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October 01, 2020

KSSCばね設計計算尺(SPLING DESIGN CALCULATOR)

Dvc00657 Dvc00656   このバネ設計用計算尺は直径18cmもある大型の円形計算尺で、アメリカで開発設計されたものを日本で輸入販売するにあたり、日本語の説明書を添付したのかと思っていたのですが、メーカーを示す刻印はなくただ裏側にSJC(Spring Junior Club)とKSSCという印刷しかないので、どうやらSJCによって設計され、ケーエス産業株式会社というところから発売されたSPLING DESIGN CALCULATORというバネ設計用円形計算尺のようです。
 ケーエス産業は昭和50年に設立された標準規格ばねの専門商社で現在は台東区蔵前に自社ビルを構えています。外側ボール紙ケースに所在地中央区日本橋本町とご丁寧にも地図が印刷されています。本社ビルが千代田区から中央区日本橋本町に移転したのが昭和59年、台東区蔵前に移転したのが昭和63年ですからこの計算尺はその間の4年間に発売されたようです。
 現在はバネの設計というのは完全にパソコンのソフトウエアーに依存しており、昭和末期からパソコン普及期までのほんの短い間に需要があった計算尺なのでしょう。以前日本特殊計算尺製のバネ計算尺を譲っていただいた専門の設計者の方に聞いたところ、普通の機械設計屋でたまにばねの絡む計算しかしない技術屋には専門のバネ計算尺はかえって使いにくく、あまり出番はなかったとのことで、このバネ設計用計算尺もまったく使用された形跡のない未使用品でした。
 使用用途は説明書によると圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばねの設計、応力の検討、またすでに設計されたばねの確認(但し断面は円形)となっており、各尺種記号はd:材料の直径(線径)mm、D:コイル平均径 [(コイル外径+コイル内径)/2]、N:有効巻数、G:横弾性係数、E:縦弾性係数、P:ばねに掛かる荷重、M:ばねに作用するねじりモーメント(トルク)、F:ばねのたわみ、T:ばねのたわみ角度、R:ばね定数、S:応力、D/d:ばね指数となってます。
 このばね設計用計算尺は計算尺としてはかなり新しいということもあり、現役のばね設計屋さんの机の中にはけっこう残っているという話も聞きます。もっとも日常で使用するのはエクセルだそうですが…


 

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