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November 21, 2020

HEMMI No.641 一般技術用

Hemmi641_20201121141302  これもいただきもののHEMMI No.641ですが、うちのNo.641としては2本目になります。用途としては一般技術用となっていますが、明らかに計算尺検定や計算尺競技会に特化しています。片面計算尺の√10切断尺ながら表面にA,B,尺を有し、さらに裏の三角関数は逆尺ですが、表面のD尺DI尺を使用して連続計算ができるなどの操作を減らして答えをなるべく早く行うことを最大の目的にして出来上がった計算尺なのでしょう。それ以前に同じような用途でNo.651というものがありましたが、オフサイズの竹製計算尺で専用のベースボディを持つため、他に転用出来ないというウィークポイントがあり、これを止めて早々に山梨の技研系の会社に委託製造させて出来たのがこの一連のバックプレートプラスチックで固定尺ネジ接合の計算尺なのでしょう。
そのNo.251の直系計算尺がこのNo.641ですが、それ以前に検定上級用という扱いで技研や富士の山梨勢が販売してきたNo.251やNo.2125のほうが一日の長があり、これらのオールプラスチック製計算尺のほうがHEMMIのNo.641よりも製造期間も長く、市場に残っている数もはるかに多いのを見てもNo.641の発売は遅きに期したという以外に言いようがありません。
 でも実際に計算尺競技の手練の方にとってはこういう尺がごちゃごちゃ込み入った計算尺は競技大会ではかえって煩わしいのだそうです。よりシンプルなNo.2664Sが一本あれば尺度の誤認もなく、より多くの操作が必要でもこちらのほうが早いのだとか。まあ、その計算尺にいかに慣れて自分の道具になっているかどうかが問題なのでしょうけど。そのNo.641ですけど山梨系のプラ尺とくらべて唯一のアドバンテージはわざわざ竹芯構造にし、固定尺と滑尺の摺動部は竹どうしのため、滑尺の動きがスムースなことです。これがプラスチックどうしだとどうしても動き始めにやや噛りつきがあり、動きのスムースさや滑尺さばきは竹の計算尺に勝るものがありません。そういえば以前、地元出身のmyuki氏からいただいたタレコミ情報によると、昭和40年に再スタートしてムトウのドラフタースケールなどを製造していた山梨の技研産業に2000年代前半にいまだNo.641が残っていたそうです。そのほかにもいろいろなヘンミ計算尺の山梨OEMの残滓があったそうなので、この事実からもこのNo.641はヘンミの工場を離れて山梨で製造されていたことが裏付けられるようです。不思議なことに山梨OEMとは思えないようなNo.2662やNo.2664S-S、あと両面尺のNo.264などもあったということで、昭和40年代にはヘンミでの竹製片面計算尺の製造ラインは縮小されて、かなりの種類の製造が山梨に移管されていたことが伺えます。
 このNo.641の説明書は初期のものはNo.2662,No.251共用の冊子型にオレンジ色の補足ペラが一枚挟まったものが使用されていたのですが、のちに一般技術用No.641と専用になった冊子型に変わります。このNo.641に付属していた説明書のデートコードは7307TOと昭和48年7月の印刷のようで、本体のデートコードはどこを探しても打たれていませんでした。このNo.641も競技大会の商品なのですが、外箱なしで説明書だけが添えられていたそうで、なぜか本体裏のゴム足が最初から無かったそうです。これ昭和50年以降の競技大会商品だったようですが、HEMMIにしてみれば半端モノかき集めて賞品名目で在庫一掃したのでしょうか?(笑)

Hemmi641
Hemmi641_20201121141301

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