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October 11, 2020

HEAVEN No.82 8"学生用

Heaven  おそらくは山梨のどこかのメーカーがOEM元として関わったのではないかと思われるHEAVENのNo.82です。これは以前10把からげで入手した学生用計算尺の中にも1本入っていたのですが、本体に刻印その他メーカーに関わるものが一切見当たらず、唯一コームケースのような茶色いビニールサックケースからHEAVENのNo.82と判明したもの。一度底板と上下固定尺の接着が剥がれてバラバラになったものを黄色いゴム系のボンドで汚く貼り直したようなシロモノでした。
 今回デザインが特徴的な外箱はなかったものの、ちゃんと説明書が付属していたため送料込みで500円で入手したものです。さすがにこの計算尺に高い金額は付けられません。冊子型の真四角な説明書が付属していましたが、どこにもメーカー所在地や電話番号などの記載もなく結局はどこの会社だったのかは不明のまま。このHEAVEN計算尺はこのNo.82と同じくややコストが安そうな竹製8インチ学生用計算尺の2種類しか知られていません。
 そういえばもう十数年前のことですが、この学生用計算尺の目盛原版がまとめてオークションに掛かったことがあって、その中にHEAVENとHATOや技研っぽいものまでまとめて出てきたため、おそらくは同一の製造所で使われたものだとは思います。こういうものを目にすること事態、珍しいことでした。
 考えるに団塊の世代が中学や高校に進学する時期である昭和30年代中期あたりに空前の8インチ学生用計算尺バブルが発生し、HEMMIやRelayではまかないきれない状態なのに需要はそれを上回り、とにかく作れば右から左に売れるという時期があったのでしょう。そのため山梨に学生用計算尺専門のOEM製造所があって幾多の注文主指定のブランドで8インチ計算尺を収めていたということでしょうか。その注文主も専門の会社ではなくて、儲かりそうだから扱うけどクレームは御免と所在地もわからないようにして商売をしていたのでしょうか。でもまあ紙っペラ一枚の説明書ではなく、このHEAVENのようにまともに冊子型の解説書が付属しているだけでもマシというものです。
 おそらくはセルロイドではなく塩化ビニールを竹の芯にサンドイッチした上下の固定尺をプラスチックの裏板に接着しただけの構造ですが、わざわざ竹を使う必要があったものかどうなのか、竹の部分が皮目方向に湾曲して反ってしまっています。HEMMIやRelay/Ricohはエージングをきっちりやりますし、ちゃんと複数の竹を組み合わせますからまずよほど保管が悪いということがない限り8インチの学生尺でも経年劣化で反ってしまって滑尺が抜き差しできないということは考えられません。
 尺種は表面K,DF,[CF,CI,C,]D,A,の7尺。滑尺裏はS,L,T,の3尺の合計10尺を備えますが、このHEAVENの名前のつく計算尺は双方ともに√3切断のずらし尺を備えるものです。
 そういえばこのコームサック型起毛ビニールケースは以前のものと入り口のカットが異なるので、どちらが先かは知りませんが二種類存在することになります。

追記:ヘブン計算尺は1960年代に大阪市東区(現中央区)博労町に存在したという情報がありました。どうも全体が拡大鏡になっているポケット尺で失敗し、計算尺事業から撤退したのではないかと思ってます。

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