面にギザギザが成形されているというシロモノです。同種のプラスチックカーソル付きのNo.116は過去に1本しか見たことがありません。それは丹頂ベージュタイプのリコー初期型貼箱入りのNo.116Dで、殆ど使用されていない状態のものでしたからおそらくはオリジナルのカーソルなのでしょう。そのカーソルの形状は今回取り上げた普通のNo.116付属のプラカーソルとまったく同じで側面両側に指掛かりのギザ山が成形されたものです。そうすると年代は30年代末期から40年代初期なのですが、この普通のNo.116のデートコードはN.S-4ですから昭和40年4月の佐賀工場製。年代的には一致するようです。あと何本かこのプラカーソル付属のNo.116とデートコードを見てみたい気がするのですが、どうやら昭和40年頃に突発的にプラスチックカーソルで出荷したNo.116シリーズがあったものの何らかの理由ですぐに金属フレーム入りのガラスカーソルに戻したとしか今のところはいいようがありません。
 学生用8インチ計算尺のカーソルならいざ知れず、このサイズの10インチ片面計算尺用のプラカーソルは見たことがありませんし、ほかからの流用ではないのは同じカーソルが付属したものがあることからこれは出荷時のオリジナル仕様のようです。

Ricoh116
Ricoh116_20201004152401

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