Relay No.DT-1015 10インチ両面技術用
国内ではあまり見かけないダブルスターリレー時代のRelay DT-1015です。このDTという形式名は輸出用のものでDがDuplex、TがTechnicalの意味で両面技術用を意味します。この時代のダブルスター時代のRelay両面計算尺は殆どがアメリカ向けの輸出に当てられ、国内にはその殆どが8"と10"の片面計算尺しか見かけません。そのため、輸出品番の両面計算尺が国内にあることはあるのですが、HEMMIなどに比べると非常にレアケースで、多分このDT-1015はここ15年ほどで10本はオクにも掛かっていませんが国内に残っている種類としては一番多く、国内で正規に市販されていたことがわかります。。ダブルスター時代のRelay計算尺の両面型はアメリカ代理店のOEMが非常に多く、かえって自社☆Relay☆で輸出された数のほうが少ないようなのですが、OEMものはOEM先の要求でデザインが決められていたようで☆Relay☆の型番に該当しない物も多いようですが、逆にこのDT-1015はOEM先の名前で発売されたものが見つかりません。どうやら当時のリレー産業のオリジナルデザインのようです。
この計算尺をぱっと見て感じたことはRICOHのNo.1051に非常に似ていることで、例えば表面のLL1尺とL尺の順番が違ったり三角関数尺は一部異なったり、さらに延長尺があるなどの違いがあるものの内容的にはNo.1051にほぼ同じです。言うなれば高校生用として多用されたNo.1051のルーツになった計算尺なのでしょう。
内容的には表面L,LL1,DF,[CF,CIF,CI,C,]D,LL3,LL2,の10尺で裏面がK,A,[B,S,ST,T,C,]D,DI,の9尺の合計19尺です。ちなみに無印のRICOH No.1051がLL1,L,DF,[CF,CIF,CI,C,]D,LL3,LL2,の10尺、裏面がK,A,[B,S,T1,T2,C,]D,DIの9尺の合計19尺でほぼ同じ。型番も1015の下二桁がひっくり返って1051になったと考えれば納得がいくもの。しかしまあ高校生計算尺の定番のルーツが輸出専用尺にあったとは驚きました。延長尺の分だけNo.1051よりもやや長く出来ておりNo.1051が全長32cmに対して33cmあります。No.151や159が35cmですからどちらにも分類されない不思議な計算尺です。ケースはダブルスターリレーの昭和20年代紫色ケースと異なり、30年代リレー計算尺の両面計算尺用と共通の緑の貼り箱入りですが箔押しは「HIGH CLASS☆Relay☆BAMBOO SLIDE RULE」です。製造刻印は見当たりませんがおそらくは昭和30年代初期のリレー産業時代の製品でしょう。
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